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「お~、ついに俺のダンジョンも一般公開ってところかな?イーシャとプリマが頑張ってくれたようだね」


「フフフ、なんだか一般公開と言う表現がおかしい気はしますけれど、そうですね。私の所にも沢山来場者がいますから大盛況ですね。今の所は朋美さんに影響はなさそうで良かったです」


 ダンジョンの中であれば、冒険者同士のいざこざが起これば第三者の人目もない場合が多いので、殺傷事件にまで発展する可能性が極めて高い。


 恩返しと言う立場で滞在してもらっている朋美だが、ダンジョンマスターとして得られる報酬が大きすぎるために、なるべく穏やかに過ごしてもらいたいと思っているのだ。


 レベルが高くなっているはずの召喚冒険者が来ていないかは、水野のダンジョンのレベルも上限にまで達している事から、アイズと言う目の形をした魔物を各自二体召喚して、一階層と二階層に配置して対策している。


 このアイズ、当然自らのレベル以下の者からは完全に存在を認知されない隠蔽能力があり、更には物理・魔法耐性、止めは完全鑑定を持っている。


 攻撃力は皆無だが召喚時のレベルは88であり、ダンジョンレベルが89にならなければ呼び出せない魔物だ。


 低レベルの魔物であれば50体纏めて呼び出した時に、召喚した魔物のレベルに応じて内包魔力が必要になるが、このアイズは単体で四階層以下のダンジョンであると言う好条件下で10万の内包魔力を必要とする。


 他のダンジョンマスターではそもそもダンジョンのレベルが不足している事、更には五階層を超えるダンジョンの作成を行っている以上、どう考えても内包魔力が不足する可能性が高い事から、決して呼び出す事の出来ない魔物だ。


 その魔物からの情報によって、恩返しのために滞在している召喚冒険者の朋美がレベル52に至っている事も知っている二人のダンジョンマスターは、侵入してきている冒険者の最高レベルが18程度である事から、静観を決める事にした。


 四階層と少ない階層だが、二階層以降は全ての階層を相当広くしている上に、更に拡張する予定であり、ここまで侵入者に認知された以上、一階層も拡張する事にした。


「侵入者がいるのに、変更って可能なの?」


「侵入者がいないエリアに限定されてしまいますので、一階層は……一度追い出す事を推奨いたします。適切な魔物は……ゴルダが良いかと思いますが、如何でしょうか?」


 相当狭い一階層には、隠蔽していた階段の前に列ができてしまっているので、このままでは拡張が出来ない事になる。


 ハライチから提案を受けた湯原だが、如何と言われても良く分からないので、全てを一任する。


「ハライチ、それで頼むよ。それとミズイチもカーリ(水野)のダンジョンの方も手伝ってあげて。で、良いよね、カーリ(水野)?」


「もちろんですよ、セーギ(湯原)君。ミズイチちゃん、よろしくお願いしますね」


 ゴルダと呼ばれている魔物、レベル12で自然交配できる魔物で、日本で言う所のとてつもなく大きなダンゴムシだ。


 物理・魔法耐性を持っており、レベル不足の者が倒すには相当時間がかかるのだが、その動きは非常に遅く、攻撃手段は丸まっての体当たりに限られる。


 丸まった時の攻撃速度は非常に速いが直進しかできないので、比較的逃げる事は容易い。


 その魔物を召喚直後、一階層に一気に10体ほど送り込む。


「あん?おい!おいおい!撤退だ!」


「ゴルダ!?早く階段に入れ!!」


 ハライチの思惑通り、長く攻撃をする必要があるゴルダが10体も現れた事に焦った冒険者達は、二階層の階段の近くにいる者は急ぎ階段に避難し、それ以外はダンジョンの外に慌てて出て行く。


「では、早速拡張いたしましょう」


 最近は、自分達で拡張等の作業をするのが正直億劫になって来た二人のマスターは、その権利をハライチとミズイチに開放している……のだが、律儀な二人は必ず実行前に許可を取るのだ。


 どの道聞いても良く分からないので、今迄何かを断ったためしがない二人のマスターだが、配下の<淫魔族>二人としては、ここはどうしても譲れない一線のようだ。


 やがて拡張が終了した際にゴルダを退避させ、中を恐る恐る窺っていた冒険者達が再侵入してきた。


「おい、階段……はここか。あれ?」


 そう、見かけはあまり変わっていないように見えた一階層だが、今迄下層に繋がっていた階段の入り口をくぐる(・・・)と……二階層と同じ様に地平線が見えているのだ。


「どうなっていやがる?って、これは!!」


 突然の拡張で冒険者が怯えないように、テストも兼ねて内包魔力1500を使って生み出した魔法のスクロール(レベル10相当)を複数設置していたのだ。


「こいつは!!」


「これは俺のだ!!」


 早くも奪い合いに発展したが、このスクロールはそれほど貴重な物であり、魔法を使えない者でもこのスクロールを広げる事によってレベル10の熟練の者が最大の力を込めて放った魔法と同一の強さの魔法が一度だけ発動するのだ。


 魔法の種類も基礎属性と同じく“水”“炎”“風”“土”の四種類であり、スクロールの色で見分ける事が出来る上、発動のレベルについてもスクロールの縁の色で見分ける事が可能だ。


 今回は炎魔法レベル10なので、スクロールの色は赤、縁の色は白になっている。


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