二十四話 合格に向けて
シリルと秀との剣術の段取りが始まってすでに20分程経とうとしていた
「すげぇ、どっちも一歩も譲らねぇ」
「確かにすごい・・・」
まだ特訓を始めたばかりの二人にとっては、シリルと渡りあっている秀がでかく見えていた。
「前とは随分違うようじゃな」
「おかげさまでね、一回り大きくなれましたよ」
シリルがどう打ち込んでも間合い見切ってかわすことや、全てをきっちするガード、すかさず反撃するカウンター、など
今までの秀には出来ていなかったことを急にしてくる秀にシリルは驚いていた。
(なんじゃこいつ、以前とは別物じゃな)
少しだけシリルが思慮する瞬間を今の秀は見逃さなかった。
「そこだぁ!」
「ぐうぅ」
全力で振り切った秀の攻撃に、シリルは受けきれずに後ろに後退した。
「もらったぁ!」
体勢を崩している一世一代のチャンスに、走り出した秀だったが、シリルは秀が走り出してくる時を待っていたのだった。
「せいやぁぁ!!」
(突きか!)
いつもはこの突きを腹に直撃して終わる筈だったが、今の秀はそのシリルの突きを木刀でしっかりと防いでいた。
(な、何!ワシの渾身の突きを止めおった)
「どうやら俺の勝ちみたいですね」
シリルの喉元に木刀に向けてそう一言言って秀はシリルの特訓を終えることができた。
シリルから合格をもらった秀は、初めての勝利に興奮して眠れず、いつものようにいつものテラスで星を眺めていた。
「はあ、まじで嬉しいな」
「ほお、そんなに老人に勝つのが嬉しいか」
「なっ、シリルどうしたんだよ」
「どうしても聞きたくてなったんでな」
「もしかして俺に足りないもののことですか?」
秀がそう聞き、シリルは小さく頷くと、秀は自分に足りないものについて話始めた。
「俺、皆を守りたいと思ったから、強くなりたいと思ってたんですけど、シリルとやりあっている時に、ある気持ちが出てたんです」
「ある・・・気持ち?」
「はい、ただただ目の前にいる人を壊せばいいという気持ちです」
「・・・なるほど」
「でも昨日、ある奴の言葉を思い出していたら気付いたんです」
「一体何に?」
一呼吸開けた秀は、気づいたきっかけの凛に感謝しつつ、シリルに言った
「今持っている全ての力を誰かを守るために使わなきゃ駄目なんだって気付いたんです」
「ほう何でそう思ったんだ」
「簡単ですよ、誰かを守りたいと思って強くなりたいと思ったに、いつしかその気持ちが誰かを傷つける為だけにやっている、これだけ気持ちの矛盾があったんですよね」
「なるほど、気持ちの矛盾・・・か、いいこと聞かしてもらったな浅村」
「そうじゃ、今日の合格を祝して明日を出掛けるぞ」
「・・・はぁ?」
その時のシリル気まぐれ発言が秀を大きく変える事件になることを、秀はもちろんシリルも知るよしもなかった・・・・・・