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四十七話 内容

浅村 秀へ


君がこの手紙を読む頃には、俺は生きてはいないだろう


理由は言わずもがな、この手紙を読む頃にはわかっているだろう


君が俺の計画を止めて良かったと思っているかも知れないが、俺は最初からそう思ってたわけじゃない


俺は能力を手に入れた頃、理不尽な魔の手から弱者を守りたいと思っていた。


俺と沙耶香のような被害者を一人でも減らせるように


そう思ってたんだ俺の若かりし頃はな……


でも、それには限界があると気づいたんだ


力には圧倒的な力で対抗するしかないとな


だから、俺はアビリティシードをさらに使うことにした


被害者を増やしてでも、野放しにしてはおけない輩どもがいるかぎり、俺は力をふるうことにした。


だが不安だった、果たして俺にはそんな器があるのかと、もしかしたら俺よりもっと強い奴がいるかもしれないと、そう考えてたんだ


しかしその不安は秋山によって取り除かれた



(俺が秋山に完敗したことだな)




初めは圧倒的な力に諦めてくれるだろうと思っていたが、君は特訓を始めた


君がどれほどくだらない人と思ったときだったよ。



(余計なお世話だ!!)




そんな中、君が特訓を始めたと同じ時期に、アビリティシードの使いすぎにより秋山が暴走し始めた



(秋山が意味がわからない行動したのはアビリティシードの使いすぎによる暴走だったのか)




暴走のせいで多くの人が傷ついたのは本当にすまないと思っている、死人が出なかったことが唯一の救いだったかもしれない






近いうちに君とは最終対決をしなければならないだろう


だがしかし、この手紙を読んでいるということは、俺の負けなのだろう


つまりは……




支配するためだけの力が、誰かを守る力に負けたということだろう


そこでだ


君はこれからも誰かを守る力があることに誇りを持って生きていてほしい


そして絶対に俺の様にはならないでほしい



「ヒロ…………」




そして最後はお願いになるんだが、この願いは聞いてほしい



(願い?)




手紙の最後の一行部分まできて、最後の部分には力強く書かれていた。










“沙耶香を宜しく頼む”



「っ!?」




その時時間が止まったような気がした



(どういう意味だ………)


頭をフル回転させる


今までこんなに頭を使ったことがないくらい回転させていきついた答えは一つだった。



「もともと二パターンあったんだ」



〈どういう意味?〉




「つまりはこういうことだ」




片手を口元にあてる



「ヒロの計画には始めから泉さんから種をとるつもりはなかった」



「え!?じゃあヒロが残した遺書は?」



「まあ話を最後まで聞けって」




取るつもりはなかったが、俺を守ったせいで種を取ることになった




と計画が変更するところまで考えていたのだ



〈考えていた?〉



「あの遺書の問題は、泉さんが死んだことで成立する、じゃあ死んでいなかったら、戦って負けたのがヒロだけだったら」



〈そうか!!〉



「あの戦いで泉さんが生きていたとしたら、家に戻り遺書を見つける、自分は死んでないので、遺書を破棄する、これで成立だ」



〈じゃあ秀宛に届いた手紙は?〉



「あんなもん、泉さんが生きてたら何の意味もなさないただの紙だよ」



〈そうか……そうだったんだね〉



「………ひたってる場合じゃねぇか、石月が待ってる戻ろうか」



〈うん、戻るのはいいけどしおらしい顔、してたらダメだからね〉




シルフィーに指摘され、両頬を叩く


石月の前でこんな顔はしてはいけない、あいつは人を心配しすぎる癖があるから





とにもかくにも、戦いは終わったのだ。




一人の少女の命を引き換えに、もう一人計画を止めた



そして最終的に二人の死者が出るという、最悪の幕引きで終わったのだった…………














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