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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第一章 グランドルの新米冒険者
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33話 出立、そして王都へ

 ギルドを後にした俺だが、現在はグランドルの東門にいる。

 流石に町の中で変化したコイツらに乗って出ることはできないため、わざわざ門からというわけだ。


 面倒くさいがしゃーない。規則だもんな。


「よし、じゃあ頼むぞ。ポポ、ナナ」

「「了解~(です)」」

「じゃあ最初はポポで頼む。途中でナナに乗り換えるってことで」

「はい」

「オッケー」


 その声と共にポポが3mくらいに変化する。


 いつみてもやっぱり大きいな。


 俺は背中に飛び乗り、しっかりと掴まる。

 ナナはというと俺のジャンパーのフードにすっぽりと収まっていた。


 飛ぶと疲れるからかな?

 まぁいいけど。 


「レッツゴー!」


 ナナの声を合図にポポが地面を離れる。


 地上から離れるこの感覚はなんとも言えない感覚だよなぁ。フワフワするというかなんというか…。

 慣れないなぁ。


 やがて上空100mくらいに達し、グランドルの町全体が見渡せる高さになるとポポが口を開いた。


「飛ばしますので、しっかり掴まっててくださいね」

「ああ頼む」

「あ~…温いね~」


 ナナのやつ、フードで温まってやがる。

 そこはお前の寝床じゃないんだが…。落ちても知らんぞ。


 ナナに呆れを感じながら移動を開始する。


 ポポは徐々に速度を速めていき、予想だが最終的には新幹線よりも早いくらいの速度で飛び始めた。

 まぁとにかく速い。

 これなら大丈夫だろ。


 いざ王都へ!!




 ◆◆◆




 グランドルを発ってから4時間くらいしただろうか?

 景色はグランドル周辺とは違い、草木があまり見当たらない。岩がチラホラと見えたりもしている。

 ただ、岩があるといっても道の整備は行き届いており、街道はコンクリートのようなもので補強されている。

 流石は王都周辺と言うべきか…少なくともグランドル周辺にはこんなものはなかったはずなので随分と違う。


 遠くを見ると何やら城のようなものが見える。


 あそこが王都か?


「あれが王都だよな?」


 コイツらも俺と同様に知っていないだろうが、それでもつい聞いてしまう。


「多分ね~」

「思ったよりも早く着きましたね」

「ああ、間に合ったな…まだ着いたわけではないが」

「この距離ならそう時間は掛からないので着いたも同然ですよ。もう少し近づいたら降りましょうか」

「そうだな。グランドルの時みたいにモンスターが来た! って騒がれたくないしな…」

「だね~」


 それぞれその当時のことを思い出し、全員苦笑いを浮かべる。


 色んな人に迷惑かけたしな…。


 そして少しした後、俺たちは地表へと降りる。

 王都までの距離が残り500mくらいになったためだ。


 変化中のコイツらは大きいので、これくらい離れていないと駄目なんだよなぁ。

 気づかれちゃうし。


「ご主人降りて~」

「はいよ。ありがとな」


 俺はナナの背から降りる。

 途中でポポと交代してナナに乗ってたからだ。


「お前らここまででいいぞ。後はもう歩いていくだけだし」

「門までついていきますよ?」

「うん」


 疲れてるだろうに…。

 俺のことは気にしなくていいぞ?


「いいっていいって…。早くグランドルに帰って休みな」

「…そうですか? でしたら帰りますけど、くれぐれも気を付けてくださいね? 戦闘面以外で」

「面倒事は勘弁してね~。戦闘面以外で」


 …戦闘面以外をやたらと強調してくるな。

 気づかいは嬉しいんだが、流石にくどくないか?


「へーへー気をつけますよ。お前らもしっかりな…」

「はい。それじゃあご主人、1週間後にまた迎えにきます」

「バイバ~イ」


 2匹は俺から離れ飛んでいく。

 行きとは違い、今度は普通の大きさに戻っている。

 どっちみち長時間変化していたからこれ以上は無理だろうが…。


 それにしても長くなったなぁ、感慨深い。

 この世界に来た時はほんの一瞬しかできなかったはずなのに、今じゃ2,3時間はできるので本当に成長したなぁと思う。我が子を見ているようで微笑ましい。

 子どもいないけど…。


 まぁそれは置いといて…


「行くか…!」


 2匹が見えなくなるまで見送った後、王都に向けて歩き出す。

 ガキっぽいかもしれないが、少々ワクワクしていたりする。


 遠出して数日間見知らぬ所で過ごすのってなんか良いよな。これはいつまで経っても変わらない気持ちだと思う。

 大事にしたい。


 と、そんな気持ちを膨らませ歩いていると門に辿り着いた。

 門は冒険者、商人、兵士などの人たちが結構な数である。


 グランドルと違って賑やかですねー。

 …いや、グランドルが賑やかじゃないとは言わんけど、ここと比較するのは流石に分が悪すぎるか。


 それよりも…。


 …なんともまぁ、立派な門である。

 グランドルの比ではないな…あっちも立派ではあるがこちらはもっと凄い。

 今は開いているが、全て鉄でできた門は正直圧巻だ。


 てかどうやって作ったんだこれ…? 厚さも随分とあるし、これは中々突破できないだろうな…。

 というより動かせるのか? そこが心配だが…まぁ大丈夫なんだろう。

 それに攻め込まれても迎撃できるようにか、城壁には所々に大砲が設置されているし、上の方には看守塔らしきものもある。

 見る限り兵士の数も多いみたいなので守りは万全といった所か…。

 Oh、すんばらすぃー。


「さて…中に入りますか」


 俺は手続きを済ませるために門番らしき人の所に向かう。


 が、長い列ができており、すぐにとはいかなかった。

 これは時間が掛かりそうだ…。


 とりあえず列の最後尾に並び順番を待つ。


 と、その時並んでいる冒険者風の2人組に変な目を向けられたのが分かった。


 またかよ…。コイツら後で絡んできそうだな…。


 何度かこういう場面に遭遇してきたので、どんな奴が絡んでくるかっていうのは大体分かるようになった。

 なので、コイツらはその可能性が高いと俺は判断する。


 面倒だな…。どうしたもんかね?


 先ほどのギルドマスターの言葉を思い出す。


 恰好は別にいいので、せめて武器くらいは持っておくべきだったか…。早速言われた通りになっちゃったなぁ。

 ギルドマスター。忠告ありがとうございました。

 …もう遅そうだけど。


 そんなことを考えながらとりあえず並ぶ。


 とりあえず今はそれはいいや、どうせなんとかなるだろうし…。

 てか暇だな…。スマホが欲しい。


 暇つぶしがないので、スマートフォンがあればなぁとつくづく思う。


 まぁ電波なんてないだろうから意味ないだろうけど…。

 ソシャゲーがやりてぇなぁ。


 俺がスマートフォンがないことを嘆いていると、少しずつだが列が進んでいく。

 30分くらい並んでいるとようやく俺の番になり、手続きを済ませることができた。


「………はい。確認しました。冒険者のカミシロさんですね。どうぞお通り下さい」

「ありがとうございます」


 手続きはグランドルと特に変わらなかったのであっという間に終わった。


 ふぅ…これでやっと入れる。




 俺は王都へと入ったのだった。

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