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 一夜明けて、四宮のいる地上型ダンジョンの窓からは微かに明かりが入って来た。


 呼び出した眷属三体と共にダンジョンコアがある場所から移動すると、そこにはダンジョンの護衛をさせていたレベル27の眷属(サキュバス)によって始末されていた魔物が転がっていた。


 昨日見た、相当大きなネズミの魔物だ。


「おい、これはお前が仕留めたのか?」


「はい、ご主人様」


 四つ子であるかのように見分けがつかない内の一体から、肯定される四宮。


 既に隠せると知っている細い黒の尻尾まで含めて瓜二つなので、この四体の眷属をどう識別すべきかを悩んでいる。


 この周辺は距離はあるとは言え比較的街道に近い場所なので、強い魔物は出てこない場所になっているのが幸いし、このレベル2の魔物はサキュバスのレベル5相当の炎魔法で丸焦げにされていた。


「ご主人様、この魔物をダンジョンで吸収してください」


 何となくできる事は分かっているので、目の前の魔物を吸収するイメージを持つ四宮。


 すると、再び頭にメッセージが浮かぶ。


  <四宮>のダンジョン レベル2 内包魔力20


「何だこれは?と、続きがあるな」


  <保有レベル3>


 この表記は見た事がある四宮。


 眷属に与えられるレベル上昇数が記載されているので、取り敢えずレベル1の三体に振り分けるようにイメージすると……


 眷属の状況が分かる四宮は、自分の推測が正しい事を理解した。


 一体はレベル27のままだが、レベル1の三体が全員レベル2になったのだ。


 そして思い出したのは、ダンジョンレベル2と言う表記。


 再び頭にその表記を映し出すとやはりレベルが上昇しているようで、以前と同じく意識を集中すると…


……内包魔力を消費し、階層の微小変更が可能。内装変更や部屋の拡張が可……


「アハハ、成程な。今回はこいつを始末して吸収したから内包魔力とか言う物を得て、レベルも上がった……と。こいつを繰り返せば、眷属のレベルも上がるし、恐らく階層が増えて安全になるのだろうな。なるほど、冒険者はスタートダッシュで、ダンジョンマスターは後半伸びるタイプか。良いじゃねーか」


 ダンジョンマスターの力の上昇を体験し、すっかり気分が上昇している四宮。


 完全に神達が危惧していた通りの態度になってきている。


 四宮にしてみれば最低でも冒険者側はレベル20である事は間違いないのだが、このまま魔物を始末する事でダンジョンのレベルを上げて行けば必然的に眷属のレベルも上がり、最早敵なしになるのではないかと言う期待が有った。


「この情報位は公開してやるか?いや、ひょっとしたら、あいつらの所にも魔物が来ていたかもしれないな」


 そう呟きながらも、取り敢えずコアのある部屋に続くボロボロの扉を変更する事にする。


 この扉、周囲のボロボロの壁と一体化しているようで、良く見なければ扉とは気が付かない程で、隙間風が入ってくるので寝ている時に寒かったのだ。


 扉をイメージすると、再び頭にメッセージが表示される。


  <四宮>のダンジョン レベル2 内包魔力0


 丁度内包魔力は使い切ったようだが、想定通りに扉はしっかりとした作りになっており、隙間風に悩まされる事はなさそうで安心する。


「お前……だと分かり辛いな。よし、俺の名前を一文字取って、お前らはシノイチ、シノニ、シノサン、シノヨンだ。どうせ他の連中も俺と同じ種族を所管しているだろうから、同じように名前を付けさせて識別させるか」


 この流れで行くと、星出のインキュバスはホシイチ、ホシニ……辰巳のサキュバスはタツイチ、タツニ……最後に岡島のインキュバスはオカイチ、オカニ……になる。


 安直ではあるが、その数字が書かれたスカーフでも首に任せるかと考えている四宮だが、自らが名付けた眷属は、何となく見分けがつくようになっていた。


 最もレベルの高いシノイチだけをダンジョンに残し、残りの三体と共に他のダンジョンに入ると、やはり四宮の想定通りに全員が淫魔を召喚してよろしくしていたようだ。


 恋人関係である星出のその姿を見ても、最早何も思う事はない四宮はさっさと出て行く。


 これはこの場の四人全員に言える事だ。


 その後、四つのダンジョンの正面に集まり情報交換をする四人。


「で、テメーらの眷属のレベルはどうした?」


「私は、アリに少し多めに振ったよ」


「俺は、全員に均等だな」


「私は、ヒカリにすこし多めだね」


「そうか、わかった。で、お前らに朗報だ。実は……」


 こうしてダンジョンに関するレベルアップの話を公開する四宮と、その話を聞いた三人は安堵の表情を浮かべるのだが、この話をする事によって最早移動する事が叶わない近接四ダンジョンの内紛が起こるとは、この時は誰一人として思ってもいなかった。


 湯原、水野はもちろんの事、吉川達すら見つけて始末しようと考えていたのだ。


 彼らの欲は青天井だったから……


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