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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
序章 旅立ち
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15話 無詠唱

「ふぅ~食った食った」


 飯を食い終えた俺たちは部屋へ戻っていた。


 あの後身体を拭いて飯を食いに1階に降りた俺たちは、次の日のことについて少し話しながらセシルさんを待っていた。

 5分後くらいにセシルさんは降りてきて、当たり前のように俺たちの席に座ったのを見て、一緒に夕飯を食べるという俺の予想は外れていなかったのだとわかった。

 それからは世間話のような会話をした後、各自部屋へと戻った。


「では明日は午前中は図書館に行って調べもの、午後は住民のお手伝いをするのですね?」

「ああ、さっき話したとおりだ」


 明日やることは決まっている。

 図書館があるらしいので午前中はそこに行って調べものをする。


 リベルアークの歴史や常識を調べるのが主な目的になるな。


 午後は常時受注可能な住民のお手伝いをやろうと思う。


 異世界ものだとこういう下積みは重要だろうし、とりあえずやっておこう。

 この町の人と仲良くなれたらいいな。


「分かりました。あとこの宿の宿泊日数はどうしますか? 明日で最後ですが…延長しますか?」

「延長でいいだろ? 金はあるし特に不自由してるわけでもない…。それにミーシャさんは可愛いしフィーナさんは綺麗だしなー」

「まぁそうですね。私もそう思います」

「おお! ポポ君! 君も分かるかね?」

「…不謹慎」


 俺とポポがそんなことを言って意気投合しているのをナナはジト目で見ている。


 男なんてそんなもんだ。ポポは鳥だが。

 だから気にしない。


「さ~て、明日やることが決まったし魔法の練習でもしますかねー」


 昨日と同様に魔法の練習を始める。


 まだ使えるようになって2日目だし、まだまだ練習しておきたい。


 それから俺は1時間ほど昨日と同様に魔法の練習をしていた。

 ポポとナナも同様だ。



 そして疑問が出てきたので、それを口にする。


「そういえば無詠唱とか魔法の同時発動ってできるのか?」

「どうなんでしょう? できるなら随分楽になりますが…」


 ふと思ったので確認をしてみることにした。


 いやさ、いちいち呪文を唱えるのって中々面倒くさいんだよね。

 それが醍醐味! って言えばそうなんだが、反復練習していると本当にそう思う。

 あと恥ずかしいし、今はもう慣れてきたけど…。


「無詠唱の方からやってみるか…」

「では私は同時発動の方をやってみます」

「ああ、頼む」

「ん~?」


 ナナが不思議そうな顔をしてみている。


 どうした? まぁとりあえず実践実践。


「魔力を循環させて…っと、え~と、どうすりゃいいんだ? 頭の中でイメージするだけか?」


 頭の中でイメージをして手を前にかざす。


 するとどうやら成功したのか、『ライトボール』が現れる。

 が、光が弱々しく不安定だ。


「お! 成功か? はやっ! …でも何か思ってたよりかはショボいな。威力は下がっちゃうのか。でも一応やり方は合ってる?」


 多分だがやり方は合っていると思う。

 一方ポポの方はというと…


「できるにはできましたが、魔力の消費が少し大きいですね。これはそう何度もできるようなものでは…(ぶつぶつ)」


 何やら呟いている。

 ポポの周りには火の玉と、風が渦巻く玉が浮いている。『ファイアボール』と『ウィンドボール』だ。


 成功はしているみたいだな。

 なんだ、意外にもやってみればできるもんだな。


 そんな風に俺たちが考えているとナナが口を開く。


「ご主人の方はやり方はあってるよ? ただ動作の方が中途半端だから威力が下がっちゃったんだね。ポポの方はそれでいいと思うよ~、消費量大きくて困るよね~」


 はい? ナナは何か知ってんの?


「ナナ、お前何か知ってるのか? それに動作って…」

「今日スライムを倒してる時に私その2つを実践してみたんだ~。それで呪文と魔法名を省略するかわりにね、ご主人が地球でよくやってたポーズとかをやってみたんだよー。そしたら普段通りに発動したよ? 多分これが呪文と魔法名の2つの代わりになってるんだと思うよ~。ポポの方はそれで合ってると思うー」


 なん…だと。

 アレを見られていたのか!?


 俺は地球にいた時、厨二病的なことを隠れてよくやっていたことがあった。

 好きなアニメのキャラクターとかの動きを真似してみたり、ポーズをとってみたり…。


 うわぁぁぁぁっ!! 恥ずかしいなぁもう!

 死にたい死にたい死にたい! 嫌ああああああーーーーーーーー!!!

 俺は顔には出さず、脳内でそんなセリフを吐いた。




 …いや、とりあえず今はそれはどうでもいい。

 にしてもコイツ、天才か?


 確かに魔法使いよりのステータスだったが、まさかナナがなぁ。

 正直驚きを隠せない。ポポも驚いてるし。

 というより何で黙ってたんだ?


「そう…なのか。でもなんで黙ってたんだ?」

「ん~? 2人とも気づいてるかと思ってたからだけどー?」

「あ、そうでしたか。スンマセン、気づいてませんでした」


 反射的に敬語になる。ナナはどうやらそう思っていたらしい。

 つまるところ、俺たちがアホなだけだったようだ。


 …だってさ、ポポ君や。


 俺の考えが伝わったのかポポもこちらを俺と同じような目をして見ている。お互いに随分と遠い目である。


「ふ~ん。それでさっきも言ったけどね、ご主人の場合は手をかざすのがゆっくりだったからああなったと思うんだ~。もっとバッ!! って感じにやらないと」

「わ、分かった。もう1回やってみるよ」

「私もやってみます」


 ポポもやってみるようだ。

 二人で再度実践してみる。


 結果。


「できた…」

「私も…」


 うん、普通にできた。ナナの言ったことは本当らしい。

 ただ、動作は多少オーバーなくらいでいいみたいだが、これはこれで恥ずかしい。まぁ、我慢するけど…。

 もう頭が上がんないよ、ナナ様! 感謝いたします。


 俺たちは、そんなこんなで無詠唱を覚えることができた。


 あと、同時展開の方もやってみたんだが確かに魔力の消費が大きかった。どうやらこれはそういうものっぽい。

 使うタイミングが難しそうだが、覚えておいて損はないだろう。




 そうして異世界生活2日目も終わっていくのであった。

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