335話 頂点の衝突④(別視点)
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「(シュトルム……! 良かった……なんとか無事そう)」
アレクが振りかぶる大斧をひらりと躱し、セシルが一先ず安堵する。
一時はカイルの放った凄まじい一撃にシュトルムの安否を疑ったが、なんとか無事にまともな抵抗もとい反撃を始めたのを確認したのだ。アレクの猛攻を防ぎながら遠目でシュトルムが苦戦している姿にやきもきし、気が気ではなく自分も危うい場面は何度もあった。しかし、どうにかして助けに入れないかと考えている最中でのこの戦況の変化は嬉しいものであった。
勿論シュトルムの身の心配が要らないということが大半の安堵の理由だが、それ以外にも今の戦いにおいて問題のある部分がシュトルムにはあったのだ。セシルはそれが最初からずっと気がかりだった。
それは、シュトルムがカイルに情けを捨てきれなかった……ということである。
カイル達の心が読めずともシュトルムの心は問題なく見えていたセシルは、シュトルムがカイルに情けを捨てきれずに戦うことを躊躇していたことを知っていたのだ。防戦一方になっていたのは明らかに力量の差も理由としてはあったのだろうが、そもそも戦う心構えができていないのでは格上の相手に縋りつくことなど到底できるはずもない。シュトルムの優しさが悪く働いてしまっていたのである。
「(精霊、かな……? なんにせよ助かった)」
だから今まさにシュトルムの代わりに動いてくれているであろう精霊達ならば要らぬ心配だと考えたらしい。
精霊は人の感性とは大きく異なる行動と思考を持っている。子どものように思うがままに振る舞うことが殆どであるとシュトルムから聞き及んでいるセシルは、精霊と最も親しいであろうシュトルムが危機に晒されたことで激昂したのではと推測を立てたのだ。実際シュトルムの困惑した表情とは裏腹に引き起こされていく物質の消失は余りにも不自然であり、例え姿を映すことが叶わなくとも精霊の仕業だろうと考えるのは難しくはない。
「『パワースマッシュ』!」
「くっ……!?」
安心した矢先に、今度は自分が安心できる状態にしなくてはならない緊迫した状態がすぐそこに迫る。
どちらかといえば殴られるという方が正しいかもしれない。アレクは縦に身体を捻りながら一回転し、一際力強い力でセシルを斧で殴った。大振りであるためセシルに当たることこそなかったものの、叩きつけられた斧は地面を砕いて盛大に弾け飛ぶ。粉砕された大地は無差別に飛び散り二人の身体に大小様々な大きさの傷をつけると、沈黙して悲惨な状態をその場に残した。
アレクはなりふり構わない発言をした後は、言葉通りの動きをずっと見せ続けていた。常にセシルの懐に飛び込もうとする無鉄砲さも見せつつ、狡猾にも斧を投擲して遠距離からの攻撃もあったりと攻めの姿勢を緩める兆しがない。暴君でありながら冷静さも持ち合わせた怪物そのものであった。
スタミナもまだまだ余裕であるらしく、むしろようやく身体が温まってきたと言わんばかりに速度も上がっている一方、セシルには若干の疲れが見え始めていた。
「息上がってるぜ。悪ぃけど俺とスタミナで張り合おうとは思わない方がいい」
「ん、見れば分かる」
「鍛えに鍛えまくったからな、この程度じゃまだ生ぬるい……!」
まだまだ余裕であることを見せつけるように、アレクがセシルへと鎖を短く掴んで高速で回転させる。言葉通り有り余った力の捌け口を探しているかのようであり、止まって見える斧は刃に触れたもの全てを粉みじんにさせそうだ。その回転の勢いを殺さないままセシルに向かって思い切り投擲する。
