二十三話 決意新たに
朝の目覚めは昨日のこともあってか、この世界に来てから一番良い目覚めであった。
昨日のことがあったか、自然といつもの口調より明るくなっていた。
「皆、おはよう♪」
「おはようございます浅村君、いつもより何だか元気ですね」
「そうかな、まあいいじゃないか元気に越したことはないだろ」
朝の食事も終わると、いつものように各自に別れて仕事につき、新藤と買い出しをしていると昨日のことが嘘のように思えてしまう。
「新藤これで全部か?」
「うんそれで全部だよ」
「そうか、じゃあさっさと帰りますか」
大型の袋を抱えて歩き出す秀と横に並びながら新藤はずっと気になっていたことを秀にぶつけた。
「はぁ、昨日のガリアの侵略がおかしいって?」
「普通に考えたらおかしいと思わないの」
「どこが?」
深いため息をついた新藤は小学生相手に説明するように説明を始めた。
「いい、普通侵略する相手のことを知らないで侵略するバカがいると思いますか」
「それって断罪の雷のことかな?」
「そうですよ、昨日の侵略を見ると、ガリア帝国はかなりの兵を費やしてましたよね」
「・・・確かにそうだな」
確かに新藤の言う通り、昨日の侵略の時ガリア帝国はかなりの兵を費やしていたはずだ。
新藤と連を連れて宿屋に戻る時に、ガリア帝国の兵に見つからなかったこと自体が奇跡に近いほどたった。
「じゃあ新藤、あれだけの数を費やしたガリア帝国は何がしたかったんだ?」
秀の言うことに、少し間をおく新藤に一瞬寒気を感じてしまった。
「もしかしたら断罪の雷を発動させるためとか」
「どういうこと?」
「昨日ラニアに聞いたんだけど、断罪の雷を発動したら、次に発動するにはかなりの月日がかかるんだって」
「そりゃそうだろうよ、あんなもんを・・・ポン、ポン撃たれたら・・・・・・」
新藤が言いたいことに、やっと気づいた秀の顔には冷や汗が流れていた。
「まさか・・・」
「もしガリア帝国のねらいが侵略じゃなかったら」
「断罪の雷を無駄撃ち指せるためか!」
「まだ分からないけど用心した方がいいかもね」
「そうみたいだな」
昨日のことを深く考えていない秀にとっては、新藤の話はためになっただろう
新藤との買い出しが終わった秀は自由な時間にシリルを探していた。
「あれ、シリル出かけてるたのかな?」
「シリルさんなら、連さんと蒼士さんと一緒に外に行きましたよ」
「ラニア、まじで外にいったのあの二人」
(なんだろう、すっごく嫌な感じがする)
宿屋を出て、いつも特訓していた場所にゆっくりと近づくと、秀の嫌な予感は的中してしまっていた。
「くそっ、もう一回お願いします」
「何度も向かって来るのはいいが、少し相手は代えさしてくれ、出てこい浅村」
「げっ、居たのかよ秀」
「ははははは、連何だよその顔は」
いつもの顔とは離れた顔になってる連を見ると、かなりの時間、特訓していたことが伺える。
「秀、お前一人で背負いすぎだぞ、お前は一人じゃないんだから、もっと周りを信頼しろよな」
「そうだよ、俺達は仲間なんだからさ」
「・・・・・・ありがとうな連、蒼士・・・・・・・・・まあでも、そんな調子じゃ頼りないったらねえな」
「おいおい、このタイミングでよく言えたなその言葉」
「確かに、でもそう言ったからには見せてもらわないとね」
蒼士にそう言われた秀は連が持っていた木刀を取り、シリルに対して向かい合うようにして立って木刀を構えた。
「なんか、えらく久しぶりな気がするな」
「ふん、その様子だと何かに気づいたのかな」
「まあね、・・・連、蒼士、見てな」
そう言うと秀は再びしっかりと木刀を握り締め、自分に足りないものの答えをシリルにぶつけるために、走り出して行った。