二十七話 敵は何ギルド?
やはり、スマホは無理だ……
襲撃があったその日の夜、ギルドに戻った俺達は出来事をメンバーに話していた。
メンバーと言ってもセシリアとハーツに被害者二名プラス石月の少数。
石月に関しては寝ろと言ったのだが、聞く耳を持たずで、聞く権利はあるとセシリアさんの助言で石月も加わり話を進める。
「はぁー仮面にかぎづめに爆弾ねぇ……そんな不気味で物騒なギルドはないと思うわ」
コーヒーが入っているマグカップに一口飲み一旦置く。
「それにギルドにとって信頼は重要なものよ、何もやってない人を傷つけることはギルドとしてはまずないわ正規ならね」
「正規?どういうことですか?」
食いついたのは石月だった。
「闇ギルドよ……」
誰よりも早く答えたのはセシリアさんだった。
闇ギルド――名前から想像できる通り、正規のギルドならまずやらない仕事を受け持つギルド。
やるけとはさまざまで、人さらい、暗殺、破壊活動、など人道に外れたこともするらしい。
闇ギルドは形さまざまで、もともとそういう仕事に特化したメンバーが集まったりしたり、正規のギルドがまともな仕事がなく行き着いた成れの果てでもある。
もちろん闇ギルドの根絶は騎士団の意義でもあるが、正規のギルドから闇ギルドになる隠れみの型も存在するので、見分けがなかなかつかないい。
表向きでは正規のギルド、裏では闇ギルドという通称コインギルドというのも少なくないらしい。
「最近じゃあ、人体実験をしてるらしいわよ」
「へー、そうなんすか?初めて聞きました」
「私も」
「私だって最近聞いた話よ、あくまでも噂レベルよ」
アスタやハーツのネシア育ちでも知らないことを知ってるセシリアさんは凄いな。
よくわからないというか、掴み所がない人で情報通とは何者何だろう?
「まあ何はともあれ、相手が闇ギルドにせよ、暗殺者にせよ狙われた理由が知りたいな」
深く椅子に突っ伏しながらため息を吐いた。
どうも疲れてしまったようだ。
「まあ今日は休みなさい、無傷なのは幸いだけど体力は確実に消費しているわ」
朝からの戦いで体力は浪費してしまった。
そこまで魔力を消費することはしてないのだが、この疲れはなんなんだろうか………まあ考えても仕方がないか
石月と一緒に椅子から立ち上がり、部屋を後にして自分達の部屋前で石月に一言
「石月、今日はありがとうな、おかげで助かったよあっちに帰ったら何かお礼するな、じゃあおやすみ」
「はい楽しみにしています、おやすみなさい」
石月が部屋に入ったのを確認すると、首筋を軽くかきながら、部屋に入らずまたテラスに向かった。
昨日とは違いまだ日はまたいでいないため、日が昇る気配はない。
その変わり対照的な月が雲に隠れずテラス全体を月明かりで照らしている。
「わざわざ、ここを選んでくれたのですか?」
テラスに現れたのはマスターだった。
まだ怪我は完治していないにこいつは全く。
「怪我はいいのかい?」
「問題ありません、それより寝てる場合じゃなくなりましたから」
マスターはぐっと俺に寄ると、俺の両手を自分の両手で覆う。
「私と今からお城に潜入してください」