この武器を自分が放つ矢と遜色ない速度で投擲できるのも恐ろしいものである。矢のように貫通するだけであればカ所によって致命傷は避けられる。しかし、自分の丈をも超える斧の質量では当たれば質量の暴力で全身に被害が及ぶだろう。それだけの威力が秘められている。
当然敢えて受け止める選択肢などなく、セシルはひらりと身をかわした。
――が、そこですんなりと躱せるのであれば苦労しない。先行する斧の刃の尾を引く鎖がしなるように脈を打つ。
「(っ、しつこいな……!)」
セシルはアレクと相対したことである程度アレクの分析を既に済ませていた。
斧自体の威力は一撃必殺であるため当然気にしなくてはならない。ただ、アレクの戦い方で最も特筆すべき点は、巨大な斧による攻撃力ではない。その斧に巻き付けられているオマケにしか見えない鎖の扱い方にあると。
アレクはデザイン性の域を逸脱した非常に長い鎖を本格的に戦闘に使用しているのだ。斧を投擲した後の軌道修正、鎖単体を鞭のようにしならせる攻撃や束縛などの搦め手、挙句には先程矢を止めたように防御にまで転用する。斧の扱いよりも鎖の扱いに長けていると感じる程だった。
現に今も躱したはずの斧が軌道を変えてまたも自分に迫っており、避けたと思っただけでは避けきれないというのがセシルの認識には刻まれている。
回避してまた追われ……鎖の長さ限界まで執拗に追い立てられる。複雑な軌道修正を繰り返して標的を確実に狙おうとするアレクの演算能力は才能なのか努力によるものなのか。どちらにせよ誰にも到底真似出来るものではない。斧使いではなく鎖使いの方が正しいのではと感じていた。
「(今だ――!)」
だがセシルもそんなアレクの攻撃をただ黙って見ているだけではない。セシルの目的はアレクを撃破しジークを追いかけることにあるのだから。
アレクが鎖のエキスパートであるならセシルは弓のエキスパート。アレクの攻撃に晒されている状況下で突破口を既に見出だし、封じるために行動を移した。
「っ!? 矢を輪の中に!?」
セシルが斧を躱した瞬間に即座に連続で矢を放つ。再三に渡って迫った斧を躱した直後の事であり、セシルの目論見通り斧が迫って来ることはなかった。
アレクのように完全に把握された軌道修正は無理であろうと、軌道をずらすだけならばセシルにもできる。放った矢をアレクにではなく全てがアレクの持つ鎖の輪の中へと吸い込ませ、そのまま明後日の方へと突き進ませたのである。大きな質量差があろうと、進行方向の真横から力が加えられれば影響は出る。
「(捉えた! このまま……!)」
自分の意思と反する邪魔が入ったことで、繊細な調整を必要とする軌道は既に操り切れるものではなくなった。むしろアレクが斧に遊ばれる形となり、自由を取り戻すことに集中を削がれた。
相手の攻撃手段を封じたセシルはアレクに対応されてしまう前に、アレク本人へと攻撃を開始する。
「『ホーリースフィア』」
矢はどうせ躱されてしまうのは分かり切っている。アレクのあの反応速度を自分は超えられないのであれば別の方法を試すしかない。
セシルが持つ不思議な天使特有の力――法術と呼ばれる力を。
かつて『夜叉』の使役する黒傀儡を瞬く間に殲滅した結界の檻が、今度はアレクを標的にし閉じ込めた。
「食らうか! オラァアアアアッ!!!」
閉じ込められたなら抜け出してしまえばいい。至極簡単な手段と考えでアレクも素直に受け入れるわけがなかった。
斧と鎖を使えない中であるにも関わらず、雄叫びを上げて手を刀とした手刀によって結界に斬撃を加え、セシルの攻撃が始まる前に結界を破壊する。
「また法術か? この程度効かn「ならこれは?」
閉じ込めた傍から結界を破壊したアレクが調子よく話すも、セシルの攻撃は失敗どころか終わってすらいなかった。むしろ壊されることは計算の内であるかのように。
