表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/142

四十九話 レーガル攻防戦2

シグマが前を走り、ラウルが続くという形をとっている。



「バカめ正面から突っ込んで来るとは」



「二人まとめて終わらせてあげるわ」




そう言ってフォンは鎖を床に忍ばせ、ディアは地を強く蹴りだした。



「ラウル!突っ込むぞ!!」


「わかってら!!」




猪のように突っ込んで行くシグマとラウル


しかしすでに後ろに回りこんだディアはラウルの後ろを完全にとった。




(もらったわ!!)



今度は心臓を外さないよう狙いを定め、攻撃を繰り出した。


しかしその攻撃は意外な物によってラウルに届かなかった。



「!?………く、鎖!?」




ディアが攻撃範囲に入った瞬間、床から出てきたフォンの鎖と激突してしまった



「くっ、邪魔しないでフォン」



「何だと、貴様がじっとしていればよかったんだ」



「内輪揉めしてる場合かよ」




ひと悶着の間に間を詰めていたラウルが前に出て、シグマが後ろに回る。



「いけラウル、後ろは俺に任せてフォンを倒せ!!」



「任せとけ、お灸をそえるには火が必要だろ」




槍を構え火竜砕破を放つ。



「く、鎖よ!!」




鎖を自分の前に持ってきて盾に変える。


しかしフォンがそうするのは読んでいた。


鎖の隙間から槍を投げ、投げた槍はフォンの足下に刺さった。


(これは…炎陣爆炎槍か)




レーガルにいた頃よく見た技だったため、対処方法も知っていた。



「槍さえ抜いてしまえばこの技は発動しない!!」




そう言って、フォンは鎖で槍を抜いた。



「これでお前は丸腰だ!!」





「丸腰だが、想定内だ」



「!?…何でお前がそこにか……………ぐおっ!?」




フォンの喉元を掴み宙に上げる。



「火竜砕破はもとよりお前の視界を限定させるため、そこから槍を投げて、すぐに移動したってわけだ、お前なら間違いなく槍を警戒しすぎて俺には気づかないと思ってな」



「くっ、何故俺が貴様なんかに!!」



「レーガルを敵にしたことを後悔しな」




「くっそぉぉぉぉぉ」






「紅蓮覇王拳!!」



魔力を込めた拳でフォンの腹部に殴ると爆発を起こし、フォンはその場で崩れ落ちた。






「おい、後任せていいかシグマ」




大の字になって倒れ込むラウル






「ふ、任せておけ」



「あら次の相手はあなたなのね」



「ふむふむ、屍契約か」




屍契約というのが気に入らなかったのか、ディアは眉間にシワをよせ、シグマを睨み付けた。



「おいおいそんなに睨まないでくれ」



「うるさいわね、さっさと勝負するわよ」




また地を強く蹴りハイスピードで動く。



「早いな…………だが」



かなりのハイスピードで動き、シグマを撹乱する



「反応できないスピードではない!!」




ディアの方を向き、攻撃を防ぐ。



「やるわね、でも守ってばかりじゃ私には勝てないんわよ」



「そうだな、では攻めさせてもらおうか」




そう言ってシグマが盾をディアに向けた、すると…




ぼこっ!!



