十七話 謎の男
「韋駄天!!」
キィン!
「おっと…」
韋駄天のスピードで切りかかったが、天つ風は男の右手で防がれる。
「何!!」
〈金属でも入れてんの!!〉
「おっとっと、そんな単純な攻撃じゃ俺は倒せないよ」
いまだに剣の持つ所に立ったまんまの男
振りきろうとしたのに相手は動いてすらない、それほどの相手なのだろう
「ならっ絶空剣・嵐!!」
「おっと」
後ろに一歩ジャンプした男は地面に降りた
やっと動きやがったか
「さて、そろそろ動くか………」
片手でバカでかい剣に触れると、剣がみるみる小さくなり天つ風と同じ大きさになる
そして男は距離があるのに関わらず剣を振り抜いた。
「蛇腹剣!!」
(この感覚は!!)
覚えのある感覚に襲われた俺は反射的にしゃがみ体を丸めた
距離があるにもかかわらず男が振り切った剣は、俺の背後を通りすぎた。
そう、剣が伸びたのだ
あの時のように………
「ほう、初見でかわしたのはお前が初めてだ」
「こういうのは俺は初見じゃないからな」
「頼もしいねぇ」
蛇腹剣をまた構え、振り抜こうとした時だった。
「氷槍・包!!」
そう、男の回りが氷の槍に囲まれた。
親友の最近のお気に入りの技だ。
「連、みんな!!」
後ろには連とギルドの皆が立っていた。
どうやら西脇がやってくれたようだ。
「さあて、アンタは誰だ?それと目的は?」
「名前はスネイク、目的は上からの命でお前にアクセスを図れとのこと」
「……………」
「ん?どうしたのだ?いきなり黙って?」
敵ならここは
お前らに教えることなど何もない!!とか
………………と黙秘するとか
こっちの質問にまさか答えるとは思ってなかったため、俺はついつい黙ってしまった。
まさか敵さんが素に答えるとは……
「えっと……上って誰のことだ?」
「さあてな………質問は一回までだ、俺は帰らせてもらう」
「どの状況で言ってるんだよ」
「ん?どの状況かね」
パキィ!!
「な!?」
「氷槍が全部砕けた!」
「では失礼させてもらうよ」
よっこらせと言わんばかりにゆっくりと立ち上がるスネイク
スネイクすばやくテラスから飛び降りると、その姿はもう消えていた。