24. 死神の呪い
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そういうわけでマース先生が何故か俺と敵対するフラグを立てているので、賠償請求はないにしてもその真意を確かめるべく彼女に出会おうとなったわけである。
ラッキーなことにマース先生の魔法史学の授業は取ってあるし、今日その授業があるので、そのタイミングで自然と聞き出すことができるかもしれない。
……が、その試みは第一段階で躓くことになった。
「えー、マース先生は個人的事情によって暫くお休みを取ることとなりました。魔法史学の授業は暫く私が代行いたします」
なんと、第Ⅱ章で登場予定の「マース先生死亡後に登場する何の変哲もない魔法史学男性教師」がフライングで登場したのである。
なるほど、「第Ⅰ章完!」というわけだな!
……だったらいいなぁ。
どうにも嫌な予感しかしないのは恐らく俺だけじゃないはず。
「先生、個人的事情というのはいったい……?」
意を決して聞いてみたが、年上女性教師のプライバシーなんていくら俺が貴族嫡男と言えども簡単に公開するわけなく、単に茶化されて終わってしまった。
「妙ですね」
帰寮後そのことをカリナに言ってみたら、そんな反応をされた。
「確かに妙だけど……でもこれでマース先生の毒牙がこちらに向くことは殆どなくなったんじゃないだろうか? 俺たちに事がばれて逃げた、とか」
「その場合、私達が『拉致が彼女の仕業だった』と知ったのを、どうやって彼女が察知したかが問題になります」
「……なるほど」
なんだか妙な展開になってきたぞ。
原作のヴォルフとマース先生の敵対フラグが立った様子は全くなく、なぜかその敵対フラグが俺の方向に立っている。なぜだ、俺が何をやったと言うんだ。
歴史の修正力というのがあって原作再現イベントをやったのはまだギリギリ許容範囲内だったが生死にかかわるオリジナル展開は望んでないのだが。
そういうのヴォルフに預けてあるんで。
「これは貸し借りとか関係なく、マース先生と対決しなければならないのではないだろうか」
「しかし、なぜです? なぜクルト様がマース先生に……何か変なことしました?」
「いやぁ、してないと思ったなぁ。あとをつけたくらいで……」
「それが原因なのでは?」
「まさか。その程度のことでマース先生がわざわざ貴族嫡男を拉致するかなぁ?」
「仮にマース先生とやらがクルト様が嫌いだった場合、『嫌いな奴にストーキングされた』ということになります」
「なるほど」
確かにそれは死んだ方がいいわ。
……え、マジでそれ?
もしそうなら、俺がやることなすこと全部裏目ってるってことになるんだけれど、もしかして死神の呪いとかかかってるの? コイントスで裏しか出ないの?
「謝ってどうにかなる問題ではありませんが、次に出会うことがあったら初手謝罪をお勧めします」
「……考慮に入れておくよ」
ボスに土下座するのか……なんだよその展開。そんなファンタジー見たことない気がする。
短いですがキリがいいのでここで切ります




