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二十九話 契約開始

やっと精霊契約のところまでいけました(´Д⊂)

「契約を結ぶって、俺とシルフィーがが?」




「うん、これしか方法はないよ」




自分が精霊契約について知っているのはラウルから教えてもらった“正の器を見せる”ということのみ、いきなり精霊契約と言われ、かなり困惑していた。




「精霊契約がうまくいけば、秀も怪我する前以上の動きが可能になると思う」



「なるほど、うまくいけば、逃げ切れるってことね・・・ん、ちょっと待て」




精霊契約をする意味はわかったが、どうにも解せないことが一つ浮かんだ




「さっき、この森から出られないって言ってなかったっけ?」



「詳しいことは、全てがうまくいけば、全てを話す」




真剣な眼差しで見てくるシルフィーにこれ以上話しかけることが出来なかった。




「今から緊急用の精霊契約の結び方の手順を説明するね」




(緊急用?)




「精霊契約は契約者の強い想いに、精霊が持っている負の感情に打ち勝てば、契約終了なの」




(なるほど、ラウルが言った正の器を見せるってそういうことね)




「正規のやり方は特殊な道具や魔方陣で負を軽減して契約者の負担を最小限に抑えるんだけど、今はそんな暇はない」





いつ襲ってくるか分からない爆弾の恐怖に怯えて逃げるよりも、早く精霊契約をするのがベストのため、シルフィーは契約の準備に入る




「いい秀、強い想いって言われてもビジョンが浮かばないと思うけど頑張ってね」




「大丈夫さ、強い想いってのはもうあるから」



「じゃあ、いくよ秀!」




シルフィーが目を瞑るとシルフィーの周りに黒い霧のようなものがまとわりついていた。




(これが・・・・・負)






「来いシルフィー!」






シルフィーが飛ばした負は秀の体内に吸い込まれてるようにはいっていった。








「あれ、別に何ともないけどな?」





「苦痛はこれからだよ」





ドクン!




「っ!!」




(何だ?いきなり心臓のが・・・・・・)




ドクン!




(はあ、はあ、何だ?急に息苦しくなってきた)










「がああああ!」






負がもたらしたのは、息苦しさだけではなく、ゼファの爆弾のような激痛が全身に走る。




「精霊が持っている負はいろんな種類があるの、私が持ってる負は・・・・・・悔やみだよ」




(く、悔やみ?)




「この森ではいろんな生物がいる、その生物達はいろんな死に方をする・・・普通に生活をしていて急に天敵食べられたり、人間の狩りによって狩られた生き物」




「その生物の全てが十分生きたとは感じた筈がない、“まだ生きたかった”と思う生物の悔やみが負になって、この森の精霊の私に溜まるの、そして、その溜まった負を秀に飛ばしたんだよ」




「負に耐えきれなくなったら終わりだよ秀、体が死を選んでしまい、そして負を飛ばした私も死んでしまう」









「はあ、はあ・・・・・・ははは、ははははは」




息苦しさと激痛に顔を歪めるのが普通だが、その時の秀は笑っていた。




「な、何で笑ってるの?普通は我慢するのすらキツいのに」




「確かに痛いよ、でも生憎俺は普通じゃないんだよ、俺は人生の半分以上わ我慢してきたんだよ」



痛みに屈してかた膝をついていた秀だったが、ゆっくりと立ち上がった。






(凄い!こんなに早く苦痛に・・・・・・)










「スゲー痛いけど・・・・・こんな痛みで俺が夢を諦めると思うなよ!」





秀からまるで蒸発するように負が放出され、シルフィーが出した負が全て消えていった。





「はあ、はあ、どうだシルフィー」




苦痛を乗りきった秀が、シルフィーがいる方向へ目を向けると、姿が薄れて、宙に浮いているシルフィーがいた。




「んん?」




目の前でのことが訳が分からなく、目を擦ってから見るが目の前は全く変わらない光景だった。






〈契約が完了した精霊は前みたいに実態はなく、霊体みたいになるんだ〉



「おお、なるほどね、あまり理解出来ないけど」




〈何はともあれ、契約お疲れ様〉



「ああ、これからなよろしくシルフィー」



山を一つ越えたことで、お互い自然と笑顔が出る


しかし、それもつかの間で最大の山がやって来た










「ほう驚いたな、この土壇場の状況で精霊契約をしたのか」






「ゼファ・・・」






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