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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
序章 旅立ち
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プロローグ

 季節は春。

 暦上では春になっているものの、まだまだ寒い日が続いているときのこと。


「暇だ……」


 パソコンの前でグダり、いつものことながら一人俺は呟く。

 俺の名前は【神代(かみしろ)(つかさ)】。東京の大学に通う、現在大学2年生の男だ。

 家は裕福ではないが何かに不自由したことはない。

 俺自身バイトはしているが、それほど稼ぎはないので一人暮らしすることもなく実家から大学に通っている。

 歳は20。身長は160㎝もないというくらいで、日本の平均を大きく下げるような存在だ。……男として悲しいが。

 体型は細マッチョとゴリマッチョのどちらかと言われれば、後者に入る見た目をしている。

 小さい頃は細マッチョに憧れてたりしたんだが、成長していくにつれて「あ、無理だコレ」と悟り、諦めることにした。


 今となってはどうでもいいけどね……だってしょうがないし。


 そして人間として重要であろう顔についてなんだが、平均的な顔をしていると思う。いや、思いたい。

 言うならテレビや雑誌に出るような人間と、恋人いない=年齢の人を足して割るような感じか? 

 まぁそんな感じだ。良くも悪くもないと言ったところか。当たり障りのないことを言っているように思うが事実だ。

 ちなみに髪の毛は長すぎず短すぎずの黒だ。染めたことは一度もない。


 と、俺の情報はそんな感じだ。

 家族構成が気になるだろうけど、普通の一般家庭と変わらない。それは追々説明する。

 というわけで冒頭の続きに戻る。



「異世界に行きたいなぁ」


 もし他の人が聞いていたら、何言ってんだコイツ? と感じるだろう。

 だがこれは俺の切実な気持ちだ。マジで行きたい。あれば。


 理由としてはなんてことはない。

 大学に通い始めた頃から俺はネット小説にハマった。ただそれだけである。

 ジャンルはもちろん異世界ファンタジーだ。異論は認めない。

 まぁ、いい歳してバカだとは思う。でもこの考えはすぐに変わるようなものでもないだろう? うん。


 そう俺が思っていたときに、頭の上にトスっと何かが乗る感覚がした。

 俺は気にすることもなくグダった姿勢を変えない。

 その感覚の元凶であるそれは頭の上でピーピーやらピュイピュイと鳴き叫んでいるが、それは家で飼っているインコである。しかも2匹。


 コイツらは1か月前にペットショップで購入した。

 ペットショップにたまたま行ったとき、コイツらの入っているケースを見かけ立ち寄ったところ、複数いたインコの雛の中で一番人懐っこい反応をしたので飼うことに決めた。

 買った時はヒナだったのだが、鳥の成長の早いこと早いこと。

 生後2週間のを買ったこともあり、あっという間に成鳥に成長した。


 ……今のは狙ったわけじゃないぞ? ホントだよっ!?


 ……ゴホンッ、それで今では家中を飛び回れるようになってやりたい放題なわけだ。飛べるようになって嬉しいんだろうな。鳥の本能ってやつか。


 とまぁ、コイツらは現在俺の頭の上で遊んでいる。

 手乗りに育てたかったのだが、どうやらコイツらは手よりも頭の方が好きらしい。

 鳥のくせになまいきな! とは思わない。カワイイは正義だ。うん。

 だから手乗りにはできなかったが後悔はしていない。

 なにより人間を恐れずになついてくれているから結果オーライだ。


 あ、コイツらの特徴を説明していなかったな。

 コイツらの見た目は非常に分かりやすい。一匹は白く、もう一匹は黄緑色の毛並をしている。

 白いのがナナで、黄緑のがポポだ。姉ちゃんが命名した。


 ポポについてはタンポポみたいという理由らしい。ナナは語呂合わせでそうなったぽい……。詳しくは知らん。

 ちなみにポポはオスでナナはメスだ。

 家族で話し合って決めたらしいが、その時俺はバイトでいなかったため知らない間に決定していた。


 ……俺は家族ではないってことですかね? まぁ、いいけど。


 俺はポポをピー助、ナナをピー子と呼んでいる。

 ……なんとなくだ。俺的にそっちの方がしっくりくる。


 コイツらの特徴はそんな感じ。

 あ、あと俺姉ちゃんがいます。下には弟がいて3人兄弟です。それと両親。

 5人家族というわけです。ハイ、家族構成終わり。


 話を戻そう。


 頭の上にピー助とピー子を乗せたまま俺はグダっているわけなんだが、そうしていたら少し眠くなってきてしまった。

 時刻は昼を少し過ぎたころ、夕方にバイトがあるからそれまでは寝ていようと心に決め、俺は眠気に身を任せた。

 コイツらは……起きたら籠に戻せばいいか。




 ◆◆◆




「あ、いたいた」


 司以外にいないはずの部屋で誰かの声が響く。

 突然の声に、どうやら司の頭の上で一緒に寝てしまっていたナナとポポは目を覚ます。

 司は目を覚まさない。規則正しい寝息をたてて眠り続けている。

 どうやら深く寝入っているようだ。


「ゴメンゴメン、君たちを起こしちゃったみたいだね」


 その声の主は少し申し訳なさそうに言う。


「時間もないし早く済ませてしまおう」


 そう言うと司の周りが淡く白いモヤのようなもので満たされていく。

 ポポとナナはよく分からないといった表情でそれを見ており、特に騒いだりもしていなかった。


「……一人じゃ心細いだろうし、君たちも連れて行こうか」


 声と同時にポポとナナの周りにも白いモヤが掛かりはじめ、次第に体を覆っていく。


「よし、1名と2匹ご案内~」


 その瞬間、司と2匹の存在は地球上から消え去った。

 それを見届けたものは誰もいない。

 開いたパソコンだけが、そこに残されていた。

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