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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第五章 忍び寄る分岐点 ~イーリス動乱~
259/531

257話 『宴』:リーシャ&ハイリ②

 午後17時24分(体感)、オルヴェイラス中心部にて(これは本当)。

 とある男の復讐劇が、今幕を空ける……!




「ねぇツー君、いーよね?」

「あぁどうぞどうぞ、アンリもリーシャとは仲良くしてもらいたいからどうぞお好きにしてくれ」

「えっ、ちょっと!?」


 リーシャがアンリさんを貸せと言った要求に対し、俺はすんなりと承諾をした。救いを求める顔を向けて来たアンリさんであったが、俺の鶴の一声によって拘束から解放されると思い込んでいたのだろう。俺の非情に似た判断に、軽く絶望したような驚きを見せていた。


 でも、その見捨てられたような子猫みたいな顔がこれまた可愛い。ポニーテールが猫の尻尾みたいになってるのもポイントと言えようか……。だがアンリさん、あんまり苛めてくる娘にはお仕置きが必要だよねぇ?

 やられたらやり返されるんですよ? お・わ・か・り?

 フフフ……! 既に君への反省は済ませた、ならば何も問題などなかろう? 後先考えず、復讐の道に身を投じてやろうではないか!


 ……だが、まだ終わらない。アンリさんは仕留めた、残るは――!


「ついでにリーシャ、その隣にいる超絶フワフワらしい純白の翼をした金髪の愛くるしい小悪魔みたいだけどどこか憎めないお嬢さんもいかがかな?」

「は?」

「えっ!? セシリィの翼触っていいの!? なら一緒にいただきま~す!」


 残るもう一人の標的とはセシルさんのことだ。俺がセシルさんを指さしながらリーシャにそう告げると、リーシャはセシルさんも目にも止まらぬ速度で掻っ攫い、左手でガッチリとホールドする。右手にアンリさん、左手にアンリさんという両手に花状態である。

 セシルさんは小さいこともあり、背の高いリーシャにすっぽりと収まった姿はまるでぬいぐるみのようだった。


 流石リーシャ、こういうことに関してはめっぽう早い。その行動力には光るものがありますな。

 リーシャの腕が口を塞いでいたらしく、ぷはっと息を吐きだして俺を睨んでくるが……クスクス、あら可愛らしい。セシルしゃん、いい子でちゅか~?


 先程俺に致命傷と言う名の死と苛めを行ってきた一人であるセシルさんも、アンリさん同様に復讐の対象なのだ。

 いつも俺が内気で女性に甘いと勘違いされては困るというもの。ここらで俺という人物に対する評価を改めて貰おうか。一応俺って皆さんのリーダーみたいですし?




 え~、ではリーシャ様、ご注文承りました。アンリさんがお一つ~、それからハッピーセットにセシリィさんがお一つですね? お間違いのないようご確認くださいまし。


「ツカサ!? なんで私まで!?」


 注文に間違いはないはずなのだが、商品であるセシルさんが会計にケチをつけてくる。


 なんでと言われましても……お客様への最高のサービスを提供するのが店員としての役目じゃないか。これがお客様のためになると思ったからオススメし、そして提供した。ただそれだけじゃないですか。俺がしたことの何処に意を唱えるというのかね?


「別にぃ~? さっきの仕返しのつもりとかじゃないよ? さっきはまぁ俺が一応悪かったし、全然根に持ってなんかないからさぁ」

「嘘バレバレだから!? 確信犯でしょそれは……! あっ……!」

「セッシリィ~♪ モフモフだぁ~」


 いやまぁ、流石にセシルさんが何を言いたいのかは分かっているが、それでもこのまま続行させていただく。リーシャもセシルさんにはお構いなしにご満悦の様子であるし、俺も今の状態には超がつくくらいに大変満足である。


