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「Birdriva」

作者: 自

「Birdriva」

雨上がり水溜りには空が映ります

小鳥の囀りが胸の渇きを潤し

アスファルトを蹴るヒールの音を愉しんでは

溜息混じりに小さく独り言を呟き

潰されそうな孤独に蝕まれる私

差し詰め杖一本に身体を預ける老婆のようでありましょう

先程まで差した傘からは雨露が垂れ、残されたそれを辿れば奥底の私に必ず出会えるでしょう

道行く人は鼻歌交じりその軽い足取りを疑う事もせずただただ単純

私の言の葉が幾ら空を舞おうとさざめく様なその音は彼らの鼻歌に消えてしまうのです

宜しければ二人並んで歩きません事?

寂しさ故に倒れこむ様な応答と

焦燥感に煽られ激動する情動。

蝶は触れられたら鱗粉を残して行きます。

私を捕まえた貴方にもきっと。

軋む椅子にもたれかかり窓から外を眺める。

Birdriva。それがこの地の名前です。

コーヒを啜りながら思い返します。

貴方の声貴方の仕草全てが貴方。

満たされているつもりでは有りましたが今

考えてみると意外とそうでは無いのです。

騙し騙されの話は無しにしましょう。遠く離れた今は野暮というものです。

お互い利用していただけ。

誰もが自己を愛で、欲を正当化するのに必死で論を語りますが、私にはそれも鳥の囀りのように当たり前の事になりつつあります。

それはつまり貴方が愛した私では無くなっているという事です。

悲しいものです。歳を重ねるとは。

あの老婆を老婆と見ていた私の青さを限りなく実感しています。

しんと静まり返った自室、最早動かす事も出来ないレコードをただただ見ています。

頭の中に思い出の詰まったあの歌を流して。

息が詰まり、呼吸が酷く荒い。

お許し下さい。貴方を捨て、身体が軽くなった私は今から其方に。




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