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十話 再度の散歩

コアの一通りの説明が終わる頃には、すでに昼食を食べ終わっていた



「なるほど、そりゃまあ争いにもなるわ」



食器を重ねて運び、自動食器洗浄機にぶちこむ



「さて、またで悪いけど、外ぶらついてきますわ、さっきあまりぶらつけなかったし」



そう言って、俺は一人で外に出た。


どこにどう用事があるわけでもなく、ネシアを見渡しながら歩く。



「どこ見ても、ギルドばっかだな」



ほかにはないものかとキョロキョロとネシアを見渡す中、目を引く建物があった。



「城か………行ってみっか」



ただの興味本意だが、レーガル城を思い出した俺はかつかつと城らしき建物に歩いていった。






城に向かって歩くこと10分、俺は城前の城門まで来ていた。


大きさはほぼレーガル城と同じくらい


城門には目を光らせる門番のような人がいて、容易には入れなさそうだ


しかたなく引き返そうとした俺が後ろを振り向くと、ちょうど見知った顔と会う。



「あなたは、確か……マスターさんだったけ?」


「あら、そういうあなたは飛脚の翼の新メンバーでしたね、先ほどは本当に失礼しました」



お互い立ち止まり、マスターと呼んだ女性の方は丁寧にお辞儀をする


そして、それを追うように俺は慌ててお辞儀をする



「それで、どうしたんですか城に何かご用ですか?」


初めてなんで街探索です、と答えたいところだが、めんどくさくなるのが目に見えている



「悔しながら暇でね、ぼーっと散歩してたらここに着いてたんです、そっちこそ何か城に?」



と適当に答え、すぐに話題をあちらにむかわせる



「私は、ここの王室に依頼として呼ばれたのです」



「へー、凄いんですね、王室の話はまた会った時に聞かせてください、じゃあここらへんで」


会話を打ち切っておいたましようとした俺だったのだが



「まあまあ、せっかくですから話しませんか?」



「へ!?いや、俺は……そういや、に、任務があるんだった!!」



「ついさっき、暇って言ったばっかりですよね?」



「あ、いや、その………忘れてたな〜あははは」



「そんなに、私とお話するのが嫌なんですか………う、うっ……」



いきなり涙を流し始めるマスター、そんな光景に周りの目を集める



「す、ストップ!!お話したいです、ちょうどしたいなと思ってたんです!!」



慌てふためく俺を見たマスターは、ピタリと泣き止み



「そうですか、じゃあ行きましょうか」



とケロリとした感じで俺の手を引っ張っていく



「だ、騙された〜!!」






そして結局城内に入った俺は、引っ張られるままに、城内にあるカフェっぽい所に向かい合わせに座る


城の外側に位置した場所で外が見れる形になっていて、全面ガラス張りになっている


ウェイトレスに運ばれてきた水を一口のみ



「んで、何話すんですか?わざわざこんな所に連れてきたんだ、世間話じゃあないでしょ、俺の予想じゃ………コアでしょ?」



「ふふ、やっぱりあなた凄いですね、あなたの予想通り、私はあなた達飛脚の翼が手に入れたコアについて話してもらおうかなって思ってたんです、でも………」



俺と同じように水を一口飲んだマスターは続ける



「コアが何ランクかすら解ってなさそうですね」



「へー、よくご存じで」



「普通に考えたら、コアのランクがこんなに早くわかるはずがないからね」



「なーるほど、じゃあ何故俺を?」



「え?暇だからですけど………」



悪びれることもなくケロリと言う



「帰る」



椅子からガタッと立ち上がったが、マスターはガッチリと腕を掴んで離さない



「じょ、冗談ですよ、え、え〜と………そうだ私の任務について話そうと思ってたんですよ」



「あきらかに今思いついたように見えたのは俺だけですか?」



「と、とんでもない、まあ聞いてくださいよ」



疑いの眼でマスターを見つつも、マスターは自分の任務とやらについて話し始めた。






「へー王家の娘さんの警護ですか……」



「任務を受けたのはちょうど一週間前で、今日が打ち合わせをするからとかなんやでしたね」



「王家の娘さんが何者かに狙われる………嫌なご時世になったもんですな」



「ほんとそうですよね〜………さて、そろそろ時間だから行きますね」



運ばれていた残りすくないコーヒーを飲みほして立ち上がる


そして丁寧におじきをした時



「しゃがめ!!シルフィー!!」



天つ風で横一線にマスターの寸分上を切り払う



「ウオォォォ………」



俺が切り裂いたのはどこから現れたのか?ロストだった。


ロストはそれだけではなく、俺達がいたカフェ中に現れる。


現れたロストはカフェにいた人達をめがけ襲いかかる



「きゃあー!!」



「韋駄天!!」



目の前のテーブルを乗り越え、人に襲いかかるロストを切り裂く。


消してもカフェ中にうじゃうじゃいるロスト、障害物と我先にと逃げる人が邪魔で韋駄天を使ってもロストがなかなか減ることはない


自分がこうしてちんたらしている間にも、人が襲われているのだ



「くっそ!このままじゃ」


そう言って、唇を強く噛み締めた瞬間、上に何かが放たれた……そう認識した瞬間その何かが弾けた


ロストめがけて降り注ぎ、あっという間にロストを全滅させた。



「はぁ〜、すっげーな」



天つ風を木刀に戻し腰に差し込んで、ロストを全滅させたマスターに向かって拍手を送り、周りもつられて拍手を送る


その拍手を受けたマスターは、少し恥ずかしながらもぺこりとおじきをし、顔を上げた時



「きゃあー!!」



「うわぁぁぁ!!」



「誰か助け、ぎゃあー」



あらゆる方向から悲鳴が聞こえ、俺とマスターはすぐさま移動する



「何が起こってるんだ?」



「分からない、でも何か異変が起こってるのは確かみたいです」



カフェから出ても、城内はカフェとは比べ物にならない数のロストで溢れていた。



「わんさかとめんどくせぇな」



俺が木刀を天つ風に変えると、マスターが俺の方をちょんちょんと叩く



「すいませんが、ここ任せてもいいですか?」



「ん?いいですけど、どうしたんですか?」



「何かはわかりませんが、胸騒ぎがしますので、私は王家の娘さんの所をへ行ってきます」



「なるほど、なら道開けるんで、そこを通って下さい………吹き飛べ!!」



両手を重ね合わせ、風を放ちロストの大群の中で一本の道を作った。



「行け!」



「すいません、ありがとうございます」



風で開けた道を全力で駆け抜けた後、複雑な構造の城に消えていった。



「さあて、お仕事お仕事っと♪韋駄天!!」



ロストが溢れかえっているが、さっきのカフェみたく障害物がないため、バッサバッサとロストを切り裂いていき、二分足らずで殲滅させた。


そしてすぐさまロストに襲われた人に駆け寄る



「大丈夫ですか?」



「あ、はい動けます」



「そうですか、なら早く外に出ましょう、何だかよくわかりませんが、城内は危険です」


男性を立ち上がらせ、城から出た時、信じられない光景が目に入った。



「何だよ……これ」



つい30分ほど前までは平凡だったネシア中にロストが溢れていた


すでにギルドの人達が、ロストと戦っているが、数が数なため、いっこうに減る気配がなく、むしろ増えている感じだ。



「加勢したいのは山々だが、まずはこの人を安全地帯まで運びたいな」


<じゃあ飛脚の翼に戻ろうよ、連にギルドのメンバーがいるはずだから>



シルフィーの意見に賛成した俺は男性を抱え込み、飛脚の翼へと向かった。



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