「床がへこんだ!?」




ディアの足下がへこみディアは足をとられてしまう。


バランスを崩したディアを見逃さず、イージスの盾から魔力を撃ち出す。


そして動けないディアはかわせずに直撃する。



「きゃあ!!」




吹き飛んだディアは空中で体をうまくひねり足で着地するが、着地した床もすでにへこんでまたもや足をとられる



「な、何なのよ一体?」



「神通力さ」



「じ、神通力ですって!?」



「イージスの盾は防御ももちろんだが、盾を持つことによって神通力を発生させることができるんだ」



「そ、そんな!?」




ゆっくりとディアに近づくシグマ



「くっ、卑怯よ正々堂々戦いなさいよ」



「死んだ娘を屍契約した奴に言われたくないな」



「あなたまで死んだと言うの………」



「私は屍契約を許せないんだ、死んだ人をこの世にしばりつける禁術」



「……………」



「ん、だんまりかな?」


「………さい……」




下を向いたディアは微かに聞き取れるほどのボリュームだった。



「聞こえないな…」




ディアが何を言ってるかを聞くためにさらに近づいた時だった。



「な!?ディアに負が集まっている!?」




にディアに負が集まるが、ラウルの時とは桁違いの量だった。










「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇぇぇぇぇぇ!!」



「ぐおっ!!」




あまりの負を取り込んだせいか、取り込めない負が爆発したせいで衝撃波がおこり、シグマはぶっ飛ばされてしまう。



「何て圧力だ、神通力でへこませたのに足を抜いたというのか?」










「あははははははは、消えろぉぉぉぉぉぉぉ!!」




突っ込んで来たディアに向けて盾を構え攻撃に備えるが、ディアの拳はイージスの盾を貫き、シグマの腹部を貫いた。



「ごふっ!」



吐血したシグマから拳を引き抜きトドメをしようとする



「くっ、出力最大!!」



神通力の出力を最大にし、ディアの足場どころか、床、天上、壁、壁にかかってる灯りを灯す蝋燭や絵画など全てが歪んだ。



「へぇー、すごいじゃないこんなことができるんだ」




歪んでいるのにもかかわらずディアは平然としていた


床、天上、壁などが歪みディアの感覚を狂わす技だが、ディアは笑いながら立っている。



「これがあなたの限界かしらね………いくわよ!!」




強く地を蹴りハイスピードで動くが、さきほどとは比べものにならないほどのスピードになっていた。



「何てスピードだ、まったく反応できない」




次の瞬間、後方からの攻撃を受け、振り向いた瞬間また後方からの攻撃を受ける




それをリフレインし続けること5分、シグマは片膝つくほどのダメージをおっていた。



「こんなところで負けるわけには……」



「終わりよ!!」



(くっ、ここまでか…)




