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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第七章 悠久の想い ~忘れられた者への鎮魂歌~
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404話 海神⑤

 



「どういうことだ……? 一体何言って……」

『世界の意思の力は誰にでも例外なく注がれ、通常逃れられるものではない。――だが其方の存在は違う。世界の意思を、『そういうもの』の影響を受けつけることなく我々同様に正しい事実を認識してしまえる。詳細は教えられないがな』

「……」

『ともかく、果たしてその結果どうなるのか? 力無き者ならともかく、其方程の力を持つ者が一方向に向かうだけのはずの共通認識に相反するのだ。私達のように敢えて『流れ』に乗ることもしていなければ当然逆の力が働くことによって生じた摩擦も桁違い。――答えは不条理として世界に認識される。それが結果だ』

「俺が、原因なのか……? 君主が動けないのは……」


 自分でも興奮が抑えられないと感じていた身体が急にナリを潜めた。正確には潜めざるを得なかったのだが、まさか自分が原因であるとは思っていなかった。


 オルディスは俺の疑問に頷くことはせず話を続ける。


『左様。百年に及ぶ期間で大分力が弱まってきていたこともあって其方は今、この瞬間も既に存在自体が天使の立場と置き換わる寸前なのだよ。しかし私達はそれだけは確実に防がねばならなかった。元来とは違う『流れ』にするわけにはいかなかったのでな。だからこそ君主自らが其方が世界に不条理として認識されぬよう今も全力で対応しているのだ。これが君主が動きたくても動けぬ理由だよ』


 遠くを見つめるオルディスはまるでその対応中の君主を見ているかのようだった。そして打ちひしがれていると思しき様相を俺へと晒すことを躊躇もせず、それ自体が無理もないことであると印象付ける。


 考えとしては俺は今、押し寄せる激流の中を無理矢理突っ切ろうとしているようなものか。激流の威力が殺されればその影響が出るのは道理。本来あるはずのない障害によって出た摩擦が新たな影響を生むというわけか。

 一人だけ突拍子もない違う行動に突っ走っていれば目を付けられる。簡単な話だ。


「……俺を気に掛けてくれてたのはその、よく分からんけどありがとう。けど『流れ』ってのはそんなに大切なことなのかよ。俺が不条理として見られるのがお前等に何の不都合があるっていうんだ……。俺はどうせ馬鹿げた力を持ったはぐれ者だ。これまでの記憶もないから仮に天使の立場と変わったところで別に……」


 俺の知らないところで誰かに守られていたという事実は感謝と同時に申し訳なさを覚える。ただ、そこまでされているとなると尚の事自分が一体何者であるかが知りたくなるというもの。それが結局のところ不明にされるままなのは理解していても、口にすらしないままでいることはできなかった。


 だが――。


『――大アリだ』

「え……」

『やはり的中したか……。そういう部分は一切変わらないのだな、其方は。記憶を失おうが自己犠牲に走り、進んで誰かの代わりに……いや、無意識に身代わりになろうとする。――こんなことなど分かってはいたのだがな』


 逸らしていた視線をスッと俺へと戻したオルディスと目が合った。オルディスの鈍く光る蒼い瞳は俺の全てを見透かすかのようであり、どこか戒めを促されているような気にされ身体が少し萎縮した気がしてしまう。


『君主は其方の考えを良しとしなかった。見過ごせばそれが更なる大きな不条理を招いて均衡を乱すことになると確信していたからな。全く世知辛いものだ――この世は犠牲なしに何かは得られん。だから私達は選択した。君主の力を犠牲に、天使よりも其方を優先する形をな。均衡を見守る立場としてそれが最善の手立てであると判断して』

「っ……」

『一度乱れてしまった『流れ』は当時が微力であっても恐ろしいものとなり得る。遥か先の未来でとてつもなく大きな厄災として膨れ上がる懸念を生みかねないのだ。天使がそうであったように……。だが私達としては天使のことよりも其方を気に掛けることの方がよほど大事だ。何せ終わりに関わるのだからな』

