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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
序章 旅立ち
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4話 冒険者ギルド

「なんとか入れたな。ポポ、ナナ、もういいぞ。でも声はなるべく小さくな。」


 無事にグランドルに入れた俺はそう声を掛ける。


「やっとですね」

「やっとしゃべれる~」


 二匹は解放されて嬉しそうだ。


「従魔の証は足でよかったか?」

「大丈夫です」

「私も~」


 どうやら大丈夫そうだ。


「中世の街並みってところですかね?」

「ああ。そうっぽいね」

「ファンタジ~」


 帝都は中世のような街並みで、多くの人で溢れかえっていた。

 今まで日本に住んでいたからか、アウェイ感がすごい。

 それになんか緊張する。


 きっと外国に旅行に行ったらこんな感じなんだろうなぁ。…異世界だけど。


 歩いている人だが、俺の視界に映っている人は大体人間みたいだ。

 割合で言うと人間9割の他1割ってとこか。

 あとは獣人と…、小人だろうか? 

 なんか小さい人がいます。俺も小さいがそれ以上だ。

 何かワクワクしてきたなぁ。


 獣人は人間の外見とそれほど差はないな。

 耳と尻尾があるくらいだ。

 猫耳、犬耳が現実に…。


 小人はというと、人間をそのまま小さくした感じだ。

 他にこれといって特徴は見当たらない。


 この現実を前に、改めて異世界に来たのだと実感する。

 色々物色したくなるがとりあえずやることをやっておこう。


「とりあえず身分証を発行したいし、冒険者ギルドを探そうか。」

「「はい(うん)」」


 二匹は頷く。


 身分証がないとこの先マズイみたいだしな。早く入手しておこう。

 ついでに日銭も稼がないといけない。異世界であろうが人が暮らしている以上はお金は絶対必要だしな。

 冒険者ギルドで仕事も探すか…。

 俺の知識通りだといいんだが…。


 俺は冒険者ギルドを探すために歩き出した。




 ◆◆◆



 ~30分後~


「ここか…」


 途中、人に道を聞いたりしてなんとか辿りつくことができた。


 いや~、道を尋ねるのは緊張したね! なんてったって異世界人だし。

 でもきさくだったから助かったな~。

 ポポとナナがいたから比較的スムーズにいったんだと思う。コイツらカワイイ外見してるし、正直助かった。


 俺は建物をじっくり観察する。

 冒険者ギルドの建物はそれなりに大きなものだった。高さは3階ほどあり、石造りの構造をしている。

 広さは…、まぁ学校の体育館くらいかな? 年季が入っているのか、所々削れたりしているのが確認できる。

 看板には見たことのない文字が書かれているが普通に読めた。どうやら冒険者ギルドって書かれてあるみたいだ。


 なんで読めるんだ? そのことを不思議に思いつつも、もしかしたら神の加護のおかげなのかもしれないと思案する。

 …あらゆる場面で効力をもつって話だし。


 カランコロンと音を立てて、ドアを開ける。

 建物の中は…思っていたよりかは普通だった。

 俺の予想だと荒くれ者たちが集まって酒を飲んでいるイメージがあったんだが、そんな人は見当たらない。

 ギルド内に設置されているテーブルとイスにはあまり人は座っておらず、少し寂しい印象を受ける。


 というより本当に人が少ないな。出払ってるのか?

 まぁ、それにしても安心した。内心では超びくついてたからなー。

 すぐに怖い兄ちゃんに絡まれるんじゃないかと予想していたからさー。

 いや、異世界ものだと大体そうじゃん?

 でもこれなら大丈夫そうだ。


「何かご用件がおありでしょうか?」


 俺がギルドの中を眺めていると声を掛けられた。

 声のした方へと顔を向けるとそこには受付のようなところがあり、そこにいる人が声を掛けたことが分かった。

 俺はその人の所へと足を運ぶ。


「あの、冒険者になりたいのですが…」

「ああ、そうでしたか。では登録をしますので必要な記入事項の記入をお願いします」

「分かりました。えっと代筆をお願いできますか? 田舎から出てきたばかりでして、文字が書けないんですけど…」


 こう言っておけばなんとかなるだろう。不審には多分思われないはず…。

 と、その前に一つ、俺は意義を申し立てたい。


 …なぜ、受付の人がお姉さんではないんだっ!

