十三話 特訓開始?
「・・・はい?」
「だから、その木刀でワシに一撃でもいれたら合格だと言っているだ」
「いや、合格とか不合格とかの問題じゃないですよ」
シリルも木刀を持っているが、老人相手にこちらも同じく木刀で殴りかかるのはどうも否めない
「そっちが来ないなら、こちらから行くぞ」
「ちょ、ちょっと待ってシリルさん話をっ・・・がはっ」
突進してきたシリルは木刀を秀の腹に躊躇なく勢いよく突いた。
「まじ・・・かよ」
「中途半端な気持ちでくるからだ、ワシを殺すつもりでこい」
「・・・・なら、遠慮なく行かしてもらいます」
秀は力強く地を蹴りシリルに向かって走り出した・・・・
その時のシリルの目はよく覚えていた、いつものような優しい目ではなく、目の前の獲物を狩ろうとする目であった・・・
~風呂場~
「つっ、いてて、朝より多くなっちまったなキズが」
結局あの後、シリルに一撃もいれることは出来ずに今日の特訓は終わり、疲れを癒すために一人で静かな風呂に浸かっていた、奴が来るまでは
「な、お前もう大丈夫なのかよ」
「あっ、将軍お疲れ様」
「だから、将軍じゃなくて隊長だ」
「ははは、冗談ですよ」
「どうして、またこんな時間に風呂にいるんだ?」
今日から始めた特訓を話すかどうか迷ったが、話さなければ、また沈黙が続きそうだったので、ラウルには話すことにした。
「はあ、まじかよ!あのじいさんまたやってんのかよ」
「えっ、また?」
「・・・実はな、俺を特訓してくれたのはあのじいさんなんだよ」
「えええぇぇーー!」
「バカ、うるさいな耳元で叫ぶな!・・・で、どうだった入ったか攻撃は」
「全然ですよ、打っても打っても、かわして攻撃を逆に打たれるか防がれての繰り返しですよ」
「そうか、そうかでも気を揉むなよ、俺だって最初はそうだったからな」
「そうなんですか、とりあえず頑張ります、じゃあ俺は先に上がります」
部屋に着き、ベッドに入ると、相当疲れが溜まっていたらしく、すぐに眠りについた。