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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第五章 忍び寄る分岐点 ~イーリス動乱~
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210話 後ろにあるもの

 ◆◆◆




「連中の狙いはなんだろう? 私達がここに来なくても何かしようとしてたのは間違いないし……」

「『銀』が出しゃばって来たってんなら実験の最終段階って線が濃厚だ。アイツは普段は動かねーが自分の目で研究成果を見届けるのだけは欠かさない。イーリスの今回の空気事情はアイツが仕出かしたことで確定していいと思うぜ」

「実験!? で、でもさっきの電撃と空気の悪化って全然結びつく要素ないけど?」

「並行して別々の実験を実行してでもいるんだろ。色んな事に手ぇ出してるしなアイツ」


 ジークの確信めいた見解は、『銀』が複数の実験を行ったことが今に至る事態の全容だという。


 電撃の脅威が去った後、すぐに俺達はその場で井戸端会議を展開した。

 先程恐るべき光景を見てパニックを起こしていた住人達は、いつもと変わらない風景になったことで少し落ち着きをみせたものの、未だ怯えて動けずにいるようだ。

 俺達の目に映る範囲の数名は一様に空を見つめ、まだ何か来るんじゃないかという恐怖と戦っている最中のようであった。


 だが、その人達に何をしてあげればいいのかは分からなかった。

 アネモネの時と一緒で非難誘導をしてあげることはできるかもしれない。しかし、今この街全体が脅威にさらされたということは、どこに行っても逃げ場はないのと同義だ。誘導のしようもないし、ここは既に動き出しているであろう兵士さんらの対応に全て預けた方が良いと判断した。


 脅威に関してはナナがいるし、防御は万全。俺達にできることは今起こった災厄めいたことへの対処だと思う。




 ただ、俺達はイーリスのこの問題を軽く見すぎてたのは間違いない。

 なぜなら、更なる驚愕が俺達に襲い掛かったからだ。




「ん? 急に暗く……」


 空に雲でも掛かったのか、辺りが急に暗がりを始め景色が濃くなった。。

 なぜ暗くなったのか確認しようと上を見上げた俺達は、予想を超える光景に裏切られて息をのんでそれを見つめることしかできなかった。


「こ、これって……」

「え……」

「決まりだ! 『銀』に間違いねぇっ! とんでもねーモン出してきやがって……!」


『銀』を知るジークでさえもこの光景には驚きを隠せなかったようで、今空に浮かぶ巨大な物体から目を離せないようであった。

 俺が一昨日見たあの『ゲート』と思わしき黒い空間の超巨大版。その空間からオルヴェイラスの街の3分の1を覆う程の影を作って、飛行船がオルヴェイラス上空に出現したのである。


 その飛行船は全体が鉄の塊でできているのではと思う程に鈍く光り、そして重たそうな色合いをしている。所々にある突起とゴツゴツしたデザインがそれを際立たせてもいるようだ。

 飛行船の側面から生えたトンボの羽に似たものが数は違えど8つほど広げられており、ゆっくりとだが上下左右に動いてバランスを取っている役目をしているのは正直圧巻。まるで大海原を悠然と泳ぐクジラを連想させる。

 浮いている原理は全く持って不明だが、船底が薄緑色になっている部分が10カ所ほどあることから、恐らく風属性の魔力を用いて浮遊していると予想できる。

 大きすぎて距離感が掴みづらいものの、相当な高度にあってなおこの大きさに見えるということは……下手をすればオルヴェイラスの直径を超える大きさがあるのではと思う。

 これが俺が見て感じた感想だ。きっと皆も一緒のことだろう。


 でも飛行船の技術はまだ確立されてないんじゃないのかよ!? どこまで最先端の技術を持ってやがる……!