 アンリさんと同じく拘束されてしまったセシルさんが恨みがましくこちらを見ているが、なんて楽しそうな顔なんだろうなぁ。俺良いことしたなぁ、めちゃくちゃ気分がいい。

 これがおもてなしという日本人の誇れる、そして最たるサービス精神の表れ。世界を超えてなお、このおもてなしの精神は人の心に届いたのだ。

 ハハ、何て言うんですかね? ちょびっと悪いことしてるって自覚はあるけど、これは心に快感に似た刺激がありますなぁ。きっと犯罪者の人達って、こういう快感があるから犯行に及ぶんじゃないのかな……分かりたくないけど分かっちゃった気がする。

 でも、リーシャとセシルさんが一緒にいるってのは結構重要な意味があると思っての考えでもあるんだけどね。人の上に立つ者が天使を受け入れるような光景ってのは、想像以上にインパクトがあると思うし。


 心が見え、得体の知れない強大な力を有している天使。全世界に刃向かった恐ろしい最強の種族……。

 流石に、三カ国ではもうその辺の意識は国風も影響して拭い去ることができているとは思うが、『宴』という大々的かつ公の場でトップが和解している姿を見せてこその意味もあるだろう。これは大きいことと俺は思う。


 セシルさん、だから俺の気遣い(しかえし)を受け取って? 悪意9割しかないけど。


「はぁ~……両手に花、ワタシ死ねそうかも」


 はふぅ……そんな幸せの吐息と共にリーシャは呟く。両手に美少女を抱えているのだからそれは間違いない。アンリさんとセシルさんはぬいぐるみのようにリーシャに弄ばれ、成すがままとなった。




 それにしても、リーシャはいつも通り……か。無理してなければいいんだが……。

 コイツはコイツで、民の上に立つ自分の影響力というのを分かっているんだと思う。だからこそ、今まで通りの振る舞いをしているんだろうな……。


 リオールの今回の被害は、人命だけで判断するならば最も悲惨な結果となってしまっている。残された者達の精神的苦痛は理解できるものの、当事者にでもならない限りその苦痛を俺は理解なんてできないだろう。


 子ども(ガキ)の時に味わったのと、大人になってからの苦痛はまた別物だ。大人になってからの苦痛を俺は知らない。物事を判断できるようになって、精神的に成熟しきった状態で味わう絶望なんて……考えただけでゾッとする。


 それに、理解されても深い傷を負っていればいるほど惨めになるだけだ。理解される気持ちは嬉しいことは嬉しい。しかし、その嬉しさに比例して現実がいかに残酷であるかを目の当たりにし、結局は余計に傷口を開くことになりかねないかもしれない。

 リーシャが感じている苦痛も民達と同様なはず。でも、今リーシャが見せている姿は、自分自身が負った傷に、更に民達の苦痛を背負い、歩もうとする意志そのものだ。ならばここは心配をするのではなく、俺達は俺達でいつも通りの振る舞いをするべきだと思う。

 下手な遠慮は恐らく逆効果。本当に前に進もうとしているなら、俺はそれを見守るだけだ。

 支えてやるべきという考えもある、というかそれが大半の人の考えだとは思う。もしもその過程で手を差し伸べられたら俺も当然手を取ろう。ただ、1人で立ち上がって欲しいという考えもあり、俺はどちらかと言われればそちらを選びたいし、そうあって欲しいと願う。

 本当に1人になった時、最後に頼れるのは己のみなのだから。周りだけに助けてもらう考え方は好きじゃない。




 ……ま、あくまで理想だけど。俺が論すみたく語るのは筋違いって話だがな。


 おっと、また暗い考えになりかけちった。

 さて、脅威(アンリさん)は排除したしセシルさんへの仕返しも済んだ。俺は残りの人達とお話でもしましょうかね。




 アンリさんとセシルさんをリーシャに任せ、俺は身も心も解放された気分でジーク達の方へと混ざりに行った。

 すると、すぐさまジークが生け捕りしているナナを俺にチラつかせながら、あることを確認してくるのだった。


「なぁツカサ」

「なんだねジーク君?」

「チビ子なんだけどよ、コイツ喰っていいか?」

「ぴゃっ!?」

「え、いきなりどうしたし」


 開口一番、ジークが俺に聞いてきたこととはそんなことであった。これには俺のみならず周りにいた事情を知らない人達も同様にギョッとした反応を見せ、俺が驚いたことが普通であることが立証されたような感じだった。ナナに至っては普段聞くことのない奇声を一瞬上げる程である。

