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三十三話 屍契約

くっ(;´Д⊂)風邪をひいてしまった。


医者に行ったらやはり「気候変化が原因ですね」って言われましたf^_^;

「屍・・・契約・・・」




屍という不気味な言葉に契約を足した屍契約という言葉を聞いて、秀の背筋に少し寒気が走った。




「屍契約って一体何なんだ?」



〈屍契約は禁術だよ、死んでしまった亡骸を契約対象とする〉



「ちょ、ちゃんと待って死んだ人を契約対象に出来たりするのか?」



〈普通は出来ないよ・・・人が死んだことを受け入れることができたらね〉




淡々と喋るシルフィーだが、声のトーンが下がっているのところをみると屍契約というのは嫌なことだと感じとれる。




〈屍契約っていうのは、死んだ人の死が受け入れなくなった人が発動することなの〉



「そんなんだったら、年がら年中屍契約起こってるんじゃないのか?」



〈確かに秀の言う通り屍契だよそんなんことで屍契約が起こるんだったらたくさんの屍契約が起こってしまうそれでも屍契約が稀なのにはそれなりの理由があるの〉



(それなりの理由?)










〈屍契約は精霊が受けきれないほどの負を持つ人が起こることなの〉



「おいおい知人が死んで受け入れることができなくて発生した負は精霊が受けるのか」



〈まあね、その地方に住む精霊達がその負を分割して受けるんだよ、〉



「そんなことして大丈夫なのか?」


〈大丈夫だよ、別に全部受けるわけじゃないよ、その人が屍契約をしない程度までしか受けないしね〉




シルフィーが言うことは初耳のことばかりであった。




屍契約があることや、人が死んだ時に発生する負を精霊が受けることがあることなど、知らないことが多すぎた。




「屍契約のことは分かったけど、何であの時逃げたんだ?もしかしたら勝てたかも知れないのに」



そう言ってシルフィーを見ると、呆れたと言わんばかりの顔をしていた。




〈魔力をまだまともに操れない人がよく言うよ〉



「うっ、それを言うなよ」



〈そもそも精霊契約と屍契約では力の差がありすぎるの〉



「はぁ!そんなの理不尽じゃねぇか」



〈精霊が持ってしても取りきれない負の力を使うんだよ、力に差が出て当然だよ・・・・・・ただし屍契約にはそれ相応のリスクを担うの〉



「リスク?」




少し間開けたシルフィーはゆっくりとリスクについて口を開いた。










〈屍契約の力の源は負だけど、負に自分の生命力をプラスすることによって爆発的な力が使えるの〉



「おいおい生命力を使うってことはつまり」




シルフィーが言ってることは頭が緩い秀でも流石に理解できていた。




〈そう使えば使うほど生命力を使うことになって、最後には契約者は死んでしまう・・・〉



「酷いな・・・」



〈生命力と負を使う屍契約に精霊契約のせの字も知らない秀が勝てるわけないでしょ〉




その言葉に秀はただ何も言えない自分が情けなくて仕方なかった。




「シルフィーちょっと付いてきてくれないか?」



〈どこに?あ、まさかデートのお誘いかな?〉




この空気の中で冗談が言うシルフィーを見ていて自然とため息が出ていた。









レーガル出た二人が着いた場所は秀が初めてカースに襲われた森だった。




〈大丈夫かな、もうだいぶ暗いけど・・・〉



「大丈夫だよ、ここに居るのは少しだけだから」



〈ここで一体何するつもりなの?〉



「ん?特訓だけど」



〈ええぇぇぇ!何でいきなりそうなるの?〉



「分かったんだよ」



〈何が?〉




先程までとは違う雰囲気を醸し出している秀に気付いたシルフィーは秀の話に耳を傾けた。




「今日のシルフィーの話を聞いて、自分がどれだけ無力なのか、精霊契約しただけじゃ屍契約には勝てないなら、それを上回る位力をつけなきゃならないって思ったんだ」




〈別に秀がだけが戦うわけじゃないでしょ、助けてもらったラウルって人もいるんだし〉



「確かにシルフィーの言う通りかもしれない・・・けど、もう嫌なんだ何も出来ないまま誰かが傷つくのは」


〈秀・・・〉



「だから強くなりたいんだ、屍契約が来ようとも誰も傷つかないでいいように強くなりたい」




秀の言葉を聞いたシルフィーはその場で笑みを浮かべていた。




〈契約者があなたで本当によかった〉



「何だよいきなり、誉めても何も出ないぞ」



〈別に何かが欲しくて誉めたんじゃないよ、ただ秀みたいな純粋に誰かを守りたいっていう人は多分屍契約並みにいないよ〉



「屍契約と比べるな」




先程までの真剣な空気が台無しになったものの、秀の純粋な気持ちにシルフィーも同意し、とことん特訓に付き合うと言ってくれた。





〈ちなみに特訓って言っても何をするの、ここで決まってないなんか言ったら軽蔑するよ〉



(そこまでしなくてもいいだろ・・・)




「分かってるけど、今俺に足りないものをあげたらたくさんあるだろ」



〈そうだね・・・魔力の基本的な使い方、魔力の総量の増加、魔力の応用・・・・・・あ、あと馬鹿も治さないとね〉



「お前は俺を傷つけたいのか」



〈あはは、冗談だよ、まあ挙げたらきりがないよ、ていうか秀自身が決めなきゃね〉



「そうだな・・・・・・やりたいことが一つあるな」



〈へー、ちなみにそれは何?〉




「その技の名称は知らないんだけど、ラウルが持っていた槍に精霊が吸収されたとたんに槍が変化したんだ」




〈ふむふむ、それは多分物質憑依かな〉



「物質憑依?」



〈名前の通り人に憑依するんじゃなくて、物質に憑依するんだよ、憑依された物質は形状が変わるから多分ラウルって人がやったのは物質憑依で間違いないと思うな、ていうか秀がやりたいことってこれ〉




なにやらかなり驚かれているが、秀がやりたいことは物質憑依だった。




「何か問題でも?」



〈おおありだよ、前にも言ったように魔力をまともに操れない人が物質憑依なんか出来るはずないでしょ〉



「そんなもんやってみなきゃわからないだろ、それにさっきとは違って敵がいないからゆっくりできる」



〈そうだけど・・・〉



「心配すんな、俺はプレッシャーに強い男だ」



〈そんなの初めて聞いたよ〉



「そりゃそうだ俺も初めて言ったことだし」






〈あははは、分かったよとりあえずやれるだけやってみようか〉




秀の冗談でこの場の空気とシルフィーの気が緩んだのかシルフィーも秀の意見に同意した。








〈まず物質憑依の注意点を説明するね、物質憑依の注意点は憑依できる物質は一つだけに限られるってことかな〉




「できればもう少し噛み砕いていただきたい・・・」



〈うーん、例えばある人が物質憑依で盾に憑依させたとするでしょ、そうしたら今後一切その人の物質憑依は盾以外に憑依させることが出来なくなるの〉




「じゃあ、その憑依させた盾が無くなったら物質憑依は出来なくなるってこと」



〈一回成功させれば、その人が盾だと認識する物質に憑依させることが出来るから大丈夫だよ〉




「なるほど、成功してしまえば鍋の蓋でも憑依可能になるのか」



〈鍋の蓋を盾として使う人なんて見たことないけどね〉



「よっし、じゃあ始めるから細かい説明はたのんだよシルフィー」



〈了解♪〉











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