 リベルアークではまだまだ移動手段が馬や従魔が主流であり、地球のように車や飛行機等の移動手段が存在していない。

 船はあるが自転車すら無いこの世界において、その全ての段階を経ることもなく作り出されたこの飛行船の技術は計り知れない程の価値を秘めていることだろう。科学者や職人がいたら興味を注がれない訳がない。

『銀』の『創造』の力を、俺達が目の当たりにした瞬間だった。


「ご主人!? この魔力……あの飛行船に仮面野郎が乗ってる!」

「なにっ!?」


 ここで突然、ナナが慌てながらある情報を伝えてくる。


「忘れる訳ない……学院で感じた時と全く一緒だもん」

「『銀』以外に『白面』まで来てやがんのかよ……」

「『白面』が……」


 ナナから伝えられたことは極めて重要性の高いことであった。更なる悩みの種の増加とも言えるが……。

 ジークも匂いで気配を察知したのか頭をガリガリと掻いて溜め息を吐く始末で、アンリさんに至っては自分の学院に手を出した存在である『白面』に思う部分があるようだ。キッと目を鋭くし、いつもの明るい顔とは打って変わってしまう。

 俺にとってこちらも『虚』同様因縁の相手と呼べる相手であり、グランドルと学院を襲った元凶そのものと言える。


執行者(リンカー)』が3人も来ているだと? これ以上はもう勘弁してもらいたいぞ……。


 だが、驚いてばかりもいられない。

 船底の中心部分が大きく横にスライドし、なにやら巨大な砲台が現れたかと思うと……俺達の方に照準を定めたのである。実際は大きすぎる砲台であるため俺達ではないだろうが。

 ただ、すぐさま砲台の奥底から赤黒い小さな点が灯ったかと思うとそれは広がり始め、砲台からはみ出して今にも溢れそうなくらいに力が集中している状態になった。

 溢れた光は空に赤い稲妻のように走り、一触即発の状態になっているのが嫌でも分かった。


 それと同時に、また町中に悲鳴が通い始める。

 先程の脅威がまだ続くと思った住民らの恐怖があちこちで飛び交い始めたようで、落ち着きを取り戻し始めていた光景はまたもやなくなった。

 未曾有の危機に、成す術も無く慌てふためくだけだった。


「すごい魔力が集中してるよ!? なんて濃い……! さっきとは比較にならないよ!?」

「そんな!?」

「……『銀』の奴、調子に乗ってやがんな……! 来るぞツカサっ! 迎え撃つぞ!」

「お、おう!」


 ナナ曰く、今にも何か打ち出されそうな砲台の魔力からは、先程の電撃を遥かに上回る威力が込められているという。

 ジークが苛立った顔で肩を鳴らし、俺へと迎撃の呼びかけをしてくるが、俺は展開の早い事態についていけず少々後れを取った返事をするしかなかった。


 だが、俺はいつでも動ける状態ではある。さっきジークと手合わせをしていて体は十分にほぐれているし、すぐにでも動くことはできる。

 さっさと目の前の脅威を防ぐことに意識を切り変え、俺も迎撃態勢を取ろうとした。


 ……その矢先だった。


「先生。大丈夫、ですよね……?」

「大丈夫だよ。なんとかしてみせるから!」


 アンリさんが立て続けに起こる異変に不安を募らせたのか、それとも単純に俺を心配したのか、怖がるような声で後ろから俺へと声を掛けてきた。

 俺は安心させるために自信あり気に答えて後ろを振り向いたのだが……


「信じてますから、怪我しないでくださいね。先s「っ!? くっ!」……」


 この時、俺はアンリさんのすぐ傍にいるべきだった。そしてもう少し早く後ろに振り向いていれば、或いは違う結果になったのかもしれない。

 俺がアンリさんの姿を捉えられたのは、ほんの一瞬だけだった。アンリさんのいたであろう足元にほんの一瞬だけ、突然だが魔法陣が浮き出ていた。それは発光と同時にアンリさんの姿を包み、この場から瞬時にアンリさんを消し去ってしまったのだ。

 近くにいたジークは持ち前の瞬発力で咄嗟に手を伸ばして魔法陣の中にスレスレで潜り込み、アンリさんと共にこの場から消えてしまって、結果的に2人がこの場から姿を消してしまったのである。


「……え?」


 驚くことも忘れ、俺はただ茫然と立ち尽くす。

 あまりにも急なことだったから……。


 アンリ……さん? ジーク……? 何で急に消えて……?