「嘘だろ……。天使が滅びることよりも優先されたってのか……俺は……!」


 まただ……。終わりってなんなんだ一体……。


 話と自分の気持ちに整理が全く追いついていけず、気づけば頭を掻きむしっていた。それを察してくれたのかオルディスは少し間を置いてから次を話すのだった。


『厳密には違うが今話している『流れ』と終わりは同一のものとして考える方が混乱は少ないだろう』

「『流れ』とやらと同列にされるってことは俺は相当な立場にあるのか。信じたくねー話だなオイ……」


 オルディスの話す内容を疑うつもりはもうない――が、理解とは別に受け入れるかはまた別問題の話だ。心の整理は準備もなしに咄嗟にできるものではないのだから。俺はそこまで鋼のメンタルをしている自負もなければ自信もない。


『筋金入りの過小評価が過ぎるのも問題だな。記憶を失っているから仕方がないとはいえ……』

「……何が?」


 あまり考えることもせず、聞き流す具合にオルディスに返事だけを返していた。こちらの状態を分かってくれてはいるのだろうが、それでもまだ俺には時間が足りていない。


『いや、其方に真実を伝えられないのが心苦しいと思ったまでさ。まぁ其方が記憶を失ってまで背負ったものとはそういう規模の話のことなのだよ。それは肝に銘じてほしい』

「……ハハ、意味分かんねーこと尽くめだってのに。俺ぁどんな運命背負ってんだよ全く。ああやだやだ、俺の人生超波乱万丈で楽しいですねぇちくしょう……!」


 考えることを放棄したくなって自暴自棄気味に口走った言葉はスラスラと本音をオルディスへと告げる。するとオルディスは目を点にして一瞬固まるのだった。


 心の声をそのまま口にしただけだったのだが、それが何か問題でもあったのか? 

 あ、もしかして『言霊』に反応するものでも含まれてたとか!? ヤバ……それならマズイかも。


『思った冗談をそのまま口にして言えるなら問題なさそうであるな。驚かすな、安心したぞ』


 全然関係ないんかい。てか安心とか知らんしどこがやねん。

 俺のSan値ってそんなのを判断基準にされるくらいポンコツなのか? 間違ってないけどなんかムカつくな。


「やかましいわ。冗談の一つでも言わせてくれなかったら暴れてるぞ」

『うむ。暴れても何も解決しないがな』

「分かってるっての! ただの愚痴だから真に受けんでいいわ!」


 何が「うむ」だ。オル君ちょっとそこになおれ? デコピンで脳天ぶち抜いてあげるから。

 怖くないから安心して? ただちょっと死ぬだけだから全然怖くないよ。君主の元へ逝かせてしんぜよう。


 デコピンの素振りをオルディスに向かって何発か放ち、その衝撃がビシビシと音を立てて弾丸のようにオルディスへと向かう。オルディスは弾丸をぺしぺしと片手で弾きながら鼻で笑って受け流していたが、その姿にちょっとイラッとしたのは今は黙っておこう。


 ガチな話に余計な茶々入れされるとこの温度差にやられるなぁ。いやまぁ、ちょっとしたガス抜きみたいにはなってるのは確かだけど。




 ◆◆◆




「――なぁオルディス。今の話に強制力はないんだよな?」


 それから少し間が空き、今聞いた話を整理する時間ができた。オルディスも混乱させることを嫌ってか何も口出しせずに黙ってくれたこともあり、自分なりの解釈を見つけることがどうにかできた。俺が声を掛けると魚達との戯れを止めてこちらを向いてくる。

 そして今もとやかく言われていないあたり、俺の出した解釈はオルディスにとっても間違いのない範疇に当てはまったのだろう。俺の意思を既に知っているためか、オルディスが真剣に俺を見つめている。


