辛い日常
おはようございます!
朝早くの新作投稿です。他の作品は正直言ってまだまだなのでこれから本腰を入れようと思っています。
「オラァ、早くしろよ雑魚がッ!」
「うぐっ」
今、僕――ジンは冒険者達に痛めつけられていた。
ここは、酒場で回りにも数え切れないほどの冒険者がいるのだが、僕を痛めつけているのはSランクパーティーであり、このような暴行もこのパーティーでは日常茶飯事なので誰も間に入らない。
僕が暴行を受けている理由は、僕がダンジョンに行く準備を行っていたのだが、それが予定よりも遅れた……というのは建前であり、本当はただ苛立っていたのを僕を痛めつけ、発散させるためであった。
「この雑魚がッ!手間かけさせやがって!」
そう僕に言ってくるのはこのパーティーのリーダーのSランク冒険者のガインだ。
彼はこのパーティーの前衛をしている戦士で、大剣を扱う。しかし、この町では暴力が激しい男で有名であり、彼を止められるのはこの町では冒険者ギルド支部長のみと言われている。
「ほんと、何してくれるのやら」
そう言うのは、パーティーの魔法使いであるSランク冒険者のリーアだ。
彼女は魔法使いとしてはAランクなのだが、近接戦闘も行えるのでSランク冒険者として認められている。魔法使いには邪道と言われているのだが、その腕前は一流なので誰も文句を言えない。
「このクソ無能がッ!私達の気分を害しやがって!」
僕を蹴りつけながら、そう吐き捨てるように言うのはSランク冒険者のラスバンだ。
彼は弓を扱う狙撃手として有名であり、短剣を駆使した近接戦闘も可能としている。近遠距離の戦闘どちらも得意としている。
「はぁ~。もうどうでもいいよ」
深々とため息をつき、そう言うのはSランク冒険者のジアだ。
彼女は基本的に僕を構わない。あるのは、悲哀な瞳を僕によく向けてくるくらいで、極稀に殴られた箇所の治療を施してくれるのだ。無言なので心境は分からないが、心配してくれているのだろう。
「……」
さっきから僕を黙って見つめているのは、Sランク冒険者のファールドだ。
彼は謎が多く、常に無言で黒衣の外套を纏っているので、目元以外は見えない。彼は索敵能力と反射神経が有り得ないほど非凡で、投擲を駆使した戦闘で叶う者はいないと評されている。
そんなことを考えながら周りを見渡していると、いつの間にか話し合いをしていたのか会話をしており、結論が出てガインが締めくくった。
「もう夜遅いしな、ダンジョンは明日行くか」
「さんせ~」
「異議はありません」
「……分かった」
「……」
その決定に次々と賛成の声が上がっている。ファールドだけは頷くだけだったのだが。
そして全員が宿に戻っていった。僕は痛みを歯を食いしばって耐え、自分の宿に戻っていった。速度は遅かったのだが、数分で着いた。
僕の宿はほぼ馬小屋のような場所であり、近くにガイン達のいる高級宿屋がある。
自分の部屋に戻り、寝転がってゆっくりと瞼を閉じた。目の端にある水を無視しながら。
二話から進んでいきます。