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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第一章 グランドルの新米冒険者
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60話 異世界人達

「…………ふぅ、少し休むか…」


 流石に朝からぶっ通しで本を読むのは疲れる。

 普段あまり本を読んでいないからそう感じても仕方ない。


 とりあえず、本を机の上に置いて楽な姿勢を取る。

 今いるスペースは生徒の自習用のスペースなのだが、その一角だけ、本が山積みになって置かれており、「なんて勉強熱心な奴なんだ!」みたいな光景になっている。

 実際は流し読みで、重要そうなことが書かれているところだけを読んでいるだけなので、思ったほど読んでいるわけではないが…。

 まぁ、漫画の良いシーンだけを見ている感じだな。うん。


 ナナがいればもっと早く情報を集められたんだが…昨日の夜にクレアさんと一緒にどこかへ行ったっきり帰ってこないし、結局1人で調べる羽目になったのが痛い。


 なんで必要な時にいなくなるんだ…。好き勝手行動するのもちょいと問題かなぁ。


 罰として撫でまわし地獄の刑でもしてやろうかね。




 …まぁそれは置いておいて。

 それで、読んでいくつか分かったことが判明した。




 まず、過去にこの世界にやってきた者たちについて。


 この世界に来た者たちは皆強大な力を持っていたようで、『英雄』、『賢者』、『勇者』とか呼ばれるほどだったらしい。これは神様がそれに近いスキルをあげていたみたいだし、間違いないと考えられる。

 特徴として、全員が黒い髪をしていたそうだ。

 そして、全員が世界的に有名で、少なくともほとんどの人が知っているとのこと。




 約1100年前に1人目の異世界人、『エイジ・モリサキ』…『英雄』と呼ばれた人が現れ、100年続いた戦争…『断罪』に、その類稀なる実力を持って終止符を打ったらしい。


 悪い予想通り、やっぱり戦争に関係していたか…。

 当時の状況を詳しく知りたいものだが、文献や本だと所々重要そうなところが欠けていてイマイチ分からない。ちくしょう。


 3人の中で一番古いししょうがないかもしれないが、なんか狙ったかのように欠如しているのが気になる。勘違いかもしれないけど…。


 ちなみに女好きだったらしく、何人もの女性を誑かしたとか…。なんかそれっぽい記述を見つけた。

 そんなのは別にどうでもいいんですがね…。もっと別のが知りたい。


 まぁ、俺の中ではどんどん評価が下がってますよ、『英雄』さん…。



 …んで、約700年前に2人目の異世界人、『ケント・キヨミヤ』…『賢者』と呼ばれた人が現れる。


 この人は記述を見る限りまともな人だったっぽい。

 詳細不明となっていてよく分からないが、とんでもない魔法をつかうことができ、自衛にしかその力を使わないことで有名だった模様。ひたすらに回復薬の製法や魔力の研究、魔道具開発に没頭し、現在に至るまでの全ての基盤を確立させたのがこの人だそうだ。

 それ以前はまだまだ確立されていなかったらしい。


 この人は生涯独身を貫いたらしく、女性とは無縁な方だったとか…。


 こちらについては高評価をしていますよワタクシ。『英雄』さんとは比べるまでもないですね。

 ただ、とんでもない魔法がなんなのか気になりますけど…。



 それで、約400年くらい前に『ユウキ・イガラシ』…『勇者』と呼ばれた人が現れる。


 この人は前の2人と比べてそこまで印象強く書かれてはいなかったが、あらゆる過酷な状況下で常に先陣を切って戦いに赴くという、勇ましき行動からそう呼ばれるようになったらしい。


『賢者』さんが成し遂げた偉業によって生活水準が向上。世界は繁栄したものの争いが増えることになったため、戦いが頻発したというのが原因らしい。


 まぁ、時代の流れだからこれはしょうがない。争いはどの世界でも絶えることはないんだろうね…。今は落ち着いてるみたいだけど。

 誰からも愛されるような人格をしていたという記述もあり、すんばらしい人間だったのが伺える。

 持っていた力は『英雄』さん、『賢者』さんほどではないそうだったが、それでもそれなりに高かった模様。


 この人はまさしく勇者や、惚れてまうで?

 こちらも好評価ですな。



 んで、4人目の俺が拉致…もとい、ご招待されたというわけだ。

 …根に持ってるわけじゃないんだからね?




 まぁ、こんな感じか。


 ここからは推測だが…


 名前からも、そして髪の毛の色からしても、恐らく3人とも日本人であると思われる。

 アジア系の人間だったら黒髪かもしれないけど、それだと名前は日本人っぽくないはずだし、間違ってないと思う。

 また、名前が昔にあるような名前じゃないことから、少なくとも昭和以降くらいの人である可能性が浮上してきた。昔からこんな今風の名前してたら、世の中はもっとキラキラネームで溢れてるに違いないだろうし。


 まぁ、これは地球とリベルアークの時間の流れが一緒ではないということになるんじゃないだろうか? 

 リベルアークの方が、地球よりも遥かに時間の流れが早い…そう推測できる。


 というのが俺の推測。




 なんか希望が見えてきたな。

 この推測が正しいなら、地球に戻ってもあまり誤差はないだろう。

 戻って100年経過、もしくはそれ以上経過している…なんてことになったら、絶望する以外ないしね…。

 まだ帰る手段が見つかったわけではないが、不安要素が多少改善されたことについては非常に嬉しい。

 俺の心から重しがなくなった気分だ…。




 と、ここまでが異世界人についてだ。

 他にも魔法についての細かな情報が記述されたものや、スキルや加護のデータ、モンスターの生態について詳しく記載した辞典もあったので、そちらも参照してみたが中々興味深いものばかりだった。

 俺がまだ知らないことも多く知ることができたのは収穫と言っていいだろう。本当にここに来て良かったと思う。


 ただ、一つだけ困ったことがある。


 地球に戻るとしたら、空間を移動する、時空を越える…といった、世界を越えるための力が必要になるかと思って色々探したんだが、それ関係を記した本や文献が本当に見当たらない。

 図書館の職員に聞いてみても、そのようなものは置いていないし知らないと言われてしまった。



 マジでどうしよう…。



『転移』が規模は小さいが空間を移動する能力なので、無属性魔法がそれ系統の力に近いんじゃないかと思って調べてもみたんだけど、そもそも無属性魔法についての詳細だけが他の属性と比べて圧倒的に情報が少ない。

 どうやら使い手が極端に少ないため、未だ多くの謎に包まれているとか…。

『アイテムボックス』持ちが冒険者で重宝されるのはこのためらしい。

 無属性に適性のある人の数が少ないんだから当然だな。


 ………はぁ。




 神様が言ったように、帰る方法は自力で生み出すしかないのかな…。

 どうすりゃいいんだ…。

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