『ないぞ。私達はあくまで君主の意向に沿う形で其方に接触を図ったまで。意向の中に其方を拘束する指示は一切入っていない』

「あくまでも均衡を見守る役割がメイン、そういうとこか」

『そうだ』

「ならなんで俺が自分を知ろうとしてはいけないことまでわざわざ話した? そっちも終わりに繋がるくらいにヤバいんだろ? 聞いて俺が無理矢理知ろうとしたらどうするつもりだったんだ」

『それが無意味なことだから心配は要らなかったまでのこと。ただ事実ではあったから言ったにすぎない。今この世で其方の正体を知る者は私達と君主のみの限られた者達のみ……探したところでどこにも其方が求める情報は転がってなどおらんよ』

「……チッ、いいように振り回されてんのが癪だな。……でも、思ったとおりだったか」

『……』


 オルディスとの答え合わせで得られる事実が自分の中の認識を更に補完させていく。

 オルディスは俺は自分の存在を知ってはいけないと言ったが、それにも程度はあるようだ。感覚的なものだが曖昧な表現内で知ることに関しては自分を知ったことの内に入らないというべきか。


 でも俺って思った以上にヤベー奴だったのは間違いないわ。

 故郷だと思ってこれからヒュマス向かおうとしてたってのに、本当にこの世界の住人か? どこにも俺を知っている奴はいないとか天涯孤独か何かかよ。


 とにかく。そもそも記憶がないのだから誰も自分を知らないことに悲しむこと自体が馬鹿馬鹿しい。最初から天涯孤独の身であったなら余計な妄想を膨らませただけのことなので余計な目的が消えたことを喜ぶべきだろう。

 これからのことを考えたら少しでも余計な懸念は消えてしまった方が有難い。


「俺がいることで今も生じてる『流れ』の乱れ。君主はそれを抑えていて俺がこの世界にいても問題ないようにしてくれてる……その認識で間違いないな?」

『ああ』

「……じゃあ多分俺一人だったらとっくに世界の意思の前に死んでるのが妥当なんだろうな。さっきは無茶苦茶言って悪かったよ。それとその気遣いに今は甘えさせてくれ。……本当にありがとう」


 どこにいるかは知りもしないが、きっとどこかで存在くらいは感じてくれているであろう君主に感謝の気持ちを込めて頭を下げる。


 世界の意思という得体の知れないものに対して俺がどうこうできるようには思えない。ならばその力をそのまま受けていれば俺は天使と立場が置き換わって死を待つのみになっていたのは確定的だろう。冷静になってようやく気が付いたし理解した。

 そんな何も知らない俺を君主はずっと見放さずに守ってくれていたのだ。それが俺を想ってのことではなくても俺が助けられているという事実は変わらないし、ならば俺が真っ先にすることは感謝だったはずだ。それすらしていなかったのは俺が至らなかったと思う他ない。


『君主に其方の気持ちは伝えておくから任せてくれ。こちらも事情を全て理解してこのザマだ。其方が気を悪くすることはない』

「そういってくれると気が楽になるよ」


 オルディスの代弁は君主の意思そのものだと思うのが妥当だろう。そう思うとようやくまともな感謝を口にできたという事実に上がらなかった顔を上げられる。


 気は楽になった。でもこれからやろうとしていることを考えると息が詰まりそうだがな。




「……もう分かってるとは思うんだけどさ、今の話を聞いてそれでもそっちの意向に沿わない形を取ろうとしてるってことについて……どう思う?」

『……』


 自分でも言い出すのが憚れるとはまさにこのことだと思う。今俺は、さっきまでの話をちゃんと聞いていたのか? そしてどんな忠告を受けたのか? 全く聞いていなかったのかと罵られてもおかしくないことを言おうとしている。


『それは……其方が考えるとおりだと思うが?』

「だよなぁ……。世界の『流れ』の乱れ、これがオルディス達にとってどれだけ大事かは俺なりに分かったつもりだ。世界を統括してる奴等が危惧するってことレベルなのも、俺なんかじゃ想像もつかない事態に発展するってことも」

