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四十四話 約束の場所

これから短い話が続きます

泉さんを背負って俺がやって来た場所は


一駅またいだ所にあるバカデカイ公園


その公園にある綺麗な湖だった



「ここがヒロに言われた場所だよな」




まだこの時間帯、人はほとんどいない


そして俺はヒロとの約束を果たしに行く、湖の中心に移動する


泉さんの冷えきった体を抱きしめる



「ごめんな泉さん、俺が不甲斐ないばかりに……」



泉さんを抱きしめる俺から嗚咽が漏れる



〈秀………やるよ〉




シルフィーの言葉にコクリと頷く


抱きしめていた手をそっと離す


支えるものが何もなくなった泉さんは静かに湖に沈んでいく


湖に吸い込まれるように沈んでいく泉さんを見ているとまた目の奥から涙が出てくるがそれをぐっとこらえる


まだ泣いてはいけない、まだ泣くわけにはいかないんだ


そう自分に言い聞かせる



〈秀…………〉



「大丈夫だ……さあ帰ろう」




公園から出た俺は、また人気のない道を通って学校に戻る


学校に戻れば、ヒロがいるはずだ、そこでまた今後のことを聞こうと


その時はそう思っていた。





「んな!?」



〈嘘………〉




学校に戻ると、そこには野次馬達がひしめいて、今シートをかけられていた人らしき形をしたものが運ばれていく



〈秀、あれって……〉



「……………戻ろう」



〈ちょ、何でよ!!〉



「いいんだ……もういいんだよ」



〈…………分かった〉




野次馬達を掻き分けて、家に戻るが、足取りはどえらく重い


駅に着いて、定期券を改札機に通して電車に乗る


電車に乗って、家まで俺とシルフィーはまったくの無言だった。



「ただいま………」



弱々しい声で、家に入る俺を見つけた姉がドタドタと駆け出してくる



「大変よ秀、泉さんがいなくなっちゃったのよ!!こんな手紙を残して」



「手紙?」




姉から手紙を受け取った俺は、手紙を書かれた文面を読み上げる



【助けてくれてありがとうございました、最後に私がこの家にいたことは誰にも言わないで下さい】



「様子を見に行こうとしたら秀の机の上にあったの」



「家に帰ったんじゃないのかな?言わないで下さいってのは、年頃の女の子が男の部屋で寝てたってのを知られたくないからじゃないかな」



「まあそうだといいんだけど……」




納得はしてない様子の姉だが、空気は読めるらしく、そこからは何も聞かずに自分の部屋に戻っていった。

俺も自分の部屋に戻り、ベッドに倒れ込んだ



(することはたくさんあるけど、今は何もしたくねぇ)




そのまま目を閉じると、夢の中に入っていった……


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