 ギルドの受付って綺麗なお姉さんがやるっていうのが定番じゃね?

 だが現実は違う。俺の前にいる人は男だ。身長は2メートルくらい。しかもムキムキマッチョだ。

 うむ、素晴らしい筋肉だ。それは素直に賞賛に値する。

 …じゃなくてっ!!


 仕事間違ってるんじゃないか?

 むしろこの人が冒険者やってた方がしっくりくるんだが…。

 でっかい武器を振り回して、力任せに全てを破壊している姿が容易に想像できるのに…。


 …はぁ。切り替えるか。

 現実は残酷だ。


「代筆ですか? ええ大丈夫ですよ。では色々とお聞きしますから答えてくださいね」

「はい」

「お名前は?」

「神代 司 です」

「カミシロ・ツカサ…。ツカサ・カミシロさんですね? ひょっとして東の方からいらっしゃったんですか?」

「ええ、まぁ。かなり辺境でしたけど」


 適当に辻褄を合わせておく。

 どうやら先に名前がくるようだ。覚えておこう。


「では次ですが、年齢は?」

「20です」

「20? てっきりもう少し低いかと思っていましたが…成人していたのですね」

「小さいですからね。たまに言われます」


 俺は苦笑する。

 どうやら異世界でも同じように見えているらしい…。


 フンッ!! 子供じゃないもん! 大人だもん! …多分。


「最後ですが特技等はありますか? 特にないようでしたら構いませんよ。また後で更新もできますから」


 そう言われ俺は少し考える。まだこちらに来たばかりで自分がどんな特技を持っているかは分からない。

 逆立ちして腕立て伏せはできますけどねー。まぁそんなもんは役に立たんしなぁ…。

 てかそれは余興で使われるようなもんだな。


 ポポとナナは従魔だから…。テイマーということになるんだろうか?

 それ以外だと心当たりはないし、それでいいか。


「テイマー…ですかね」

「ああ、やっぱりそうでしたか。肩に乗せているのは従魔だったんですね。随分可愛らしいじゃないですか」

「ははは、ありがとうございます」

「テ・イ・マー…っと。はい、これで記入事項は全て記入したことになりました。今からギルドカードを発行致しますので少々お待ちください。その間にギルドについて説明をさせていただきます」


 こうして冒険者ギルドについての説明が始まった。




 要約すると…


 ・冒険者ギルドはランク制となっており、F~Sまでがあるらしい。始めはFからスタート。Sに至っては多大なる功績を残したものにのみ与えられるらしい。

 ・ランクが上がるにつれて依頼の難易度が上がり、報酬も多くなる。(一部例外も有り)

 ・依頼はボードに貼り付けてあり、それを受付に持っていくことで受注することができる。また依頼はランクが1つ上のものまでなら受けることが可能。ただし依頼に伴う被害等はすべて自己責任である。(条件付きの依頼の場合、受注不可)

 ・ランクについてはギルドの方で点数を付けているので、基準に達した時点で通達される。ただしCランク以上からは昇格にはギルド試験官による試験がある。

 ・ギルドでは素材の買取りが可能。

 ・冒険者同士の争いについては原則一切介入しない。万が一ギルドに被害が及んだ場合は厳罰を課せられる。


 って感じだ。

 予想よりかは説明が少なかったが、俺の知識とあまり差はない。


「何か質問はありますか?」


 その言葉を聞き、俺はポポとナナのことについて聞いてみた。


「コイツらの扱いってどうなりますかね?」

「一応ギルドに登録をしてもらうことになります。他は世間一般の制約と変わらないです。従魔が犯した罪はその主人の責任になる、ですね」

「わかりました」


 あんまり深く考えなくても良さそうだ。


「では登録をお願いできますか?」

「はい。では登録をしますね。ツカサさんの時と同様のものですから…」


 と言って、ポポとナナの登録を手早く済ませる。


 今日持って俺たちは冒険者ギルドの一員になったのだった。



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