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 私は神保(じんぼ) 美咲(みさき)。もう何年位ダンジョンマスターをしているのかしら。


 私と一緒に召喚された者達、私以外は冒険者側だったけれど全員もうこの世界にはいないから、当時の事を語り合える相手がいないのは少し悲しいわね……って嘘。


 後から時々召喚されるダンジョンマスターや冒険者を何度か見たけれど、特に召喚冒険者を始末すると良い糧になるのよね。逆の事も言えるけれど、それで皆少しおかしくなっちゃった。


 マスター側は召喚後暫くは相当弱いと言う事は身をもって知っているから、私はいくつかのダンジョンマスターを保護してあげたの。


 他のダンジョンマスターも同じ事をしていたみたいだけれど、私が保護したのは三つ。

 でも、その内二つは無くなっちゃったわね。


 今、人族の中では縁結びの聖地と呼ばれている跡地でダンマスをしていたあの二人、誰が見ても幸せそうで、仲が良くって本当に羨ましかったけど、私と同期の冒険者と他の時代に召喚されたダンジョンマスターがいつの間にか手を組んでいたみたいで、冒険者側が国を唆して片方を攻略しちゃったの。


 攻略……つまり、ダンジョンマスターの死よ。


 それを知った相棒は我を忘れて怒り狂って地上を侵攻し、私の同期を自爆覚悟で全滅させたの。


 流石に同期達もレベル上限に達していなかったので、自爆覚悟の特攻を抑えきる事が出来なかったわけ。


 ついでに、襲ってきた国家、ラスリ王国も致命的な被害を受けたみたい。


 私もその闘い、弔い合戦に参加しようとしたけれど、自分のケジメだから自分だけで行動させてほしいと懇願されて泣く泣く引き下がった……


 あれ程悲しそうな、悔しそうな表情を見たのは初めてだったので、引き下がるしかなかったのよ。


 で、結果はご承知の通り、この世界を混沌に陥れたと伝説を残す程の荒れ具合にして復讐を果たして消えて行ったわ。


 私は、二度とあの仲の良い二人のやり取りが見られない事に寂しさを覚えつつ、あの二人に襲い掛かった同期に恨みを募らせていたの。


 だから、同期が一人もいなくなっても問題なしってわけなのよ。


 しんみりしちゃったけど、私にはもう一人保護している……と言うより、配下にしているダンジョンマスターがいるの。


 その名前は弦間(げんま) 未来(みらい)


 この子は、あの二人とは違ってどちらかと言うと裏から何かを操るような、そんな性格ね。


 でもダンジョンレベル上限は60だから、恐怖に負けて……と言うよりも、あの空間で詳細の説明を受けていない様なので仕方がないけれど、一月待たずにダンジョンを創っちゃったのね。


 ダンジョン生成前の召喚直後のダンマスを見つけるのはほぼ不可能で、何とか出来立てのダンジョンを見つける様に配下を使って探し出す事しかできないから、あの空間で事情を知らないのであればこうなってしまうのは仕方がないわね。


 当然眷属も呼び出していた後だけれど、やはり事情を聞いていないようで<四天王>を選択していたの。


 因みに、事情を知っている私は最大レベル99になる様に<三傑>を選択したわよ。


 ダンジョンレベルが99になれば余剰の<保有レベル>を配下に振り分けられるから、そこはあまり考えなくても良かったのかも……って思った頃もあったけれど、この配下になっているダンジョンマスターの弦間に色々話を聞いた所、<四天王>と<三傑>で選択できる眷属が異なる事に気が付いたのよ!!


 弦間があまり覚えていなさそうな部分もあるけれど、<三傑>でしか選択できない魔物の中で私が選べていたのは<狼族>だけみたい。


 確かに同レベルの他の眷属二体と比べると圧倒的な強さがるので、<三傑>だけが選べる眷属だけを選んだダンジョンマスターがいれば確実な脅威になるけれど、今の召喚者達はあの空間で事情を聞かされていない様なので、私と違って(・・・・・)レベル99になり様がないから大丈夫よね?


 そもそも<三傑>を選択する事自体、有りえないでしょうし。


 一応どこで情報が洩れるか分からないから、問題ないとは思うけれどダンジョンの上限レベルを99にするには一月必要と言う情報は、弦間にも教えていないのよ。


 あの時私だけがダンジョンマスター側だったから、あの不思議な空間でこの情報を教えてもらえたけど、弦間達に聞く限りでは一切この情報を知らなかったのよ。


 普通は召喚されたらなるべく早くダンジョンを創って眷属を呼んで、安心な状態にしたいはずだから……それぞれに一月、合計二月も丸腰のレベル1が過ごせるわけないもの。


 って、話が逸れたわね。


 私は、目立ってしまって討伐対象になってしまった過去の二人を教訓に、当時からそうだったけれど、より一層引きこもって活動する事にしたの。


 ダンジョンも相当深くして上層階から徐々に強くしていく感じだから目立たないし、都度改装するので、階層が増えるたびに必要な内包魔力が莫大になっているけれど、普通のダンジョンと認識されているわ。


 で、気が付けば85階層のダンジョンになっているのよ。

 誰も攻略なんてできないレベル99のダンジョン。


 地上の情報は眷属や配下の魔物、それと配下のダンジョンマスターである弦間によって手に入るし……と思っていた所、本当に久しぶりに召喚が行われたみたい。


 フフ、本当に久しぶり。


 私は、新たに誰かを配下に出来る程の内包魔力は持っていないから、ここは弦間に頼ろうかしら。


 配下を増やして、地上も私が住みやすい環境に変えて行くの。


 フフフ、あの仲の良い二人の供養を行うためだから、地上の冒険者、騎士、国家……そんな無駄な者達には容赦なく消えて頂きましょう。


 もちろん、私の理想に異を唱える可能性のあるダンマスも……ね。


 誰もレベル99になれる者はいないのだから、この私が絶対の神・主なのよ!


 アハハハハハハハ、でも、慎重に……ね。


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