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 レベル50を超えている召喚冒険者でも使える様子が一切見えない剣を見て、国王ミド・ラスリはため息ながらにこう告げる。


「レベル50超えでも無理となると、何かしらの特殊な制約があるのだろうな」


 再びミド・ラスリがその剣を手に持つと、簡単に鞘から引き抜いた。


 ミド・ラスリとしては、二人の内一方でもこの剣を使えるのであれば自ら出陣せずに済むと考えていたのだが、レベル50を超えて尚、王族以外に抜剣できない事が証明された以上は、自ら赴くしかないと決意する。


「俺が思うに、その状態で俺が持てば無敵だ」


 確かにその通りだと思い、むき出しの剣を岩本に手渡すのだが……いつの間にか鞘に収まってしまったのだ。


 浅はかな行いを否定されたまま、話は進む。


「二人が水元のダンジョンに向かっている間にも、我が王都からの移住者、出国する者は増加する一方。恐らく他の地域、国家からも移住者が殺到しているだろう。そうなると、相当力をつけている可能性があるので、先ずは下見に向かったらどうだ?」


 国王の言う事は尤もなので、目立たないように5階層程度まで様子を見ようと決める岩本と三原。


 6階層にまで進まないのは7階層での嫌な思い出があるので、少し腰が引けていた部分もある。


 こうして湯原と水野のダンジョンに到着して、何食わぬ顔で二階層に転移するのだが……


 アイズの監視から漏れるわけがないので、その情報は湯原(セーギ)水野(カーリ)を除く意志ある全員に共有される。


「全く凝りもせず……ですが、単純に普通の冒険者としての活動であれば許容していた所です」


「ハライチ、チェー様の分裂体から情報を得ているでしょう?どう見ても攻め込む気満々ですよ。ダンジョンマスターの水元一人を始末して得たレベル……その程度で再び愚行に走るなど絶対に許せませんが、無駄な衝突を好まない、特に(カーリ)様の御意思を尊重しなくてはなりません」


 二度目はないと一応脅してはいたのだが、再びどう見ても攻略するために侵入している三原と岩本の対応を始める。


 岩本としては完全攻略ではなく、何故か能力を認識できなくなっているダンジョン関連の者を配下にする能力、実際はチェーによって完全に剥奪されているのだが、その能力を使ってこのダンジョンを乗っ取ってやろうと思っている。


 経験済みの階層を慎重に進むのだが、やはり3階層までは本当にぬるい空間であるために一気に4階層も突破し、5階層の迷路の階層に突入する。


「俺が思うに、ここではさんざん煮え湯を飲まされた」


 有り得ない程の経験をした事を思い出しつつも、二人はそのレベルの高さから難なくスケルトン達を一掃して行く。


「6階層前まで行ったら、嫌だけど転送魔方陣を踏んで5階層の入り口に戻る。今の所は新たな力を得た情報は見つからないから、そこから一気に王城に戻って、その後……わかる?」


 一応ダンジョン内部なので、具体的な侵攻と言う言葉は使わない三原。


「俺が思うに、1階層の有象無象では大した糧にはならないのだろう」


 三原の問いかけに頷きながらも、もう少しすればあの屈辱を晴らすことができると確信している岩本だ。


「しかし、俺が思うに厄介な階層だ」


 襲ってくるのは二人にとっては雑魚と言って良いスケルトンなのだが、無駄に広い階層と行先が変わる経路によって苦しめられている。


 とある角を曲がって進むと、もう何度目かわからない行き止まりとなっており、愚痴を吐いて振り向くと……そこには音もなく立っている、いや、空中に浮かんでいるレベル99のゴーストがいた。


「な!この階層になんで!」


「俺が思うに、俺達の力を試そうとしているはずだ!」


 神保が先の戦闘時にゴーストを大判振る舞いしていたので、地上を移動中に多くの冒険者に目撃されており、ゴーストに関する情報は広く知れ渡っているのだが、この場にいるゴーストはレベル99に底上げされている別格の存在だ。


「お前達、前回の忠告を無視するとは良い度胸だ。お前等程度の襲来で我らが主の心を痛めるわけにはいかないので、取るに足らない存在であると知らしめて痛めつける程度にしておいてやる。かかってくると良い」


「バカにするな!」


「俺が思うに、返り討ちにしてやる!」


 ゴーストは物理耐性を持っている事は知られているので、魔法を行使する。


 岩本は未だに十分な攻撃魔法を使えないので、国王から貰っている高レベルのスクロールを広げると自らの武器である槍に光魔法を纏わせる。


 こうする事によって、槍の攻撃が魔法攻撃と同じくゴーストに対して有効になるのだ。


 爆炎と槍の綺麗な光がこの空間を支配しているのだが……


「やはり雑魚。全く嘆かわしい。弱者と認識していればまだ可愛げがあるが、己の力がどの程度なのかも把握できずに主に牙をむくとは……」


 心底あきれたようなゴーストの声が良く聞こえている。


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