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 結局リリアとハシムの家での会話は、あの時以降ダンジョンマスターに関する事や湯原(セーギ)水野(カーリ)の事を探るような話は一切出ず、この町に移動中の珍事や良さそうな観光名所の話で終わりを告げる。


「そうだ!これでは恩の一部も返せていませんが、あの時の食料と短剣の費用、お支払いさせていただきます。ハライチ」


「こちらでございます。どうぞお納めください」


 水野(セーギ)の指示によって小袋をリリアとハシムに渡すハライチ。


 その中身は虹貨50枚(5,000万円)が入っているのだが、中身を確認される前に強引に挨拶をして帰路につく湯原(セーギ)水野(カーリ)一行。


 残されたリリアとハシム……


「やっぱり俺達の当初の(・・・)想定は当たっていたみてーだな」


「悔しいけど、そうね。でも結果的に違うと判断して良かったじゃない?そうでなければ、この場所は寂れた縁結びの聖地のままだったはずよ?」


 湯原(セーギ)水野(カーリ)を護衛する際、二人がレベル1である事でダンジョンマスターだと疑っていた二人なのだが、本来のダンジョンマスターとは異なり二人()レベル1であり、周囲に護衛の気配がない事からダンジョンマスターではないと判断して、そのまま護衛を続けていた二人は、あの時に二人を手にかけなくてよかったと本当に心からそう思っていた。


 二人がダンジョンマスターであれば、この会話も間違いなく拾われていると知っているのだが、“ダンジョンマスター”と言う言葉を使わずに話している事から、自分達が秘密を漏らすような事はしないと暗に告げている。


 アイズによってダンジョン侵入時に厳格に情報が抜かれているので、信頼できる人々に対しては特に監視を行う事は無く、この会話が湯原(セーギ)水野(カーリ)に伝わっていないのが現状なのだが……


 最下層の城の一室に戻った湯原(セーギ)水野(カーリ)一行は、円卓の席で楽しそうにお茶を飲んで、お菓子を食べ、雑談している。


 当然ビー特性の回復薬入りの有り得ないお茶とお菓子だ。


(セーギ)様、カーリ様。本当に素晴らしいお方でした。ですがあの方々はお二人がダンジョンマスターであると気が付いておりましたね」


「「え?」」


 一応お礼も済んでホッとしている所に、ハライチから爆弾を投げられて驚く二人のダンジョンマスター。


 この場にいるイーシャとプリマ、他の眷属達も少々驚いているので、この事実に気が付いているのはハライチとミズイチだけの様だ。


「ハライチの言う通りです。早い段階で確信を得たようですが、こちらの知られたくないと言う状況も理解してくださったので、あれ以降はダンジョンマスターに関する事は一切口にしない配慮も素晴らしかったです」


 確かにミズイチの指摘通りに家の中で開口一番直球を投げてきたが、それ以降は他愛もない話に終始していた事を思い出し、ここまで深く考える事の出来なかった眷属、特に人型のレインとデルはミズイチとハライチがこのダンジョンのブレーンである事を嬉しく思い、頼もしく思っている。


「そ、そうだったのか。何れにしても素晴らしい人だって言う事は変わらない。俺も本当に尊敬できる人だと思っているから、早く正体を明かして後ろめたい気持ちをなくしたい思いはある」


「そうですね、セーギ君。ですが、ミズイチちゃんやハライチちゃんの言っている、大きな一件が終わらないとダメと言う事も理解しています。早く終わると良いですね」


 和やかな時間を過ごしている、湯原と水野のダンジョン。


 一方で、大きな一件と水野(カーリ)が言っていた当事者になるラスリ王国の国王であるミド・ラスリは、水元のダンジョンから戻ってきた岩本、三原と面会していた。


「陛下、俺が思うに俺達は歴代最強の召喚冒険者になりました」


「最強はこの私、三原信子ですが……二人共にレベル50を超えました」


「それ程か!わかった。その方達の力があれば、余の軍と共に行動すれば攻略は可能か?」


 予定通りに召喚冒険者二人の力が増加したので、国軍と共に行動して上層階の雑魚については対処させ、力を温存した状態の岩本と三原による攻略が可能かを問いかけるミド・ラスリ。


「俺が思うに、問題ないです」


「正直、私の当初の目的は直近の召喚冒険者への復讐だった。だけど今は違う。あれほどの屈辱を味合わせたあのマスター二人、絶対に許さない」


 一応(・・)完全防音の部屋になってはいるが、怒りによって力が漏れている影響でミシミシ不気味な音を立てている。


「三原、落ち着くのだ。その目的、すぐに叶う。何せ余も力を貸すのだからな」


 召喚冒険者の二人から見れば目の前の太った男自身には力がなさそうに見えるのだが、軍を出すと言っているのでその事だろうと思っていたのだが……


「これを見るが良い」


 席の後ろから取り出した一本の剣からは、確かに強大な力が宿っているのがわかるのだ。


「これは王族に伝承され、王族のみに使用が許されている剣だ。あの混沌の時代辺りに作成された事だけはわかるのだが、それ以外は不明だ。しかし、実際に近衛に渡しても鞘から出す事すらできなかったので、余自ら出陣しようと思っておる」


 確かに高価な魔道具と言われる武具も戦力増強になる事を知っている三原と岩本は、国王から剣を渡されて直接触れる事によってその秘めたる力に驚きつつも、どうやっても鞘から抜けない事に驚いていた。


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