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お読みいただきありがとうございます

 湯原と水野が危惧していた、イーシャとプリマの離脱は避けられた。


「宜しくお願いしますね?イーシャちゃん、プリマちゃん」


「「はい!なの!!」」


 今までで一番の笑顔を見せる二人だが、湯原と水野は次なる行動に移る必要があった。


「じゃあ、ダンジョン・・・・・・作りましょうか」


「そうだな。それでイーシャとプリマ。これから俺達は二つダンジョンを作るんだが、眷属を呼べるのは一月後だ。それまで他の敵・・・・・・ほぼ全ての存在が敵と考えなくてはいけないと思う。安全の為に、協力してくれるか?」


「「もちろんなの!」」


「じゃあ、先ずは俺から行くか。何が起きるかわからないからな」


 二つの洞窟のうちの一つに集まっている四人だが、マスター以外の立場が同じ場所にいて、何か不測の事態が起きてしまうのはまずいと思い、猫獣人の二人には洞窟の外に退避してもらい、いよいよダンジョンを生成する事になった。


「出でよ、コア」


 湯原の胸から、頭の大きさ程度の幻想的な色の玉が出てくる。


「ダンジョン生成」


 湯原がコアを出してダンジョン生成を行う。


 一瞬光って視界が戻ると、全員の目の前に広がる景色は・・・・・・今までの洞窟と変化が分からない状態だった。


「ご主人様、何も変わっていないような気がするなの」


 外から入ってきたイーシャは、少し前の景色との違いが今ひとつわからないようで、思わず本音を漏らしている。


「ハハハ、大成功!想像以上だ。イーシャ、俺達は今後ダンジョンを狙われる。眷属を呼べていない生成したてのダンジョンなんて、冒険者や他のダンジョンマスターからすれば、ごちそうにしか見えない。でも、この場所を見てダンジョンがあると分からなければ、眷属を呼ぶ一月の間、無事に過ごせると思わないか?」


 湯原は、同じ地下型のダンジョンを作成する事により、枯れたダンジョンのままであると第三者に認識してもらえれば安全だと考えていた。


 寂れてはいるがかなり有名になっているこの場所であれば、ダンジョンっぽい穴であっても、既に枯れているダンジョンであるとの先入観があるからだ。


「で、こっちに来てごらん?」


 湯原が立ち上がり、洞窟の直ぐ奥に行くと・・・・・・


「あっ、よく見るとここに隙間があるなの」


「そう。これがダンジョンコアのある部屋だ」


 周囲の壁と同一で扉とはわかり辛い岩があり、そこを開けると、ついさっきまで見えていたコアが存在していた。


「これが壊されても俺は死ぬし、俺が死んだらこのコアも壊れて、ダンジョンは無くなるからな」


 イーシャとプリマを完全に信頼している湯原は、自らの命とも言えるコアについても説明し、水野もその行動を止める事は無かった。


 その後は隣の洞窟に移動したのだが、イーシャはこの部屋に残ってコアの番をするらしく、ついては来なかった。


 同じようにプリマを外に待たせた状態で水野もダンジョン生成したのだが、こちらも全く同じく偽装できる状態になっており、何とかなりそうだと安堵する湯原。


 こちらにはプリマが残り、隣同士ではあるのだが分かれて一晩過ごす事にした四人。


 翌朝、警戒しつつもダンジョンコアのある部屋から出て、隣のダンジョンに向かう湯原。


 イーシャは、一月はあの部屋にこもると言い張っており、連れて来る事が出来なかった。


 ダンジョンマスターになれば自らのダンジョンの侵入者が分かるようで、湯原が水野のダンジョンに入ってコアのある部屋に入ると、水野とプリマは笑顔で湯原を迎え入れる。


「おはよう、プリマ、カーリ(水野)。よく眠れたか?」


「はい。プリマちゃんがいてくれる安心感から、ぐっすりです」


 無事を確認した後、共に小食を食べるためにダンジョンの前に集まる。

 

 絶対にコアを守ると言う意識が強いイーシャとプリマの、ダンジョン入り口が見える位置でしか活動したくないという頑なな提言を受け入れる。


 こうして荷物から出している食事を終えるのだが……


「ご主人様が食べる食事の量、少なくなっているなの」


「どこか、具合が悪いなの?」


 二人に指摘され、苦笑いの湯原と水野。


 実は、これから一月ある意味籠城する必要があるので、食料を持たせるために自分達は消費量を少なくしていたのだ。


「いや、体調は何も問題ないぞ。俺達はそもそもあまり食べない方だからな」


「そうですよ。セーギ(湯原)君の言う通りなので、何も心配しないでくださいね」


 納得していない表情をするイーシャとプリマだが、それ以上は何も言わなかった。


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