 残ったメンバー全員がジークとナナを一斉に見つめ、次の言葉に耳を傾ける。


 ナナが過敏にジークの言葉に反応したことから、相当な何かをやらかしたことはすぐに分かる。

 でもずっと気になってました。なんでこんな状態になってんの? 説明プリーズ。


「やだやだやだやだ!? 食べないでジーク、美味しくないよ私? 鳥って骨スカスカだし脳みそ小っちゃくて鳥ミソは大したことないんだよ!? グルメなジークのご期待に沿えるわけないと思うなー」

「そうか? お前結構旨そうな匂いするけどな? 肉も引き締まってて柔らかそう……」

「やぁあああああああっ!?」


 真顔のジークを見てナナの悲鳴が木霊する。悲鳴を文字にしたら震えるアニメーションがついていそうなその声はナナの逃れたい一心の魂の叫びであろう。これが演技だったら見事なものである。


「ゴメン、マジゴメン! ホントにゴメン、これ以上ないってくらいにゴメンなさい! もう二度と顔面パイ投げみたいなことしないから許してくださいなんでもしますから!」


 ナナの謝罪が一面に響き渡り、聞いていた者達の顔を呆れさせた。


 お前ジーク相手によくそんなことできたな……命知らずにも程があるだろ。てかその謝り方俺と同じやん……まだ余裕ありそうね。

 でも……なるほどね、そういう背景があるんか。


 現在の状況は至ってナナの自業自得であり、同情の余地はない。それなら――。


「……いいぞジーク、喰え」

「サンキュー」

「いーーーーやーーーー!?」


 いきなりナナを喰うとか言い出した時は驚いたものだが、理由を聞いてナナを弁護する気持ちには一切なれなかった。本当に懲りない奴には身を持って分からせるべきであるし、丁度俺もナナに対して死刑の判決を下していた事実がある。その死刑をジークがやってくれるというなら、何の問題もない。任せよう。


 お灸を据えるにはちょうどいいだろ。ジークの大切なケーキさん達に手を出したんだ、それ相応の罰は受けて貰わんとな。


 ジークはナナを自らの顔面にまで持ってくると、ジト目でナナの小さな瞳を睨む。巨大化していない時のナナは非常に小さい存在であり、俺でさえ矮小に感じる程に小さいのだ。それを俺よりもデカいジークに囚われるというのは一体どんな心境だろうか? 巨人と相対しているようなものかもしれない。

 少なくとも、獲物になった気分を直に体験しているので、相当な恐怖が今ナナを襲っているのは確かである。その証拠に、ナナが逃れたい一心で暴れ、往生際悪く喚いて刑の執行を引き延ばそうとしてくる。


「そんな怒ることないじゃん!? ナナちゃんのちょっとしたサプライズとドッキリのつもりだったんだよ!? ジークとの親睦を深めようとした壮大な背景があることを加味した上でちょっと待って、もう一度考え直して!?」