壊れた結界の残骸が残る中また『ホーリースフィア』でアレクを包みこむと、今度は一つ二つと幾重にも展開するだけでは飽き足らず、計五重の結界にアレクを厳重に閉じ込めたのだ。またもアレクが身動きが取れなくなる。
「『爆嵐に晒せ』」
「(間に合わねぇ!?)」
薄く中まで鮮明に見えるはずの透明度でも、五重にもなればアレクの姿を僅かに濁らせる。
単純に考えれば威力は五倍。セシルが手をかざすとたちまち結界には夜景に浮かぶ星のように光の粒が無数に現れ、アレクに向かって収束し――暴発した。
結界の内側が爆炎の赤一色で塗りつぶされ、結界の数だけ爆発が引き起こされているのだろう。順に爆発していく音がリズムよくアレクをいたぶっていく。
『ホーリースフィア』には二つの攻撃性質が存在する。浄化の力を備えた光属性の照射と、殺傷性のみを追求した爆破の力の二つである。これらはどちらか一方に力を集中させることもできれば、均等に二つの性質を混ぜ込むことも可能な扱いやすく便利なセシルの汎用技の一つである。
黒傀儡に対しては浄化の力のみであったが、今回セシルは浄化の力には力を振らず爆破のみに力を注いだ。その威力たるや凄まじく、結界で覆われていなければ周囲一体を破壊し尽くすものであっただろう。
一度捕えてしまえば生きるも死ぬもセシルの采配次第。処刑台と隣り合わせの牢獄と化す……それが『ホーリースフィア』なのだ。涼し気な名前からは想像もつかない鬼畜さは、天使特有の力であるからこそである。
「がはっ……!?」
爆発音の五回目の後、結界が解除されると同時に全身の服が所々破けたアレクが爆発の勢いそのままに宙に放り出され飛んでいく。
ダメージこそあるが決定打には欠けていたらしく意識はまだある。しかし爆炎に四方八方から打ちのめされたため方向感覚を失ったようで、セシルがどこにいるのか目で探しているのが見てとれる。
これにセシルはうんざりと乾いた笑いしか出てこなかった。
「(これでこの程度か。タフすぎ……)」
というのも、ドラゴンでさえ簡単に絶命する威力だったのだ。それを五回分も浴びせた結果が精々皮膚を爛れさせる程度に収まってしまったのであれば無理もない。
「『傲る我に神罰 かの者に天罰を下せ』「っ!? しn――」『熾天の願い 魔の祈りとなりて六天より崩落せよ』!」
アレクには『ホーリースフィア』程度では致命的なダメージすら与えられないのであれば、一気に大技で叩くしかないと考えたのだろう。セシルはアレクを遠目に見つめながら手を重ね合わせ、滞りなく法術の詠唱を完成させる。
隙こそ大きいがアレクが無防備であるため、発動には何の問題もなかったようだ。
「『熾天法術・魔天封縛』!」
セシルが放った法術は、太古より天使が悪しき力を封じるために使用したとされる秘術である。遥か上空に美しく白い真円である六つの穴が空き、一斉に中から力を放出して降り注ぐ。――魔力ではない神気を纏って。
「ぬ゛ぁ――!?」
天から降り注ぐのは雷の如く荒々しい光の柱だった。アレクを声諸共いとも簡単に飲み込み、そのまま地面へと直撃してなお降り注ぎ続ける光は『スターダスト』の比ではない。受け止めきれず抗えるはずもない巨大な力は地を這うようにして轟き続け、離れたセシルのすぐ横にまで余波が届き巻き込まれそうな程だ。
「つっ……!」
攻撃の勢い覚め止まぬ中、セシルの六つある翼の内の二つ……両翼それぞれ一つの翼に変化が起こり、セシルが目を細めて身体を捩った。
突然、翼が切り裂かれたように大きく血を吹き出したのだ。翼に滲んでいく血は痛々しく純白の色の面積を縮めて広がっていき、裂けた拍子に抜け落ちた羽も共に重力に身を任せている。
ただ、痛みに顔を歪めるセシルに戸惑った様子はなく、今の攻撃に伴う代償であったのだろう。
