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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第一章 グランドルの新米冒険者
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45話 超越者

「今回のこの問題、確かに自分から申し出ましたが、学院長はなんで俺に任せようと思ったんですか?」

「それは君なら問題ないと思ったからだが…」

「それはどうして? 今回の解決の手段って実力が伴ってないとダメですよね? 俺、一言でもそんな力を持っているって言いましたっけ?」

「ああ、それはアルガントからの文には君の実力も書かれていたからね」

「…なんと書かれていたんですか?」

「…相当な実力を持った冒険者を送る…と…」


 …さっきとちょっと違くね?

 嘘くさい。


「相当…ね。でもさっき学院長、『圧倒的な力を持ったキミに』って言いませんでしたっけ?」

「…気のせいじゃないか?」

「本当ですか? 『相当』と『圧倒的』って、意味合いが結構違うと思いますが?」


 嘘ついてるな、これは…。

 ほんの一瞬だったが、学院長の反応が遅れてた。


 俺は確かに、今まで非常識なことを結構やってきたとは思う。

 だけど、それは全部まだ許容できる範囲のものだったはずだ。俺が本当に規格外の力を持っていることを知っているのは、この世界ではベルクさんを除いて誰もいないはず。当然ギルドマスターもだ。

 だからもしこの『圧倒的』という言葉が文に書かれていたら、ギルドマスターは俺の本当の力を知っているという可能性が高い。

 それはマズイ。


 だから単刀直入に聞くことにする。


「ギルドマスターは、俺が『圧倒的』な力を持っていると知っていたのではないですか? そしてそれを学院長に伝えた。…違いますか?」

「考えすぎじゃn…!」

「…」


 学院長は否定しようとしたが、そうはさせない。

 俺は多少魔力を解放しながら学院長をジッと威圧するように見つめる。

 あなたの実力がどうであれ、俺の魔力にあてられたら少しはビビるはず…。


「っ…!」


 俺の考えが当たったのか、学院長は少し顔が引きつっている。

 すいません、ほんとのこと話してくれや。


 なんか悪いことしてる人の構図みたいな感じだったが、まぁしゃーない。




「…分かった。本当のことを言うから、これをやめてくれ」


 …どうやら観念したのか、学園長は降参の声を上げる。

 額には少し汗が滲んでおり、魔力の圧力に耐えていたことが見てわかる。

 それを確認し俺は魔力を抑える。


「…それで、どうなんです?」

「…ああ、その通りだ。君の言っていることは正しいよ」


 解放された学院長は息をついて安堵している。


 いや、別に痛い目にあわせようとは思ってないですから。こういうのは本当は嫌いなんですよ?

 …にしても、やっぱりそうだったか。


「そうですか…。詳しく聞いても?」

「ああ、話すよ。ここまで確信を持たれているのならもう無理だろうしね。…それにしても何が『抜けてる』…なんだか。十分鋭い頭をしてるじゃないか、アルガントのやつめ…」


 学院長が何か愚痴っている。


 多分…ギルドマスターの文と違う内容に対してだろうな…。違う情報貰ったらそりゃ愚痴りたくもなるわなぁ…。

 ま、今回はたまたまだ。俺はそんなに頭よくないし。


「さて、どこから話せばいい?」

「文に書いてあった本当の内容から教えてください」

「…分かった」


 さーて、真相はどうなんだ?


「アルガントの文には、君が『超越者』と呼ばれる存在であり、圧倒的なステータスを有していると書かれていた。そして…その成長はまだ留まることを知らないとも…」


 げっ! やっぱりステータスバレてるじゃん! しかもまだ成長してることもかよ…。

 くっそぉ…。




 仕方ない。

 まぁ、それは今は一旦置いておいて、『超越者』って何だ?

 称号とかにはそんなものなかったぞ?


