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母の笑いかた

作者: 小林玲王奈

最近は、散歩をしながら、紅葉に暖まる景色。見かけなくなりました。焚き火。昔は、掃き掃除の手伝いと、お小遣いほしさにホウキを手にとり、背の丈を超す大きな、それはそれは綺麗な色でした。今でも覚えていますから。想像は容易です。今もある、美しい紅葉を、グッとひとつに、固めるんです。今は、グラフィックアプリがたくさんありますから、簡単にできますが、昔は。


昔の家には、仏壇に、お線香を上げるために、そう、ろうそくに火を付けて、毎朝、何時でしたか。たぶん、日の出、季節によって違いますから、毎朝、とても早く起きられる。健康な子供だったのでしょうね。そこには、マッチなど、簡単に火を付けられるものがありますから。


掃き掃除で、大きな紅葉を焚き火する前に、声をかけて、「掃き掃除したよ!」と。とても元気よく。庭の落ち葉は綺麗に、走れば土埃が出るくらい。お小遣いは、その場でもらって。夕ご飯前に、小銭をポケットに入れて喜んでいたんです。


おいも、忘れてはいけません。せっかくですから、お腹、とても空いてます。だから、次は「おいもちょうだい!」って言うんです。庭の敷地内には、土蔵(どぞう)があって、(ひさし)の下に、掘り起こした、そうですね。おいもは、サツマイモです。季節の変わり目、思い切り秋を吸い込ませて、しばらく乾かしておくんです。掘ってすぐにではないですよ。少し、そうですね。数日か、実際のところ、どれくらい干しておいたモノを食べていたんでしょうか。


サツマイモはね、焚き火を始めて、すぐに焼くと真っ黒になってしまいますから、焚き火をした後に、埋めるんです。私、小さいですから試行錯誤。楽しかったです。でも、最近、焚き火は、届け出や事前の準備が多くて、また、煙が出ますから、何かあればすぐに中止。もう住宅地では難しいですね。


大人になって、秋の楽しみかたも、時代も変わり、どちらの影響が大きいのか、これは私には分からないですが、変わりました。只々と、川沿いを歩きながら、家に戻れば忘れてしまうようなことを考えて、葉は只々、川から流れていき。綺麗ですよ。少し上を向いて空と重ねるんです。紅葉と空を。


ふとね。思うんです。段々と、世の中のルールは複雑になっていって、次の時代へ進んでいく中、きっと、これからも社会のルールは、更に複雑になっていって。このまま、何十年、いや短いですかね。何百年と経っていって、どれくらい複雑になっていくんだろうって。私なんか、その時はもういないでしょうから、考えるだけ無駄なことなんですけれど。次を生きる人が、紡いでいく世界は、きっと、すごく今より、もっと、なんか楽しめる世界になって。


そんな時に、只々、制約ばかりが増える世界ではなくて、何が正しくて、いや、新しいモノを柔軟に受け入れながら、古い、いや、これも違う。必要性、難しいです。けれど、焚き火のような、昔は楽しかったことが、今は難しくて、けれど、新しく楽しめることもあって。いや、こんなこと考えてもしょうがないですね。半生を生きて思うことですから。こんなことでも。



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― 新着の感想 ―
[一言] 拝読しまして、ゆっくり歳を重ねて行こうと覚悟ができました。有難うございました(^-^)/
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