『……』


 既にオルディスには俺の腹の内は知られてしまっている。まだそのことに何も言ってこないのは……俺の口から直接言われるまで認めないということなのか、それとも馬鹿げすぎていて呆れているのか。はたまたそれ以外という場合もあるだろうが俺には知る由もない。

 それでもオルディスは黙ってまだ聞いてくれている。


 だから俺も、きちんと口に出して言うべきだと思うんだ。これが俺の明確な意思だってことを伝えるために。


「――けどさ、それでも俺は多分黙ってはいられない。その場面に直面したら持てる全力でその理不尽にぶつかると思う。指を咥えて黙ってることはできないし、セシリィの前でなら尚の事無理だ」

『それが其方の答えか……』

「ああ。届かない世界の意思なんて眼中にない。なら届く範疇の意思と俺は戦おうと思う」


 世界中の罪無き人達から天使達を守りたい。傲慢にもこれが嘘偽りのない俺の答え。

 世界の意思には太刀打ちできないから戦わない。これはきっと正しくもあり、そして間違いでもある。

 何故なら太刀打ちはできなくても抗うことは誰にだって出来るのだ。今回は偶々俺一人だっただけのこと。


 これが結局のところ悪あがきに過ぎないのだとしても、悪あがきが何の結果も生まないとは言い切れない。今はそこに一縷の望みを掛けるしかできないが……それでも俺は……。




『最初から知っているとも。だから始めに言ったろう? どうせどうこうできないとな』

「あ……」




 一瞬の静寂の後、張り詰めた空気が一気に軟化する。今のオルディスの言葉にはそれだけの力が働いていた。


「さっき言ってたアレはそういう意味だったのか」

『うむ。世界の意思は誰にも抗えぬが、其方の意思もまた誰にも止められるものではないからな。抗えぬ意思に立ち向かうだけなのは不毛極まりなかったから遠ざけたつもりだったのだが……やはりそうなったか』


 残念なことだが心底そう思ってはいない。落胆の中に期待もある微妙な表情を向けてくるオルディスは俺にやれやれと言いたげに苦言してくるかのようだった。でも俺にとってはこの僅かに感じた期待の部分が希望のように思え、自分を心底尊重してくれた気がした。


「それ聞いて安心した。てっきり俺は天使達が不幸被るのを黙って見てろって言われて、そうさせられるのかと思ってたからさ。良かった……そういうわけじゃないのか」


 ホッと息をついて不安視していた部分が杞憂に終わったことに今は安心の気持ちで一杯だった。俺のやろうとしたことというのはオルディス達にとっては想定内でなんとか出来ると思われる範疇であったことの裏返しだ。つまり何の問題もないということである。


『これで安心できるとは大したものだ。自分がやろうとしてることに一切の希望がないのを分かり切った上でそう申すか。其方の進もうとする道は茨の道どころか道ですらないのだぞ?』

「いいんだよ、俺はこれで。結局は自分の為にやりたいってのが本音だ。自分の気持ちに嘘はつけない。笑うんなら笑え」


 嘲笑されても仕方がない。逆を言えば俺のやることには何の意味もないと言われているようなものだし、それ以前に無謀とも思える自覚が俺自身にあるくらいだ。言われる言葉は正論で全て受け止めるしかないことも分かっている。


 だが進む先に一切の光がなくても進む。道じゃなくてもちゃんとそこに地面があるなら進めるし、なければ足場は作ればいい。暗いならば手探りしながらゆっくり進めばいいだけでそこに制限時間があるわけでもない。始めから諦めていては変わるものも変わらないままだ。




「っ……!」

『フフ、これはなんとも……! 其方はどこまでも眩しいな。ここまで救いのない絶望に直面して尚諦めることなきその意思――しかと見させてもらったぞ。その意思は暗闇に閉ざされた世界でも衰えることは決してないのだろうな』