「悪ぃな、俺は頭が悪いからそういうのはどうでもいいんだ」

「若者の思考停止意識問題に異議あり反対! ジーク、今が生まれ変わるチャンスだよ? 現在若者更生支援キャンペーン実施中だよ!? 体験入会してみたらどう!?」

「生まれ変わるのはお前だろ。てかその若者の支援? ってやつをやってくれるってんなら、俺の糧となって支援してくれや」

「うわぁああああん! 脳みそ空っぽ、ジークのDQN! ごしゅじぃーーーーん、おーたーすーけーーーーーっ!!!」


 ナナの助けを求める声が聞こえてくるが、そんなもの知らんわ。自分で撒いた面倒事も拭えない子なんてどうでもいい。


 俺は冷たくナナを一瞥してから視線から外し、ナナはジークに任せることにした。


「いいのかアレ?」

「助けるべきでは?」

「放っておいてやってくれ。親としての躾だありゃ。むしろそれがアイツを助けることになるだろうよ」


 流石に見かねたのか、ハイリとシュトルムがナナを心配したようにしているが……俺はもうその話はするなという思いで切り捨てた。


 ハイリに関してはあれが本当に神鳥なのか? そう思っているであろうことは俺にも分かる。だが事実だ、アレが今回活躍した神鳥の一匹なんだ。君たちの国の自然はアイツが元通りにしたから知ってるだろうけどね。

 神鳥とか言われているけど、現実は非情なのだよ。神聖さの欠片もないただのアホな子なんです。


「ま、まぁいいか、そう言うのであれば」


 今俺が考えたことが伝わったのか、ハイリは咳を一度ついて仕切り直すと、残った者達での会話を始める。


「何はともあれツカサよ、シュバルトゥムを頼むな。昔から知識はあるが手の掛かる奴で大変だった……苦労を掛けるとは思うが面倒を見てやってくれ」


 リーシャをチラリと横目で見ながら言うのは、リーシャもそう思っていると捉えてよいのだろう。

 相手は強大すぎる敵対戦力である『ノヴァ』なのだ。そいつらと最前線で戦う意思の俺らにシュトルムがついていくということは、ハイリ達からすれば身内を戦地へと送り出す家族の気分と酷使しているに違いない。


 だから俺も――。


「うん、知ってる。今に始まったことじゃないし……任された。ハイリの大事な親友はしっかり面倒をみるよ」


 心配を掛けぬよう、責任を持ってシュトルムを預かることをここに誓いましょう。

 シュトルムは必ず、今の状態のままに3カ国にお返しします。


「オイハイリ! 俺は言うほど手ぇ掛けてないだろ?」


 ただ、シュトルムはそんな決意は知らないと言った顔でハイリに吠える。自分が手の掛かる奴だと言われたことに対する文句をぶつけていくが、ハイリも負けじと言い返していく。


「どの口がほざくんだ。三カ国の禁書を扱う書庫に侵入しようとしたり、得た知識を無謀な実践で確認しようとしたりしただろう。それに私を毎回騙して付き合わせていたことを忘れたとは言わせんぞ」

「っ……そ、そういやあったな」


 シュトルムは一瞬だけ若干仰け反ってバツの悪そうな顔になると、結局は的を得ていて言い返せなかったんだろう。そんな事実は知らないと言った顔で口笛を吹きながら別の場所を見るシュトルムに、反論する資格はなさそうである。思い当たる節しかない……そんな姿だった。

 だが、ハイリの言葉攻め……シュトルムの過去を掘り返す攻撃は続く。


「書庫はまだいいさ、父上達に叱られるだけで済んだからな。だが実践はどうだ? あの時私はアルの仲間探しという名目でユニコーンを探しにいこうと言われてお前について行った。しかし、まさかレッドスパイクを討伐しようなどと画策しているとは思わなかったんだが?」

「こ、子どもの時の話だろ? 今はそんなことないって……」

「当たり前だ。この歳になってそんなことをしでかす馬鹿はもうリーシャだけで十分だ。2人のお蔭で私は人一倍早く死ねそうだ」

「ひでぇな」


 ハイリは皮肉たっぷりにそう告げると、盛大な溜息をついた。

 リーシャだけで十分……この言い方に俺はハイリの気苦労がひしひしと伝わってくる思いだった。3カ国のトップ3人組は、ハイリがリーダー的立ち位置で面倒見が良かったに違いない。昔からシュトルムが馬鹿をやってハイリを振り回し、シュトルムがいなくなったらリーシャの馬鹿の面倒をハイリは見る……そんな風に休まる時期がなかったのが手に取る様に分かる気がしたのだ。


