1時間目 エピローグ(と言う名のボッチアピール)
初めまして。てぃと申します。
初投稿です。なるべくエタらないようにがんばりたいです。目指せ、一日一投稿。
―退屈だった。
とにかく、退屈だった。
前へならえの掛け声と共にみんなが同じ方を向き、先頭以外同じ形をすること。
授業中、みんなが一心不乱に黒板に書かれた文字をノートに書き写すこと。
僕には、それらが不自然で、気持ち悪くて、面白くなくて……退屈だった。
しかし、それをやらないと集団から弾かれ、不良品とされ、苛められる。それは分かっていた。だから、誰よりも完璧にこなしてきた。
こなしてはきたのだが……、完璧にこなしすぎていたらしい。
成績は常にトップ、授業中も完璧にノートをとり、運動に於いてもトップ、もちろん中学でもそれらは変わらず、生徒会長にもなった。我が校始まって以来の天才、とすら言われていたほどだ。
ここまで非の打ち所がないのだ。友人の一人や二人は……と言いたいのだが、誰も近寄って来なかった。否、近寄らせなかった。
他人と交わることで、完璧が崩れる。他人が関わることで弱さが出てくる、そう思っていたから。
僕は、奴らとは違う、そう思っていた。完璧にこなすことで。
しかし、そうじゃなかった。所詮人間なのだ。その枠から抜け出せない。気付いたのだ、気付いちゃったのだ。
だから決めた、完璧を辞めよう。
雑多な、大多数になろう。
勉強もそこそこ、運動もそこそこ、友達も……そうだな、5、6人くらいでいい。
平凡な、一般的な人間になろう。
だから高校も偏差値50くらいの公立普通科に行こう。
あ、できれば誰も僕を知らなそうな土地がいい。
そう決めて、新たな生活を夢見て迎えた高校一年の春。
こういうのを高校デビューっていうんだろう?抜かりはない、ネットで調べたからな!
……はずなんだが、15年間培ったボッチスキルはその生活をよしとしてくれなかったらしい。
入学してから今に至るまで、話掛けられない。まぁ、僕も話かけてはいないのだが……。
いやだってさ?入学早々ある程度みんな仲いいんだもん!
え、聞けば大多数が地元の中学からの顔馴染みらしいじゃん?
取りつく島ないじゃん?
いや、それでも声が掛けやすいようにしといたよ?
みんながスマホのゲームにハマってるって聞けば、そのゲームダウンロードしてさ?誰でも助けられるようにランク1位になってみたりさ?流行ってる音楽とかも、そりゃ全部聴いて原稿用紙10枚くらいに良さを語れるくらい聴き潰したさ!
そして、その苦しみを語らいたく、ネットで書き込みしたよ!
いやぁ、ネットって素晴らしいよね?!顔見えないからなんだろうけど「わかるよ」とか「がんばれ」とかいってくれるんだもの!無責任でも嬉しいよ!特になりきりチャット、通称なりチャ。これはほんとに楽しい!だってさ、なりたい自分になれるんだよ?リアルじゃボッチコミュ症な僕がだよ?ネットでは、みんなから弄られ罵倒され、彼女とか、ライバルとか、なんか沢山いるんだよ!これヤバくない!?ヤバイよね!青春だよねー!これこれ、僕の求めてたやつ!いやもうリアルじゃ友達作れそうにないし、むしろこっちで住みたいなー♪笑
そうして僕はリア友ができずにネッ友がたくさん増えた。
高校一年、僕はリアルでの友達作りを諦め、ネットで友達を沢山作った。そうして迎えた高校二年の春、デジャヴかな?と思われるくらいボッチに成り果てた僕は……四六時中スマホを眺めてにやけてる程度の、大多数になったのだった。