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目には目を、嘘には嘘で  作者: ソラエル
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15.恨み

【高井光一】

『そうか。最後に今日の22時まで一応見張っといてくれ。それで終わりだ』

朝比奈家に張り付かせていた部下を今日限りで下げることにした。なぜなら所長が殺された日、朝比奈蒼蘭は一歩も外に出てなかっという部下からの連絡があったからだ。

そうなると疑う理由が無いのだ。

これで頭もスッキリした。朝比奈蒼蘭は犯人ではない。俺の勘も鈍ったな。

メッセージ、残虐性、日本刀の盗難。これまでのキーワードをメモに書いて行く。まだこれだけでは何もわからない。犯人の動機すらわからない。

そこで俺は被害者の共通点を調べることにした。

『古池、今起きてる事件の被害者の個人情報から経歴まで全部調べてくれ。全部だ』

『わかりました』

古池が調べてる間に俺は犯行現場と死体発見現場を調べてみよう。何かわかるかもしれない。


【朝比奈蒼太】

今日は妹の引退試合ということで一樹と春香と俺の3人で試合会場まで来た。中学2校で行われる送別戦のようなものなので会場は小さな道場だった。しかし、意外と人が集まっている。

『意外と人来てるもんだなー』

一樹が俺の考えを代弁したかのように呟いた。

『当然でしょ。我が子の中学最後の試合だったら見にきたいでしょ?』

『あ、そっか。みんなこの試合で最後なのか』

『なんでこんな奴が見にきてるのかしら』

春香が一樹に呆れ気味に言う。

春香の言う通り、中学最後の試合となればそれなりのギャラリーは来る。周りを見渡せば保護者であろう人がたくさん来ている。

『お兄ちゃん!』

武道場の方から道着姿の蒼蘭が駆け寄って来た。

『思ったより来るの早かったね!』

『ああ。一番見やすいところで見ないとな』

ちなみにもう席は確保済みだ。会場に来た時はまだギャラリーはいなかった。なので一つ一つ選ぶ時間があったので、一番全体を見渡せる席を確保できた。

『蒼蘭ちゃんは大将?』

『うん!絶対に勝ってみせるよ!お兄ちゃんの前だしね!』

『勝ったら何かご褒美をやろう』

『ほんと?お兄ちゃんのことだからケチな物とかくれそう』

『そんなことはないぞ妹よ。ここまで器の大きい兄貴は他にいない』

『なんか、すごい自信だね』

妹といつも通りの会話をしたら

『じゃあもう行くね。絶対に勝つからね!』

と、強い意気込みを残し妹はその場を離れた。緊張はしてなさそうだったし、大丈夫だろう。

『しっかり蒼蘭ちゃんのこと応援しなきゃね!』

『まかせろ!一樹様がしっかりと応援してやる!』

春香も一樹も気合十分だ。ん?剣道の試合って無言じゃなかったっけ?ま、応援するのには変わりないか。


【安田菜々】

お父さんが殺されてから1日が経った。犯人の手がかりは掴めていない。私は絶対に犯人を許さない。警察が見つけられなくても、私が見つけて罰を与える。

見当はついている。私が娘だと知ってわざと私に近づいて来た、あの男。

どこに隠れようが絶対に見つける。

昨日から安田家の生活が一変。お母さんはずっと放心状態で、家事すらまともにできなくなった。たまに突然泣き崩れる時もある。

ほとんどノイローゼ気味だ。お父さんがいることで安田家の幸せは保てていた。

その幸せはたった1人の人間の手で一瞬にして崩壊した。

絶対に殺してやる。私は逮捕なんか望んでいない。お父さんと同等の、あるいは何倍もの恐怖と痛みを与えてやろう。

絶対にこの手で見つけてやる!

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