 時間にしたら数秒にも満たないことだったのかもしれない。でも、俺がアンリさんとジークが消えたことを理解するまでには相当な時間が掛かったようにも思える。

 時が止まった錯覚、それか逆に早くなりすぎたようにも思えた……そんな時間だった。

 それくらい意味の分からない状況が今起こった。


「アンリ様!? ジーク様!?」

「え!? 嘘でしょ!? 2人共どこに……」


 でもそれは俺以外の人が慌てる声で正常の時間に戻してくれることとなる。

 一気に全身が冷えるような感覚に襲われ、脳に血液が集中する。ようやく俺は目の前で起こったことを理解するに至った。


 アンリさんとジークがいなくなったと……。


「っ~~~! アンリさんっ!? ジーク!?」


 首を痛いくらいに曲げて辺りを見回し大声で二人の名を叫ぶ。しかし2人の返事はないままだ。

 それが本当にいなくなったことを突きつけてくるようで、更に不安な気持ちが俺の中に押し寄せてくる。


 俺がアネモネで『虚』に異空間に閉じ込められた時、皆もこんな気持ちだったのかもしれない。 


「な、ナナ! 2人の反応は!? 分かるだろ!?」


 すぐさま2人の居場所を把握しようとナナを急かす。

 ナナは俺の言葉に、慌てながらも目を閉じて二人の魔力波を補足しようと意識を集中させる動作に入り……そして2人を見つけたようだ。


「ま、待って……っ!? いた! 上……あの船の上にいるっぽい!」

「なんだと……?」


 ナナの感知によると、どうやら2人は今上空に滞空しているあの飛行船に飛ばされたらしい。

 いや、パッと消えてしまったことから『転移』に近い……瞬間移動の類だとは思うが。


 十中八九『ノヴァ』が仕掛けて来たと見てよいだろう。

 連中にはアンリさんを狙う理由があるし、ピンポイントで魔法陣が出現したのはそういうことに違いない。


 狙いはアンリさんだったのか!?


「すぐに追いかけて……っ!?」

「ツカサッ! 危ない!?」


 俺はすぐさまを2人の元へと向かおうとするも、連中はそうはさせてくれないようだった。

 あのはち切れそうなくらいに力の集中していた砲台から、いよいよ赤い熱線が電撃と同じ軌道でオルヴェイラスに向かって放たれたからである。


 辺り一帯を激震させる音と衝撃は、耳につんざき身体を震わせる。火山が噴火でもしたんじゃないかと咄嗟に感じた程だ。


 くそっ! 流石に今はこれを防がないと皆が死ぬ! 2人のことはその後だ。


「皆伏せろ! ……『龍の脚撃(レグナート)』!」


 俺は皆に伏せることを伝えた後、即座に全力で最大火力の攻撃を熱線に向かって放つ。

龍の脚撃(レグナート)』の余波は凄まじく、伏せていなければ葉のように勢いよく吹き飛ばされていたことだろう。近くにあった木や民家は余波で揺れて軋み、葉が耐えきれずに抜け落ちて吹き飛ばされていく。

 ヒナギさんとセシルさんが伏せる動作をとったのか確認する前に発動してしまったものの、ポポとナナが咄嗟に身を挺して覆い隠したことで余波から守ったらしく、特に問題はなさそうだ。