「『超越者』?」

「…もしかして知らないのかい?」

「ええ」

「…『超越者』というのはレベルが1000を超えた者に贈られる称号のことを言う。その領域まで上り詰めた者は、リベルアーク全体でも数名しかいないと言われているね」

「なるほど」


 へ~、レベル1000超えの人って『超越者』って呼ばれるんだ~。知らんかった。

 なんか気恥ずかしいけど…。


 世界に数名かいるって言ったけど、多分そいつらが神様が言う化物クラスの人間だろうな。俺もそれと同類と…。

 それを考えるとなんか悲しい…。


「あのアルガントでさえ、『超越者』には至っていないんだ。君はもっと自分の力が外部に与える影響を知ったほうがいい」

「はい。…それと、ギルドマスターのことよく俺は知らないんですけど、優れてるんですか?」

「それはもちろん。『超越者』でこそないが、アイツはそれでも人類トップクラスの能力を持っていると思うよ」


 ほえ~。やっぱギルドマスター結構すごかったんだな。

 確かに初めて会った時はすごい圧力感じたしな。今じゃそんなことはないけど…。

 これは嘘じゃないだろうから、信じよう。


 …てか一番知りたいのそれじゃないんですよねー。


「…ま、分かりました。ギルドマスターは俺について知っていたと…。じゃあ、何でギルドマスターは俺のステータスを知っていたのかって分かります?」


 これ。


 なんでバレたか本当に分かんないんだよなぁ。

 学院長みたいにあのすごいメイドさんみたいな人でもいるんだろうか? まぁメイドさんと限定するわけではないけど、諜報に長けた部下がいるとかさ…。

 他にあるとしたら、学院長が昨日言っていたようにステータスを見抜く力でも持ってるとかか?


 俺が悩んでいると…


「…済まないが、それは言えないな。奴の友人として、こればっかりは口を開くことはできない」


 あれま…。これは教えてくれないらしい。

 内心教えろよと思わないでもなかったけど、学院長は伝えられただけだしこれ以上問い詰めるのもな…。

 直接ギルドマスターに確認するしかないか。


「分かりました。じゃあこれは直接ギルドマスターに確認します」

「そうしてくれ…」


 俺がそう伝えると、学院長は若干暗い声で返事をしてくる。


 …どうしたんだ? 

 まぁ、気にしない方がいいか…?


「それで…他にはありませんか?」


 なんか嫌な雰囲気だったので、次の話に俺は移る。


「それで…他には何かありますか?」

「あとは君をこの学院に送るということ、君が危険性が限りなく低いということ、そして…結構『抜けている』ということ…だね」


 最後いらねー。てか俺が危険性はないとなんでそう判断した? 

 確かに変なこととかするつもりなんて毛頭ないけど、俺のステータス知ってたんなら普通送り込まないし、警戒しないはずがないんだが…。


 ギルドマスターの考えていることがよく分からない。


「…最後は別にいらない気がしますけど…。で、危険性が限りなく低いというのは何かご存じで?」

「知っているにはいるが、それも言えない。…言い方を変えるが、それはアルガントがそう判断したから、私もそれを信じただけだね」


 ふむ。これもギルドマスターに聞いておかなきゃいけないな。

 方法が知りたいし。


「…それ、安易すぎませんか?」

「私は奴のことは全面的に信用しているからね。間違いはないと確信している」


 ギルドマスター、あんたすごい信頼されてますよ? こんな美人に…。

 さっさと結婚しちまえよバカヤロー。


 …。


 …まぁ結婚は冗談として、でも俺もこんな友人欲しいもんだよ…。なんかすごい羨ましい…。

 無理だろうけどさ。


 てか俺信用されてんのか…。なんか意外だわ。内心ステータスがばれたらギルドから追い出されるかと思ってたんだけど…これだとそういう心配はなさそうだな。

 1人で焦ってたのが恥ずかしいわ。


 穴があったら入りたいです、ハイ。


 色々と俺の脳内が忙しく思考を続けているが、それを抑えて会話を続ける。


「そうですか。全面的に信用できてしまう程の関係…。なんか羨ましいですね」

「君もいずれそういう奴と出会えるよ」

「はは、だといいですけど」




 先ほどの重たい空気は何処へやら…。

 俺たち2人の間の空気が軽くなり、少し会話は落ち着いた。

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