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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第二章 堅華なる鉄の守り 
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92話 状況把握

 ◇◇◇




 …と、こんなことがあったわけだ。


 あの後、周りからは冷やかしやらヘタレだのと散々言われたが、そんなことは俺がよく分かってるのでもう堪忍してください…って感じだった。

 特に、ポポとナナは俺が断ると思っていたようで、やれやれといった顔で「薄弱な意思ですね」とか言われてしまった。


 …ぐぅの音も出ねぇ。


 …それ以降はアンリさんと会っているわけではないが、今じゃアンリさんとはなんともいえない関係で、友達以上恋人未満みたいなことになっている…と思う。


 落ち着いたらグランドルに来るって言ってたけど、大丈夫かな…。

 どういう風に接していいか分かんねぇ。


 まぁ、考えておかないとな。




 それで話を戻すが、ここまでが学院での話だ。

 こっからは別の話。


 学院での依頼が終わった後は、グランドルに戻った。

 それからは地球に帰る手段の模索とSランク関連の準備、あと仮面の組織についても調べることが主だった。


 一番直近であったSランクについてだが、普通に行いましたよ…何の問題もなくね。

 王都のギルドに行って、偉そうな人たちに囲まれて、同伴してくれたギルドマスターがなんか説明してくれてたから、比較的スムーズに進んだと思う。

 決まってからは号外で結構騒ぎになりましたわ。

 初めて見たよ…町中でビラをばら撒いてんの。喜ばしいことなんだろうけど、資源が勿体ないとか思ったね、あれには…。


 ま、今じゃ新米のSランクとして冒険者業やってます。

 …やってることは今までとは変わらんけど。


 ただ、Sランクは大きな問題や事件の際は招集がかかる可能性があるとか言ってた。そういうのが嫌だからSランクを拒否してたわけなんですがね…。

 まぁ代わりに通常の依頼等では報酬が割高…言ってしまえば破格になるらしいんだけど、別に金には困ってないし、それを理由に招集はなしにしてもらえないかと聞いてみたんだが、駄目っぽい。

 考えるに、Sランクを繋ぎとめるための措置でもあるんだろうな。エリック君やメイスン君もそれっぽいこと言ってたし、上層部の人の焦った顔を見るにそれしか思いつかん。

 随分と一方的な言い分だが、元々高ランクになって損はないわけだから俺が特殊なだけだな。




 んで、聞いた話だと、ラグナの災厄は世界規模の話題となった。

 過去に起こった大きな災厄と比較しても見劣りしないと、上層部の人が判断したとか…。

 それだけの規模だから、今じゃラグナ大森林は大規模な調査が行われている。

 モンスターの大量発生原因は何なのかとか、多種多様なモンスターが混ざっていた理由はなんなのかとか…。詳しいことは俺は分からないが、それっぽいことを今調査中とのこと。

 仮面の男による人為的なものの可能性が高いと言及しておいたが、人の手によって引き起こされたことに皆懐疑的な眼差しをしていたので、どうなることやら…。


 そのあたりはもっと影響の強そうな学院長とかギルドマスターに任せておこう。

 Sランクになったとはいえ、Sランクになってからの俺の実績はまだない。こういうのは実績があって初めて声が届くと思っていいだろう。


 出来る範囲で貢献していけばいい。

 そうすりゃ結果はついてくる。うん。




 それで、仮面の男については個人的に色々調べてみたが、まだ何も分かったことはない。

 …まぁ俺の情報収集なんてたかが知れてるので、分かり切っていたことではあるのだが…。


 でも、あんなことができるような奴の組織だ。誰か知ってそうな気もするが、今のところ誰も知らないのを見るに秘密結社とか、謎の組織とかなのかもしれない。


 仮面は…命をいずれ貰いに来ると言っていた。

 別に来たところで返り討ちにはできるとは思うが、仮面の実力…そして組織の規模はまだ不明だ。安心はできない。

 それに…あいつは俺の実力を知っていてなお命を貰いに来ると発言していたし、その手段があってもおかしくはない。いつどこから狙われてもおかしくないだろう。


 未来の俺が、俺に会いに来たことも…もしかしたら関係しているかもしれない。

 ただ…俺の見た記憶の光景はまだ実際に起こってはいないから、まだまだ先の話なのかもしれないし、もしかしたら…俺はアイツとは別の道を辿ってる可能性もある。

 ハッキリ言えば、警戒することはできても対策のしようがないのだ。


 ただ、何かが起こることは確かだ。それだけは覚悟しておこう。




 ◆◆◆




 …そうこうしている内に、俺は目的地へと辿り着いた。

 瓦でできた屋根で、日本にある母屋のような…そんな住居に。




 第一の目標である地球への帰還。それを探るべく、今俺はこの東の地へと訪れているわけなんだが、なんで来たかと言うと、異世界人と深い関わりがあるらしいから。

 …なんでかは分からんけど。


 こっちに来た異世界人たちも、俺と同様に元の世界に帰りたいという意思があったのかもしれない。

 知ってる限りじゃ誰一人として帰れたなんて記述はないが、少なからず考えるくらいはしたことがあるんじゃないかと思っている。

 だから、未知の魔法や、それに準ずる方法が残っているかもしれないと考え、足を運んだわけだ。


 訪れてみると、なんというか…昔の日本? みたいな感じの風景が広がっていた。

 住民は和服に似たものを着て、中には腰に刀を差している人もおり、日本の文化満載と言った感じだった。


 まぁ、何時の時代だよって話ですけどねー。


 グランドルとの距離を考えると、険しい道のりも考慮して軽く5日は掛かる距離なんじゃないかな…。来るまでに砂漠に近いような土地もあったし、この世界の移動手段があまり発達していないのを見るに、東の出身の人をあまり見かけないのはこれが原因だろう。


 ありゃ…見ててキッツイですわ。




 まぁそれはこの辺にしておいて…


 特に声を掛けることもなく、中に入ってある部屋を目指す。

 木でできた玄関の扉は横にスライドし、それが日本っぽさを醸し出していると感じた。


 すると…


「お? ツカサか。今日はもう終わったのか?」


 数ある部屋の内、声のした部屋へと入る。




 そこには、本や書類に囲まれたシュトルムがいた。

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