二十七話 精霊シルフィー
「おい、どういうことだよシルフィーが精霊って」
「そのままだよ、そこにいるシルフィーはこの森の精霊だよ」
「・・・んでシルフィーをどうするつもりなんだ?」
「お前には関係ないことだろう、何故気にする?」
「関係ないなんてことはないね、俺はシルフィーから助けを求められたんだ」
口では何とか言い争えるが、相手の男とたたかえば、秀の負けは明らかだった。
初めての相手にそれほどの実力の差を分からせるほどの力を相手はもっていた。
「そうか、なら言ってやろう・・・・・シルフィーをガリア帝国に連れて行く、ガリア帝国繁栄の為にな・・・」
「そうか、ならやることはただ一つだな」
秀はくるりと方向を変えてシルフィーの手を握り男とは別の方向に走って行った。
「ふん、せいぜい逃げ回るんだな」
男はその場から腕組みをしたまま動かなかった。
あれからどれほどの距離を走ったかは分からないが、二人は泉に行き着いていた。
「うわー綺麗な泉だな、水が透き通ってる」
「凄いでしょ、ここは私のお気に入りの場所なんだ」
「分かる気がするよここがお気に入りの場所になるってことが」
秀がそう言い終わるとしばらくの間沈黙が続いたが、その沈黙がシルフィーが破る。
「ねぇ、一つ聞いていいかな?」
まだ少し暗い顔をしてるシルフィーを元気付けるたむに、秀は笑顔で頷いた。
「何で今日初めて会った私を助けてくれたの?」
「はぁ?何言ってんだよ目の前で困った人がいるなら出来る限りのことはしたいって言ったろ」
「でも、あの時逃げてなければ、秀は助かったかもしれないに」
「俺はこういう性格なんだ・・・だから謝らないでシルフィー、俺はシルフィーを助けたいんだ」
秀の言葉のおかげでようやくシルフィーの顔もやっと明るい笑顔が戻った
しかし状況は変わらず劣勢状態、ガリア帝国の兵士に見つからないのがベストだが、あの金髪男が捜索に行かしたせいで、こちらは慎重に行かざるおえない状態だ。
「シルフィー、マナマ草原に繋がるように道案内してもらえないかな」
この状況を乗りきるにはマナマ草原で仲間と合流してレーガルに帰るのがベストだが、シルフィーの顔は何故か渋っていた
「ごめんなさい、実は私はこの森から出られないの」
「えっ、それってどういうこと?」
この劣勢の状況を切り抜けるにはどうしてもこの森を抜けたいのだが、シルフィーはそれが出来なかった。
さらにこの状況に追い打ちをかけるように、秀のよこに緑の色の球が転がってきた。
「ん?」
「秀、危ないその球から離れて!」
シルフィーがか叫んだのも反応しだが、緑の球は秀の背後で爆発して、秀はそのまま吹き飛ばされてしまった。
「秀!!」
「あ、ああ・・・」
「秀、しっかりして大丈夫・・・っ!!」
倒れ掛かってきた秀を抱えた時に感じた生ぬるい感触赤く染まった自分の手
「おしゃべりはそこまでにしてもらおうか」
「っ!!て、てめえ、精霊契約してたのかよ」
「紹介しよう、コイツが俺の精霊のタトゥナスだ」
〈ケケケよろしくな、にしてもゼファ、もう虫の息だぜアイツ〉
ゼファと呼ばれた男の肩に骨と皮だけの鳥が止まっていた。
「くそっ、逃げるぞシルフィー」
「ははは、逃げろ逃げろ時間はたっぷりあるんだから、まだまだ楽しませてくれよな」
ゼファはまたもやその場所から動かずに突っ立っていた。