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虐められ抜いた私が悪役令嬢に転生し援軍を得て、婚約破棄してきた王子をざまぁし最高の男と結ばれるまで。  作者: 専業プウタ@コミカライズ準備中


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24/55

24.彼女の好きな人。

「ライアン王子殿下、アツ国のルドルフ王子がいらっしゃっています。応接室まで来てください」


私が席に着くとすぐに、ライアン王子を呼びに来た方がいて彼は教室の外に出て行ってしまった。

今から授業がはじまるというのに、彼は来客の応対をしなければならないらしい。


「ライアン王子殿下は、王族であると同時にアカデミーの生徒会長なので、沢山仕事を抱えています。この教室で困ったことがあれば、私を頼ってください」


隣に座ってきたギータ侯爵令嬢に声をかけられる。


ライアン王子殿下の言っていた通り、彼女は表情が変わらず何を考えているか分からない。

表情管理が完璧なのだろう。


「はい、宜しくお願いします」

私がそう言うと、ギータ侯爵令嬢は軽く頷き立ち上がった。


「今日は、ルイ国と周辺諸国との国際関係について議論します。一時期不安定に思われたライ国との関係も今は友好的なものです。アツ国も我が国と友好的な関係を築こうと接近してきております。アツ国が我が国に接近してきた理由について、まずは私の考えを述べさせてください。ライ国もアツ国も資源が豊かな国です。多くの資源の輸入を現在ルイ国はライ国に頼っています。アツ国はそこに割って入りたいと考えています」


教師が来ていないのに急にディベートがはじまり驚いてしまう。


ギータ侯爵令嬢が仕切り出したのを、周りが当たり前のように受け入れている。

おそらく、いつもはライアン王子が司会進行役をしていて今は彼が不在だから彼女が代わりに仕切っているのだろう。


「ギータ侯爵令嬢のお考えの通りだと思います。付け加えて言うならば、アツ国は我が国の軍事力に目をつけていると思います。同盟関係になり、サム国と戦争になった際に援軍を頼みたいのでしょう」

貴族令息の一人が発言した言葉に皆が頷く。


「その通りです。しかし、我が国はアツ国と同盟を結ぶべきではありません。我が国は強い武力を保持していますが、それは戦争をするためではなく自国を守るためです。アツ国と同盟関係になるとサム国を敵に回すことになってしまいます。サム国も我が国と同等とも言える軍事力を持つ国です。我が国が簡単に制圧できるような国ではなく、アツ国とサム国の争いには関わらない姿勢をとるのが最適解かと考えます」


ギータ侯爵令嬢が他の人の意見を受けて、また自分の意見を述べた。

私は彼女の言うことが理解できるくらいには勉強をしていたが、彼女のように堂々と意見を述べる自信がない。


「やはり、ライ国との友好関係を保つことがルイ国の安全にとっては一番だと考えます」

貴族令息の一人がライ国に言及すると、一気に私に視線が集まった。


当然かもしれない、私はライ国の次期王妃だと思われているのだ。

何か意見を言うことを望まれているのは、わかっているがその視線の多さに吐き気がしてきて言葉が紡げない。


「皆様、失礼します。イザベラ・ライト公爵令嬢は予定が詰まっておりまして、ご案内してまいります。このまま議論をお続けください」


ギータ侯爵令嬢はそう言って立ち上がると、私を外まで連れ出した。


「ご気分は大丈夫でしょうか?教室の風通しが良くなかったように思います。十分な換気もせず、教室にご案内してしまったことをルイ国を代表しお詫びさせてください」


私はギータ侯爵令嬢に、外に案内されベンチに座らせられた。

彼女の機転と心遣いに感動する。


「私の体調管理がなってないだけですので、ご心配なさらないでください。ギータ侯爵令嬢はどうぞ教室にお戻りください。3年生の活発な議論に圧倒されてしまいました。ギータ侯爵令嬢は皆の意見を纏めて、議論をより活発に導いておりましたね。私は人前で堂々と意見をすることが苦手なので、侯爵令嬢の堂々とした話ぶりと統率力に感動しました」


「そのようなことを言ってもらえたのは初めてです。すみません、情けなくも少し泣きそうです。初めて自分の存在が受け入れらた気がしています。私は貴族令嬢らしい会話が苦手です。政治的な話をするのは得意なのでつい仕切ってしまいます。周りからは煙たがれているとわかっていても、なかなか自分を変えられません。ライアン王子が自分がいない時の司会進行を私に任せて頂けたので、周りが私が仕切るのに納得してくれているだけです」


今まで表情が全く変わらなかった、ギータ侯爵令嬢の瞳に涙の膜が張っているのがわかる。


「ライアン王子はギータ侯爵令嬢の能力に気がついて代役を任せたのですね。ライアン王子殿下もギータ侯爵令嬢の存在を頼りにしているではないですか」


「はぁ、どうして私がライアン王子殿下が気になって仕方がなかったか分かってしまいました。気がつきたくなかった感情ですね。ここでの会話は秘密にして頂けると助かります」


そう泣きそうな声で言い残すと、彼女は顔を手で覆った。



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