四十六話 手紙
俺が連れてこらろた場所はまったく人気がない所だった
砂利が敷き詰められた場所のために、砂利道独特の音が鳴る
「それで、話っていうのは何ですか?」
俺の問いに亀山さんは一拍おいてから答える
「唐突な話しになるが、実はこの前にヒロと飲んでて、その時の話なんだかな、こんな物を渡されたんだ」
胸ポケットから取り出した封筒を回転させるように俺に投げ渡す
「浅村 秀へ………」
「それを君に渡してほしいと言われたんだ」
「ヒロからこれを?」
「ああ、まったく、久しぶりに飲みに行くことになったら、大した話もせずに、それを渡してくれとはな」
どことなく寂しそうな顔をする亀山さん、ヒロと話をすることすら久しぶりだったのだろう。
「さあて、親友の約束も果たしたし戻るとするか」
俺の横を通りすぎ持ち場に戻ろうとする亀山さんを、俺は呼び止めた
一つだけ質問をした。
「亀山さん、あなたはもしかしてこの事件のだいたいを知ってるんじゃないんですか?」
「そう考える根拠は?」
「ただの勘です、僕は泉 裕という人物のことを全然知りません、でも、ヒロは何も言わずに手紙を渡すような人だとは思えないんです、ましてや親友というあなたに対してはね」
俺の問いに対し亀山さんは、黙ったままその場に突っ立っている。
やっぱり答えるのが難しい質問だったのか
そもそも確たる確証なんてものはないのだから
「すいません、出すぎたことを聞いてしまいましたね、忘れてください」
今度は逆に俺が亀山さんを横をすれ違い石月の所に戻ろうとしたが、俺の肩をガッチリと亀山さんが掴んでいた。
そして………
ドカッ!!
「ってて、やっぱり知ってたんですね」
「ああ………知ってたさ、だが知ったこところで、どうにか出来たってか!!」
「亀山さん………」
「ヒロから全てを聞いたよ、初めは嘘だと思ったよ、でも、ヒロから見せられた時はビックリしたさ」
見せられたとはおそらく、能力のことだろう、秋山達からまだ種をとってない時と見ると、瞬間移動する能力だろう
確かにそんなものを見たらビックリして当たり前だろう
「君も同じなんだろう、そして……止められなかったのだろう」
亀山さんは声に力を入り声をふるわせる
そんな亀山さんを見た俺は
「止められなかったのは俺の責任です、すいませんでした………」
その場で深く頭を下げる
「今更、私は君にどうしてほしいわけでもない」
「……………」
「とにもかくにも、私は失礼するよ」
そのまま過ぎ去っていく亀山さん
砂利の音が聞こえなくなるまで、頭を下げ続け、亀山さんがいなくなったであろうと確認したあと、頭をあげ、ヒロからの手紙を手にとる
戦う前からヒロが書いていた手紙
果たして何が書かれていれのだろうか
「…………………」
手紙を開ける手が震えるが、意を決して手紙の封を切った。