十三話 ぶつける想い
「…………」
浅村君は私の問いに答えない、ただ、私のさらに向こう側を見つめていた。
まるで、私がそこに存在してないかのように
「あの……」
私はたまらず声をかけようとしたが、どうにも続きの言葉が出てこない
すると
「はははは、どうしたんだよ、いきなりそんなこと聞いて、どうせ聞いてもしょうもないことだから気にすんなって」
彼は何の冗談だよと言わんばかり笑いながら、話していたが、彼が笑っていないということはすぐにわかった。
浅村君にとってはそれほど知られたくないのだろうか?
しかし、たとえそうだとしても私は知りたいのだ
「しょうもないことなんかじゃないです、私はどうしても知りたいんです!浅村君が言った凛って名前の人がどういう人なのかを」
自分でもびっくりするくらいの声量を出した私は、はっと我にかえる
「す、すいません…」
「いやいいよ、でも西脇、凛っていうのはほんとに知っても知らなくてもどうでもいいことだと思うよ」
妙に説得力のある言葉と落ち着きよう、何だか浅村君だけズルいです。
さっきまで取り乱していた自分がバカみたいです。
そう思っていると、どうにかして目の前の朴捻人に何かしてやったりな事をしたい。
「逆に西脇が何を理由に知りたいんだ?」
「うっ、それは……」
浅村君の問いに戸惑う私
(ここまで、それにこれまで色々とアプローチかけたのにわかんないんですか!)
と叫びたいところだがグッとたえてみる。
「じゃあ、教えたら教えてくれますか?」
「それはダメだ」
「何でですか!」
ついつい声を張り上げる
一方的な情報提供は等価交換の原則ではない
今ここで等価交換の原則を持ち込むべきではない
となどと考えさせれてる内に浅村君のペースに乗せられている。
悔しい、とても悔しい、多分私がどれだけアプローチしても、この気持ちは浅村君には伝わらない気がする
こんなにも想っているのに……二年前から
浅村君は全くと言っていいほど気づいてないでしょうけど、私はあの時からずっとあなたを想っているんですよ、あの時からずっと…………