五話 加入
ギルド(家)に戻った俺達は、さっそくギルドに加入した経緯を聞く
この世界のいろはを知らない俺達は分からないことだらけなのだ
「まずギルドに関して説明したいんだけどわかるかしら」
「ギルドに関しちゃ、ソフィアから大体は聞いてるから大丈夫、聞きたいのは何で俺達がギルドに入ってるってこと」
「あらそう、ソフィアもいい仕事するわね、まあそれなら話は早いわ、私達のギルド、私とソフィアを合わせても合計5人しかいないの」
表情一つ変えずにぺらぺらとしゃべるソフィア姉に片手を向け、制止させる
もう何となくだか分かってしまったからだ
まさにKK部状態、だからこそ今の状態が痛いほど分かる
仲間が少ないというのはなかなかのものだ
だからこそ俺は……
「いいですよ、ロストでもなんでもやってやりますよ」
「あら、たくましくていいわね、何はともあれこれからよろしくね」
「「はい!!」」
こうして俺達は今日付けで飛脚の翼の一員となった。
―翌日―
翌朝、朝食をとるソフィア姉妹と俺達六人
もくもくと朝食を食べる中、ソフィアは一人、俺をイライラした表情で睨んでいた。
(何なんだ?さっきからドスがきいた視線を感じるな)
パンをちぎる手がどうも猛々しい
「ソフィア、朝からそんな表情してちゃだめよ」
すました顔でパンをもぐもぐと食べながらソフィアに言う
「そんなことより姉さん、何でこの六人がギルドに加入してるのよ」
「何でってそんなのあなた自身が一番分かってるんじゃないの」
「そ、それは………」
俺に助けられた時のことを思い出したのか、ソフィアは俺を見る
そしてパンをちぎる力と睨みがさらに強くなる
やはり相当悔しかったのだろう
これは早めに退散した方が得策かな
そう思った俺は一口大としては少し大きめのパンを放り込み、ごちそうさまと両手を合わせた
テーブルに置かれていた自分が食べた分の皿を重ね、台所に運ぶ
そして壁についている大きめの穴のような所にぶちこむ
ちなみに自動食器洗い機
その自動販売機にぶちこんだ俺は玄関に通じるドアに向かう
「浅村君、どっか出かけるんですか?」
ちょうど朝食を食べ終えた西脇が尋ねる
「散策がてらの散歩、この世界を見てみたいからね」
「じゃあ、私も行きます、私も見てみたいですから」
俺と同じように食器を自動食器洗浄機に食器を入れる
「行きましょうか♪」
ドアの前で待つ俺に来た西脇はいつもの可愛らしい笑顔をする
ドアノブを捻り、出ようとした時
ジリリリリリ!!
「はい、飛脚の翼です」
電話を取るソフィア
「はい、そうですが………えええぇぇぇ!!あ、はい、すぐに向かいます」
いきなり叫んだと思えば、慌ただしく受話器を置くソフィア
「姉さん、アスタが広場で一悶着起こしてるって!」
「あらあら、それは大変ね」
口ではそう言うものの、表情は眉一つ動かさずパンをほうばっていた
その表情からは全くと言っていいほど大変さが感じとれなかった。
「もう、私が行ってくる」
まだ半分ほどしか食べていない朝食をテーブルに、置いたまま立ち上がる
「こらソフィア、朝食くらい食べてから行きなさい」
「こんな時に落ち着いて朝食なんて食べてられないわよ」
「まあ落ち着きなさい、ぴったしの人材がいるじゃないの」
顎をくいっと俺の方向にやる
「確かに何でもやると言いましたけど………」
「そんな秀さんに問題です、男に二言は?」
「………ないです」