五話 遭遇
いよいよ夢集めの登場です
「・・・へ?」
「あなたには叶えたい夢はありますか?と聞いているんです」
いきなりのことで何がなんだかわからなかった秀だがとりあえず、相手が誰だか知りたかったようで相手に問う。
「あなたは一体誰何ですか?」
「失礼しました、私は・・・夢集めと申します」
夢集め……
「な、何だって!」
(本当にいたんだ・・・)
「ご理解して頂けましたか?」
「え、ああ・・・うん」
石月から聞いて、あり得ない話だと思っていた夢集めが目の前にいることに驚きを隠し切れなかった。
「では、もう一度聞きますが、あなたには叶えたい夢はありますか?」
石月の言葉を思い出す・・・
「その人の夢を叶えるんだよ」
「もし、俺にどうしても叶えたい夢があるって言ったらどうするの?」
「あなたの夢を叶える為にお手伝いさせていただきます」
夢集めの言葉を聞いた秀は考えて込む。
確かに俺には夢があるが、果たして叶えられるのだろうか、考えてみれば俺の夢は、ちょっとやそっとで叶えられる夢じゃない・・・
けど、
(チャンスがあるならのってやろーじゃん!)
「ありますよ、俺にはどうしても叶えたい夢がある!」
果たして、この決心が正しかったのかは、この時には分からなかった、これから始まる不思議な体験をするまでは・・・
「そうですか、分かりました、ではこちらの条件を一つ飲んでいただきます」
「条・・・件?」
夢集めは一歩、二歩と歩いて、右手の人差し指を立てて秀の額に当ててこう言った。
「あなたの夢を覗かして頂きます」
「・・・っ!!」
これまでに、味わったことのない衝撃が頭に走り、秀はその場で膝をついた。
「はあはあ、一体・・・何をしたんだあんた」
「夢を覗かして頂いたんですよ、衝撃が走ることを言い忘れてましたね、申し訳ありません」
衝撃がかなりの威力のため、いまだに秀は立ち上がれずにいた。
「それにしても、凄いですねあなたの夢・・・いや約束は」
約束という言葉に過剰に反応してしまった。
「どうして、そんなことがわかるんだ!」
「言ったはずです、夢を覗かして頂きますと」
「人並み外れた能力だな、でも条件は飲んだぞ」
「残念ながら、今すぐあなたの夢を叶えるわけじゃありません、また近い日に会うことになるでしょう、それまで、これを持っていて下さい」
そう言って夢集めはポケットから定期券ほどのサイズの無色透明のカードを差し出した。
「何なんだこれ?」
「あなたの夢を叶える為に必要な物ですよ、大事に持っていて下さい、まあ捨てようと思っても無駄ですけど、それでは私はこれで失礼します」
夢集めは駅のホームに向かって行って、秀の位置からではもう見えなくなっていた。
「待てよ、まだ聞きたいことが有るってのに」
立ち上がり夢集めを追ったのだったが・・・
(そんな・・・いない)
夢集めはすでに居なかったそれに変わるように階段から声をかけられる。
「浅っちじゃんか」
駅のホームから同じ高校の生徒の新山 蒼士が声をかけてきた。
つまり人が出てきたということだ。
「何してるのさ、階段で一人突っ立て」
「あ、そうだ蒼士さっき・・・あれ?」
(俺、何を思い出そうとしてるんだっけ?)
夢集めのことを忘れていたというか、思い出せなくなっていた、理由は分からないがいくら思い出そうてしても夢集めのことが出てこなくなっていた。
「おーい、大丈夫か?」
「ああ大丈夫、大丈夫やっぱ何でもないや」
曖昧な言い回しでお茶を濁したが、秀は胸の中にあるもやもやが気になっていたが、蒼士と一緒に駅を出ることにした。
(何なんだろう、このもやもやは・・・)