 オルディスはずっと携えていた槍の柄で底を叩くと、凛とした表情で口を開いた。まるで神獣の威厳を示すような雰囲気と共に。これまでとはまるで違う雰囲気にはこれまで話していたオルディスとは別人ではないかと思いそうになるが、これがオルディスの持つ本当の雰囲気なのだと悟った。

 雰囲気の解放に伴い、周囲も呼応するかのように変化する。明滅を繰り返していた底は常時光り続け、辺り一面には細かな泡が底から噴き出して視界を揺らしている。それはオルディスが海と一体化していると思えた程だ。


 これが神獣の本当の力か……! 知性がなかったら何が起こるか分かったもんじゃない予感しかしない。

 凄いな……。 


『答えを分かったうえで『守護者(ガーディアン)』よ。君主の代理として私も無理を承知で道を今一度指し示そう。――時代の『流れ』に決して逆らうな。あるがままを受け入れ、その中に身を投じて欲しい。真の安らぎはその先に待っているはずだ』

「っ!?」


 放たれる言葉もこれまでと全く異なり、耳に入る言葉全てに無理矢理こちらを捻じ伏せてくるような力を感じる。全身無防備な状態なら言いなりにされてしまいそうであり、一瞬だけ身体を傾けられてしまった。


 これは……もしかして試されてる? この程度に躓いてるんじゃねーよ的な。

 粋な計らいしてくれるなぁ全く……! いい度胸だ。 


「何を今更。どうせお前等は最初からそう仕向けるつもりだったんだろ? 全部分かってたんなら聞くまでもねーんだろうけど、さ!」

『っ!?』


 この程度で俺を下したつもりか? だが悪いな、この程度まだまだ余裕なんだよ。

 俺をどうにかしたいなら君主か神でも呼んで来い。それ以外じゃまともな相手にも出来ない。


 強気な笑みを浮かべて告げるオルディスにどこか愉しみを感じたのは気のせいではないのだろう。俺もオルディスも、気づけば暗い顔は一切していなかったのだから。むしろ馬鹿みたいに張り合っている始末だった。

 だから挑発にも捉えられる言葉には俺も強気に言い返す。今はこの答え方が適当であると思ったのだ。


「時代の『流れ』に逆らうな、ね。――了解、そいつは無理な相談だ。お前等の意思も全て汲み取った上でこっちも敢えて言わせてもらう」

『フッ、抗えぬ現実の中でそれでも自分の信じた道を失わずにただ突き進め。其方の在り方はそれが正しいのだからな』

「ああ。お前等はお前等で。俺は俺の意思で動く。……精々いいように踊らされてやるよ。だから精々俺を守ってくれよ。それが本当の『流れ』だってんならな」

『任せてくれ。私達を疑わない限り、私達もまた其方の行いを疑うことはない。――見届けさせてもらうぞ、我らが希望よ!』


 お互いの言葉を尊重しつつ無視し合い、一方的な誓いを口にする。

 誰に聞かせるでもなく自分の魂に誓う気持ちで。お互いの意思をぶつけることで全て伝えられると思って。


 俺の示したこの意思は全面否定されているわけじゃなかった。なら絶対にこの道を選んだってことも間違いじゃないんだ。間違いになるかどうかは結局のところ俺次第になる。




 その後は一度堅苦しい話は一切抜きにして談話へともつれこんだ。

 少し前までは想像も予想もしなかった流れだが、オルディスが抱えた神獣の普段の悩みや愚痴の数々、それから持論や知識も色々と聞けて大変実りのある時間だったように思う。

 俺も俺でセシリィとの旅の中で感じている悩みを相談したりしてアドバイスもしてもらったし、お互いに抱えていたものを腹を割って話せたことにはスッキリした気持ちが強い。


 記憶を失ってから初めてまともに気心を許せる相手が見つかった気がして、俺はオルディスを神獣だが友達のように思えた。


※9/4追記

次回更新は明日です。

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