そしてもう一つの翼の変化はというと、どうやら純白から黒色へと翼が変色しているようだ。それ以外にこれといった変化はない。
「ぐっ……! ちっくしょ……やっぱ強ぇ、な……!」
「あのさ、流石に冗談キツイんだけど……! なんで今ので死なないの……?」
やがて光の柱が次第に勢いをなくして細くなっていき、気がつけばいつの間にか空に空いた円も閉じていた。力の放出がなくなれば光の柱が消えるのも当然だ。
ただ、攻撃の中心点であった場所を見ると、熱で黒ずんだ地面の上には肩を押さえたアレクが辛うじて未だに立ち続けている。『ホーリースフィア』とは比べ物にならない威力を浴びたはずが、先程と大して変わらない外傷しか負っていないのは有り得ないというよりは納得が出来ず、セシルは信じられない人物を目の当たりにしたかのようだった。
「君さ、一体どうやったら無事でいられるの? こんなのツカサ達くらいしか耐えられると思ってなかった」
「それは、光栄なことだな……つつ……!」
お互いに始めと比較して身体に変化が如実に表れ始めており、セシルは力の使いすぎによる疲弊、アレクは肉体の損傷による傷みが全身を蝕んでいる。二人の感じている苦痛は常人で耐えられる範疇を越えており、一見耐えられそうに見えても真似できるものではないのである。
「――なら、もっと凄いの見せてあげる……!」
「ハハ、ここで使ってくるか……」
最早常人ではないからなのか。更なる苦痛が先に待ち受けていることを分かっていながら、セシルは強靭な精神力で耐える道を選ぶ。アレクもセシルが何を仕出かそうとしているのかを知ったのだろう。慌てることもなくそのままセシルの変化を暫し傍観する。
セシルの纏っていた神気が収まって一時落ち着いたと思ったのも束の間、今度は見ただけで不穏だと確信する黒いオーラがセシルの全身から滲み出る。触れれば呪われそうな邪気がセシルを包んだのである。
邪気を纏った影響か残りの翼も全てが黒ずんでいき、美しかった純白の翼は面影をどんどんなくしていく。手に握っている弓も黒一色に染まる程だ。
白から黒という相反する色の変化はそれだけで強烈な印象になるものだが、碧眼であるはずのセシルの瞳も赤色へと変化させており、その姿は攻撃的な印象しか感じられない。
「そう、だよな……アンタにはまだ、それがある……。けどよ、既に堕天してるっつっても、それ以上罪を重ねたら戻れなくなるんじゃねーの?」
「戻るも何も、最初から罪人だよ私は。私達の英雄が死んだ原因も、天使が滅ぶことになったのも私のせい。自分のことだけを考えてこれまで助けられたはずの命も守ってこなかった……そんな私が罪人じゃないなら一体なんだって言うの?」
「さぁな。今まさに苦しんでんのは疑いようもねぇし……そんな姿見たら皆悲しむんじゃねーのかなって思っただけだ。随分無茶で馬鹿な事故犠牲やろうとしてるわけだしな」
「私にとって罪は償うものじゃなく背負っていくものなの。一番償いたい人は……もういない……!」
「そうか。もういない、か……」
セシルを包む邪気が一瞬強く跳ねて心と連動する。
負のオーラには悲しい想いが大半であったのだろう。これはアレクの言葉を頭では理解していながら納得できていない、半ばセシルの八つ当たりに近かった。しかしすぐに冷静になったのか邪気は標準にまで落ち着いたが。
「――なぁ、果たしてそれって本当だと思うか?」
「……は?」
セシルに返す言葉が見つからなかったように下を向いていたアレクであったが、その姿は偽りであったらしい。突然意味あり気なことを言い出したことにセシルが反応する。