龍の脚撃(レグナート)』と熱線は上空でぶつかり合い、激しく拮抗する。

 天に昇る龍が口を開けて巨大な熱線を飲み込もうとする光景を見てなんとかなったと思ったものだが……


「嘘だろ!? くっ…!」

「ご主人!? ちょっ!?」


 俺の見込みは甘かったようだ。

 熱線は更に出力を増して、逆に『龍の脚撃(レグナート)』を飲み込んでしまったのだ。飛来する速度も上昇し、オルヴェイラスに直撃するまであと僅か……。

 このままでは間違いなくオルヴェイラスは消えてなくなるだろう。目の前に迫る熱線からはそれほどの圧力とエネルギーを感じる。


龍の脚撃(レグナート)』が効かないのであれば別の手を試す他ない。


「『障壁』っ!」


 すぐさまナナと同じ要領で巨大な『障壁』を発動し、迫る熱線を止めようと試みる。

 熱線がその発動した『障壁』へと直撃し、またも別の力と拮抗して抗い始める。

 始めは熱線の凄まじい威力に貫かれそうになった『障壁』だったが、たった一つの『障壁』に俺が全力で力を込めているのだ。そう簡単に崩せるものではない。


 耐えられる……そう確信した。

 熱線は防ぎきることに成功し、オルヴェイラスに損害はない。皆が安堵し喜ぶ光景を想像した。




 バリンッ———。 




 でも俺の希望は現実とはならなかった。

 非情な現実が今目の前で引き起こされる。




 熱線は俺の全力の『障壁』すら貫通し、再度オルヴェイラスへの距離を縮め始めたのだ。

 物理と魔法の全力。そのどちらも打ち破られてしまった俺はこの時久しぶりにある感覚を思い出した。

 それは俺がジークと最初戦った時と似たもので、恐怖からくる緊張感。一歩間違えれば確実な死が迫るような……緊迫した感覚。




 かくなる上は……!




 もうこうなってしまっては最終手段に出るしかない。

 俺の全身全霊を持って受け止める以外に……方法はない!


「……っ! 『鉄身硬』!」


 半ば自棄になったように俺は『転移』で熱線の目前まで瞬時に移動し、両手を交差させて胸の前に構える。

 ピキピキと無機質な音を身体が鳴らし、準備は整った。空中で足場はないが、今はもう直撃しそうな熱線に意識を向ける。




『鉄身硬』は【体術】のスキル技の1つだ。文字通り身体を鉄の様に硬化させるスキル技であり、攻撃系のスキルではない。

 発動すると一時的に防御力が急上昇するのだが、難点として動きが鈍くなるというデメリットがある。もしそんなデメリットがないのであれば普段から使っている代物であるが……いかんせん、極端に不自由になってしまうから使い勝手が悪い。

 目まぐるしく動き回る必要のあったジーク戦でこれを一切使用しなかったのは、それが理由である。




 同出力の攻撃技を繰り出すことが難しいなら、俺自身の身体で耐えきって相殺してしまえばいい。

 馬鹿げた俺のステータスの中でも特に優れているのは防御力なのだから。そこから更に強化された防御力をもって防ぎきって見せる。


 何が何でもこの街に直撃させるわけにはいかない!

 来いっ!


「ぐぅっ!?」


 俺の覚悟と同時に、熱線は容赦なく俺の身体に直撃した。


 熱い……! 身体が焼ききれそうで、そして押しつぶされそうだ……!

 このコートを着ててこれとかふざけんなよ……!


 凄まじい熱に目も開けることが出来ず、視界は暗闇に閉ざされた状態。一応熱波の光が強烈な刺激を与えているのは理解できるが、それから背けることはできそうもない。

 直撃してすぐ……俺は悟った。この出力では俺ごとオルヴェイラスに叩きつけられると……。

 今俺が着ている【アンチブラックコート】の効力である各属性への耐性、これは気休めでしかないと……。


 耐性の概念を度外視しているかのような熱線だ。

 だから咄嗟に背中に『障壁』を張り付けるように発動して……俺はこれ以上後ろへと押し出されないようにしたんだ。


 そんなことをすれば当然……


「ぐぅおおあああああああっ!!!」


 熱と圧力で更に強く身体を押しつぶされることになるのは当たり前だった。

 先程以上の苦痛、地獄が俺を待っていた。地獄の炎に自分は焼かれてるんじゃないか……本気でそう思った。


 叫ばずにはいられない。叫んだことでそこから流入してくる熱で喉が焼き切れそうになっても、そこから更に奥まで熱が侵食して内部を痛めつけようとしてきても、叫ばずにはいられない。