死を覚悟したシグマは目を閉じたが、その時のディアの攻撃はとどかなかった。


一人の少年によってディアの攻撃は阻まれた。






「お前は…………」



「あんたは………」







「レーガルの隊長がへばるなよ」



「ラニアさんをたぶらかしている諸悪の根源!!」



「長ーし、違うわ!!」




しっかりとつくほどツッコミは入れる秀



「一人増えたところで変わらないわよ」



「前の俺とは違うぜ」



「浅村、相手は桁違いのスピードで動くぞ、動き出したら最後だ、早く行け!!」



「残念ながら、もう動いちゃうからね♪」




またもや桁違いのスピードで動くディア



「こりゃ速ぇわ…………けどな……」



「スピード勝負じゃ負けねぇよ、韋駄天!!」



「な!?浅村が消えた…」




シグマがそう認識した時には秀はディアの首根っこを掴み、床に全身を叩きつけていた。



「私のスピードに対応したの!?」




信じられない顔をするディア


自分のスピードについてきたことにが信じられなかったのだろう



「何が起こったんだ!?」



「言ったろ、前の俺とは違うって」



「う、うぐっ、離しなさいよ!!」



「おいおい、暴れんなよ…………旋風束縛陣!!」



「くっ、動けない!?」






「ふー、そこでじっとしてな」




旋風束縛陣でディアの動きを封じると、シグマに手を差し伸べる。



「立てるか?」



「ああ、すまないなか………!?浅村、後ろ!!」




完全に油断していたためか後ろから襲ってくるのには気付けなかった。


しかし、シグマの声が聞こえたにも関わらず、秀は後ろにすら向かなかった。


「ママを離せぇぇ!!」



「ガキは凍っとけ!!」



「ああああぁぁぁぁ」




秀が後ろを向かなかった理由、それは連を信頼していたからだった。


連なら絶対にやってくれる、そう思える仲だった。



「さあて、これでガリア側の敵は全員潰したぜ」




風による束縛で身動きがとれないディア


首より下が氷づけにされているレイラ



「でもどうするよこの二人」



「それなら任せとけ、私がやろう」




立ち上がってディアの所に行き、イージスの盾をディアに向けた。



「お、おい殺すことないじゃないか」



「安心したまえ、殺したりはしない、逆に救ってやる」




シグマの言っている意味がわからない二人



「シグマのイージスの盾はほんと特別なんだよ」



「ラウル!?大丈夫なのか?」



「ああ、傷口は氷で止血してくれてるからな」



「そっか………んで、特別って何なんだ?」



「お前確か負を打ち消したことあるよな」




コクりと頷く秀



「基本的に精霊契約してる奴は負を打ち消せるのは知ってるよな」



「ああ、だけどカースのような負が深くまで入りこんでいる場合には適応できないんだろ」



「ああ、しかもあれは魔力をかなり使うし、今回はディアのように屍契約だ、普通はこちらの魔力が足りなくて負を打ち消すことなんて無理だ」



「じゃあ…」



「まあ見てれば分かるさ」



再びシグマに目をやると、完全に集中していた。


やがて構えている盾に魔力が集まっていく。



「何するつもりよ」



「お前を助けてやる」




シグマがそう言うと、イージスの盾から一本のチューブが放たれ、ディアに刺さった。



「うっ!?」



「おいおい!?大丈夫なのかあんなことして」



「まあ始まるから見てな」



ディアに刺さったチューブからイージスの盾へと黒い物が流れていく



「もしかしてあの黒いのって………」



「ああ、負だ」



「大丈夫かよ、負を自分の方に流して?」



「大丈夫さ、シグマは負を変えるだけさ………魔力にな」



「んな!?そ、そんなことが出来るのかよ!!」





シグマの方に目をやると確かに流れていく負は、イージスの盾で魔力へと変えていた。



「イージスの盾は負を魔力へと変えることができるんだよ」



「でも屍契約だぜ?」



「屍契約ってのは誰かが死んだときに、その死を受け入れられないという負の感情が引き起こすもんだ、だから負を消すことで強制的に受け入れられないから受け入れるへと変えればいいんだ」



「変えればいいって…………」



「まあんなことが出きるのはシグマしかいねぇけどな」




ひたすら負を魔力へと変えていくシグマ


ディアの方もディアを包んでいた負が薄まっていき、


やがてディアを包む負はすべてシグマの魔力となり、


ディアはその場で倒れ、レイラは煙のように消えていった。



「これで…終わったんだな」



「いやまだだ、まだ終わってねぇ」



「どういうことだ?」



「今回のガリアの目的は断罪の雷にある」



「説明してくれ浅村」




首を縦に振り、真也が言ったことを説明した。










「お前そういうことは早く言えよ」



「でもガリア側の敵は全員倒したから問題ないんじゃないの」



「しかし何でガリア帝国は兵士を使わなかったんだ?」



「そうだなそれは確かに気になるが、いないもんはしゃーねーだろ」



「まあそうだな、ではこれからどうする?」



「街の復旧作業だろ、どこの誰かさん達が派手にやらかしてそうだしな」




ギクッ!!×2



ラウルの言葉に縮こまるどこの誰かさん達



「まあ復旧作業には人手が必要だから、今日は復旧作業の費用の算出と街の人達の説明だな」




ピーピーピーピーピー!!



「ん!?何だこのバカでかい音は?」



「城内の緊急ベルだ!!」




《こちら放送部屋、増員を求めます、レーガルの……があ!!…………やあレーガルの皆さんこんにちは》



「おい、嘘だろ……」



「こ、この声はまさか………」



《ずいぶんとよくやってくれたなラウル、シグマ、浅村君に夜坂君》










「ジーダ……シュバルツ………」


「司令……官…」



《まさか君達が四人全員倒したことには驚いたな…………しかしそのおかげで作業がスムーズにできたよ感謝する》



「作業?」



《真実を知りたければ私の部屋で待っている》




通信が途切れ、俺達四人に静寂が包む。



「一体何がどうなってんだ?」



「行くぞシグマ………それとお前達は宿屋に戻れ」



「「断る!!」」



「んな!?わがまま言ってる場合か!!」



「別にわがまま言ってるわけじゃない」



「俺達は真実を知りたいだけだ!!」



「それがわがままだと言ってるんだ!!」



「戦力は少しでも多いほうがいいと思うけど」




秀の言葉に言葉を詰まらせるラウル



「ラウル、この子達もガリアと戦ったんだ、知る権利はある」



「……足引っ張んなよ」



「へ、怪我人に言われたくねぇよ」











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