「アンタならそう思うのも無理はないとは思うが……アンタの信じた人が簡単にこの世からいなくなるわけないんだよ。――まだ戻れるだろうからアンタの暴走は代わりに止めさせてもらうぜ。じゃないとフリードさんが良い顔しないだろうからな」
「っ!? ぇ……なんで……? い、今、なんて……!?」
セシルの思考は停止した。何故ここでその名前が出てくるのだと。何故その名前を知っているのだと。
人には見過ごせないワードの一つや二つはあるものだ。勿論それがどれだけその人に影響を及ぼすかは様々だが、セシルにとっては途轍もなく影響を与えるワードであった。
『フリード』とはセシルにとっては全てを投げ出してでも優先すべき者なのだ。
今セシルの頭にはアレクへの敵意が吹き飛んでフリードのことで覆い尽くされてしまっている。敵意が一時的になくなってしまえば戦意もなくなったも同然で、セシルの邪気はなくなり翼も変色を止めて白さを取り戻してしまった。
「流石フリードさんが大切にした人だ。似てるよアンタら……その揺るがない決意がな――『身体強化・極』!」
「ッ――!?」
セシルは自分の目の前を、見えない何かが通り過ぎたと思った程度だった。正確には思った段階でそれどころではなくなっていたというのが正しいか。
気が付けば身動きが取れない。足は地面に着いていない。視界には一面空が広がっているの三拍子であった。驚きで声を出すことなどできるわけがなかったのだ。
「動くな!」
「うぁっ――!?」
セシルが状況を理解したのは、身体に走る鈍痛と圧迫感がきっかけとなった。
身体が地面に叩きつけられるように倒れたのである。すぐに身体を起こそうとするも身体中を鎖が拘束しており上手く立ち上がれず、無我夢中で鎖を解こうともがいたところで更に拘束の力は強まるだけだった。
アレクがセシルを見下ろし、セシルの顔すぐ横へと斧の柄を突きつけ威圧する。
「それ以上動いたら骨が砕けるまで締め付けんぞ」
セシルを討るならばこれ以上の好機はないと判断したのだろう。セシルが見せたように、アレクにも奥の手があったのだ。『身体強化』という自己強化の力が。
次元が変わったのではないかと思える程の強化は、ただでさえ化物じみた身体能力を誇っていたアレクに更にその先をいく身体能力を発揮させたのである。セシルの力を持ってしても見切ることすらできない力など、一体どれだけの人が見切れるというのか。
「(何今の……全然見えなかった……!? それに『身体強化』って獣人の力じゃ?)」
『身体強化』は人には扱えない獣人固有の力と言われている。人のアレクが『身体強化』を使うなど普通ならば考えられるものではなく、奥の手を更に奥の手にするという騙しも上手く働いていたようだ。セシルは全く予想だにしない奥の手にただただ驚愕する。
「アンタは安定した強さを常時発揮できるタイプだ。でも俺はそれができないタイプでな、どうしても何もしないと精々そこが俺の限界になる。ぶっちゃけ総合的にはアンタの方が遥かに格上だ。――だが俺は瞬間的にのみ限定すりゃジークさん達にだって負けねぇ。汚いやり方だがこれで、一旦勝負ありだ」
「(やられた……! この子が劣勢の中でずっと耐えていられたのはこれが理由だったんだ。さっきのもこれで……!)」
アレクに大技を当てても大した怪我を負わなかったことの理由に合点がいったセシルは恨みがましく歯を食いしばるしかなかった。
「戦いで使えるもんは使える範囲で何でも使え。精神攻撃も話術も立派な攻撃だって教えられたんでな……見様見真似だったが助かったぜ」
身体中を『身体強化』の反動が襲うアレクの顔は晴れやかなものだった。対してセシルは暗く苦しそうなものである。
絶対にジークを追いかけさせないと言っていたアレクの有言実行。それはセシルの意思を打ち破り実現した。
※7/16追記
次回更新は明日です。