 そう考えると、シュトルムとリーシャが一緒にいたであろう5年前。その時に2人がハイリを好き勝手に振り回す時とは……うわぁ、カオスですな。白髪増えそう。




 うん、想像もつかない恐ろしい魔の時期はさておき。

 今はもう強大な強さを取り戻し、はたまた手に入れたとも言えるシュトルムであるが、幼少期は強かったという話が確かであるようなことを今ハイリから聞けた。


 レッドスパイクとはハリネズミが巨大化したような姿のモンスターで、成体の体高は約3mに達し、オレンジがかった体毛が目立つ牙獣種に分類されている。ランク的にはCランクとそれなりの強さを持っているのだが、子どもが相手にするようなモンスターではない。普通は見かけたら大人に知らせるか我先に逃げ出すくらいであり、レッドスパイクに戦いを挑もうとする子どもなどいるわけがない。

 そもそも、生息地まで赴くことがおかしい話である。――だというのに、シュトルムは小さい頃にそれを実際にやったという証言が聞けてしまっては、シュトルムも大概だなぁと思う他ない。


 だからこそ、シュトルムはその当時の馬鹿さと自らの持っていた力を知っていたがために、弱体化した身であってもあの時あんな行動に出たんだろうか? 


「馬鹿と言えばアレだ、お前グランドルに初めて来たときなんて空から吹っ飛んできたよな? 俺あの時は依頼邪魔されてすげー腹立った記憶あるわ」


 これである。あの時のことは忘れろと言っても無理があるというものだ。

 今思い出したけど……俺ってシュトルムを兵士の詰所に突き出したことあるんだよなぁ。王族ってその時は知らなかったけど、世の中知らず知らずの内にどれだけ阿鼻叫喚なことをするか人間分からないって話ですわ。

 ……まぁ俺に非なんてないんでどうでもいいんですけどね。


「ほぅ? シュバルトゥム、お前全然変わってないし成長してないな」

「そ、それはだなぁ、王族って身分を万が一にもバレないようにするって考えがあってだな。突拍子もないことを初っ端からしでかすことで馬鹿のイメージを定着させようっていう、俺なりの考えが……」

「なら別の方法を考え実行するべきだろう? 仮にお前が愛すべき馬鹿ならまだしも、誰かに迷惑を掛けてる時点で忌むべき馬鹿に成り果てるだけではないか。……この5年でお前は何を学んだのだ。知識だけあっても意味はないぞ?」

「ぐっ……!?」


 ぐうの音も出ないのか、シュトルムは呻き声を上げるだけだった。


 おおー! ハイリさんの容赦のねぇ言葉攻め炸裂ですね。同じ立場に立つ人が言うからこそ効果は抜群、格の違いってやつをみせつけてくれますねぇ!

 ハイリ、もっと言ってやって。俺が言ってもこの人全然改善しないので君だけが頼りなのだ。


「知識豊富な頭の良さと、モラル的な頭の良さは別物だ……。シュバルトゥム、お前は圧倒的に後者が足りないな」

「ぬぅ……」


 俺の期待に応えたハイリが更に追い打ちを掛け、シュトルム君……早くもKO状態となったようです。何やら頭に白旗が上がったように見えてしまうお姿は、なんと情けないお姿か……。

 さっき俺に見せた『宴』前の演説。あの雄姿が微塵も感じられなくてギャップの差が激しく、なんだかこっちがシクシクしてくるんですけど。




 項垂れるシュトルムであったが、それを微笑ましくクローディア様は黙って隣で支えていた。

次回更新は土曜です。

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