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 早速、全員が案を出し始める。


「では、何をおいても階層を複数回拡張の上、四階層まで作成する……と言うのが、基本と言う事でしょうか?」


「はい、レイン様。今後想定される階層分に分割できるまで、四階層までを拡張する必要があります」


 早速、この場に来て間もないレインがハライチと話をする。


「階層拡張に必要な内包魔力は200、四階層までの層の追加は100ですので、先ずは最終希望階層を出して、その分と予備を含めた分、階層の追加と拡張をしてみてはいかがでしょうか?」


 話が勢いよく纏まりかけたのだが、湯原が口を挟む。


「いや、ちょっと待って。一度拡張をした場合、最終的にはその分を分割して階層追加にするんでしょ?拡張された部分が新たな階層になった場合、大きさはそのまま……拡張された分だけなの?」


「ご指摘の通りです、主様。ですので、分割して新たな階層にした部分は、拡張された大きさ、つまりそう広くない階層と言う事になります。大きな階層をお望みの場合、更に事前に拡張が必要です」


「わかった。まだ最終的な階層を決めきれないけど、全ての階層は拡張した階層にしておきたいから、取り敢えずは……一階層は外から変化が無いようにこのままにするとして、あと二階層追加の上で可能な限り拡張しておくか」


「そうしましょう、セーギ(湯原)君」


 新たな仲間のハライチやミズイチを含めて全員が異を唱えなかったので、階層を四階層として、二階層から四階層までを可能な限り拡張する事にした。


 二階層分追加しており、二人共に内包魔力を200使用する。


 その後、本来睡眠は不要である元眷属の<隠魔族>の寝床として、コアルームの床を部分的に柔らかくする事に各30使用した。


「主様!私達なんかの為に貴重な内包魔力を……」


「私達は睡眠を必要としませんので、そのような……」


 当然二人は非常に恐縮しているのだが、湯原と水野としては、ここは譲れなかった。


「そうは言ってもさ、横になりたい時も有ると思うんだよね。ホラ、デルやレインの分も有る訳だし、あって困るものじゃないでしょ?それに、“なんか”なんて言うものじゃないよ」


「そうですよ。横になるだけでも疲れの取れ方が違いますから!」


 人型ではないこの場にいる眷属達も、鎖を揺らしたり、ピョンピョン跳ねている。


「「あ、ありがとうございます。主様」」


 と、こんな事もあったのだが、残りの内包魔力を二階層から四階層に均等に振り分けて階層拡張を実施した。


 何も設定されていないので薄暗い殺風景な岩場なのだが、入り口からは地平線が見えるほどに広大な面積になってしまった。


「これは……新たに来てくれたハライチやミズイチは、移動に苦労するな……そうだ!召喚魔物転移可能な力を取っているから、二人は召喚魔物に……」


「含まれます、主様。その力を自由に使えるように設定する事も可能です」


 事前に、魔物をダンジョン内部の任意の位置に送り込める能力を取得していた二人だが、この能力をハライチとミズイチに自由に使わせる事によって、他の眷属が持っている力と同様に、ダンジョン内部を自由に転移できるのだ。


 残念な事に湯原と水野のダンジョンそれぞれに所属している魔物や眷属である為、異なるダンジョンの中で転移する事は出来ないが、そこは所属の魔物と同行すれば問題ないし、そもそもコアルームは転移魔法陣Cで繋がっている。


 こうして階層追加が終わったダンジョン。


<湯原>のダンジョン レベル41 内包魔力0 <保有レベル0>

 全四階層 二階層拡張回数11 三階層拡張回数10 四階層拡張回数10


<水野>のダンジョン レベル40 内包魔力170 <保有レベル0>

 全四階層 二階層拡張回数 9 三階層拡張回数10 四階層拡張回数10


 拡張二回分の大きさであれば相当な大きさなので、その分を新たな一階層にすればよいのかもしれないな…と考えている湯原。


 そのまま単純計算で行くと、今のままでは二つのダンジョン共に20階層に満たない階層になるので、まだまだ先は長いと気を引き締める。


「これから内包魔力を溜める作業にまた移る訳だけど、同じように拡張するのは当然として、ミズイチの希望のように各拡張箇所を変更する必要もある訳だ。今後召喚する魔物や、それにふさわしいステージ、色々教えてくれると助かるよ」


「もちろんでございます。主様のサポート、誠心誠意努めさせていただきます」


 この日の夜は、両ダンジョン入り口前で全員揃ってハライチとミズイチの歓迎会が行われた。


 もちろん二人は人族のように食事を必要とはしないのだが、既に説得されているデルやレインによって事情が説明され、恐縮しつつも他の眷属達やイーシャとプリマと共に楽しく時を過ごす事が出来ていた。


「ねぇミズイチ。私は、最初の主…と言うのも嫌ですけれど、あの人族の時は一刻も早く消えたいけれど、生きたい……と言う不思議な感情でした。でも今は、少しでも主様の為に動きたくて、少しでも長く主様と共に在れたらと思うのです」


「私も……ですよ、ハライチ。今、私達はとても恵まれていると思います。これ以上の環境は何処を探しても無いでしょう。このような素敵な環境を下さった主を、命を懸けて共にお守りしましょう」

 

 ビーやスラエ、スラビの分裂個体が周囲を警戒しているので、楽しく食事をしているその中で、新たな仲間に加わった<淫魔族>のハライチとミズイチは決意を新たにする。


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