 少しでも声を出さなければ死んでしまう気がした。力が入らなくなる気がした。意識が飛んでしまう気がした。

 ……大切な何かを失う気がしたのだ。


 安らぎの瞬間は今少したりとも感じない状況のはずだった。だがそこに、一筋の希望が微かに聞こえた気がした。

 鼓膜が破れそうな喧騒の中にも関わらず、その声は不思議と俺の耳に届いたのだ。




「カミシロ様ぁああああっ!!!」




 あぁ……ヒナギさんの声が聞こえる。こんな声初めて聞いたな。

 あれ? そういえばなんか最近ヒナギさんの初めてを知ることが多いような気がするなぁ……。

 まだまだヒナギさんと色んなことをして知りたかったのに……。




 走馬灯とはこんなものなのか……。本当に死にそうになると出てくるんだなぁ。


 今俺が思い浮かべたのは、ヒナギさんと出会ってから今に至るまでの思い出だ。多分ヒナギさんの声が聞こえたからなんだろうけど。

 なんやかんやヒナギさんと出会ってから4ヵ月。本当にあっと言う間だったと思う。


 そうか……たった4ヵ月か。これでヒナギさんとの思い出は……もう終わりなのか……。恋人になってからはまだ1月も経ってないのに……。




 あぁ、残念だったな。もっと思い出をいっぱい作りたかった。アンリさんも一緒に……。







 ――――いや、作るんだよ。終わらせてどうする。







 一瞬身体が軽くなって全てを放棄したくなった。このまま素直に朽ち果てよう、精一杯俺はやったと……。もう十分なくらい頑張って見せたんだから、これ以上頑張ることはないんだと。

 俺を痛めつけるこの熱線を受け入れれば、すぐにでもこの苦痛からは解放されて楽になれるという……気の迷い。それが俺の中に芽生える。


 でも、それを受け入れるということを俺はしなかった。

 俺を死の意識から生きる意識へと戻したのは、ヒナギさんとアンリさんの声と俺が以前決めた決意。




 ヒナギさんにあんな声をさせるとか馬鹿か俺は! めちゃくちゃ心配してくれてるじゃねーかよ。

 それなのにもう諦めるとかあり得ねーよ。彼氏なら彼氏らしく彼女の声には答えて見せるべきだ。……つーか心配させてんじゃねーって話だ、何回目だよ!

 だからこんなとこで死ねるか! アンリさんだって俺にはいるんだ!




 それに俺は……もう誰も失いたくない。




 自らを叱咤して激励し、生きるための抵抗をするために意識を戻すことができた。

 ただ、同時にまた死ぬほど辛い苦痛が俺を襲うが……先程と比べたら雲泥の差だ。今は先程と違って想いが伴っているから。

 想いってのはそれくらい強い力を秘めていると心底思う。それは今の俺の状態が肯定してるだろう。

 先程よりも不思議と力が湧いてくる。


 もう限界寸前、だが押し負けるわけにはいかない。

 ヒナギさんだけじゃない、守るべき人が今俺の後ろには大勢いるのだから。


 絶対に耐えてやる!


「う、おおおおおおおおっ!!!」

「後少しですご主人!」

「いけえぇええええっ!」

「ツカサっ!」

「カミシロ様っ!!!」


 ポポとナナの声と、セシルさんの声。そして……ヒナギさんの声。




 仲間の声を合図に熱線を押し返そうと力を込めた所で、眼前で熱線は爆ぜたのだった。

次回更新は水曜です。

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