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三十話 潜入

俺が韋駄天で走り出した五秒後、見回りの兵士は地面に這いつくばっていた。


「マスター良いぜ」


周りを確認してマスターを呼ぶ。


「相変わらず速いですね」


「それが俺の能力のモットーなんでね、それより兵士がいるとなると厳しいな」

この先の道を見る限り窪みらしきものが見えない。


おそらく一本道だろう。


「厳しいですが、到達地点までもう少しです」


「お、そら元気なるねぇ」


マスターの朗報に少し明るくなる。


さすがに兵士が来るたびに韋駄天を使ったりするのは少々要領が悪いのだ。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


それから地下を歩いているとマスターは立ち止まる。


「ここです」


今まで歩いてきた道の途中、変わったところは何もない。


マスターはボウガンを上に向け、それを見た俺は嫌な予感がする。


ボウガンの先に魔力を集まり、その集まった魔力を天井となる上に放った。


放たれた弾は天井で貫き、巨大な瓦礫が落下し地下水道で大きな水しぶきと音を立てる。


上には瓦礫分の大きな穴が空き、そこから眩しいほどの光が差し込む。


「あの先は城内ですので、気を引き締めて行きましょう」


マスターは一層に顔を引き締めて瓦礫の山に登り、上へと消えていき俺も続く。

穴を出て、城内に何とか入るとそこは槍や剣に防具がある倉庫のような場所だった。


「ここは……倉庫か?」


「武器庫です、目立った行動は飛脚のみなさんに迷惑なので、ここで兵士に変装しようと思います」


「なるほど、初めから武器庫に潜り込むつもりだったんだ」


闇雲に突撃しても、多くの兵士を相手にすることになる。


何とかその場は切り抜けても、その後無事ではすまないだろう。


それに何とか切り抜けても、俺が飛脚の翼のメンバーなのは調べればすぐわかること。


だからこそ兵士に変装することが必要だ。


勢いだけとは思ったもののよく考えられている。


俺は先ほど兵士の服や防具を棚から取り、着替えようと上を脱いだとき。


「な、な、何してんですか!?」


「何って?着替えてんだけど?」


「そんなことはわかってます、何で女性の前で脱いでるんですか!」


ふむ、確かにマスターの言う通りだ。


普段から家族の前では半裸で過ごしたり、異世界組の女子はあまり気にしてなかった。


そのせいもあってか感覚が少し鈍っていたようだ。


「悪い、デリカシーが欠けてたわ」


そう言って互いに背中を向け、着替え始める。


兵士に支給された黒のシャツに青の上着を羽織り、黒のズボンを穿いた。


「支給されてる物なのに結構頑丈だな」


意外な作りに驚きつつ、俺はそのことを言おうとマスターの方を向いたが、その何も考えないのが悪かった。


目の前には下着姿のマスター、後ろ姿ながらもスタイルのいいマスターについ興奮してしまう。


そして視線に気付いたのか、マスターは俺の方を振り向いた。


「………いや、これにはわけが」


「っ///」


バチン!


武器庫に痛々しい音が鳴り響いた。


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