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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第三章 狂いし戦の虜、闘神の流儀
129/531

127話 ナナは鳥だった

すみません。

投稿日時が1日ずれてたみたいです。

 ◇◇◇




「………」


 アンリさんが来訪してから…早くも2週間が経過した。

 ちとドギマギすることも何度かあったけど、普段と何ら変わらず過ごすことが俺はできていた。

 ヴァルダにも例の件は頼んでおいたし、後は個人的に連中を探るくらいかねぇ。


 ………あれ?


 は、は~、それにしても…実にいい天気だなぁ。偶の休日がこうも晴れやかだと…俺の心も明るくなっちまうね…こりゃ。

 あ、元々俺は明るいか。太陽も真っ青なくらい明るいじゃんアハハハハ。でもそれだと真っ青な太陽って何だろって話になるな。


 さてさて…どうしたもんかね…。


「あのご主人、何一人で語ってんですか?」

「…あ、やっとツッコんでくれたか。待ってました」

「何やってんの…」


 今誰に話すでもなく一人でペラペラ喋っていたわけだが、待ち望んでいたツッコミがようやく入って安堵する。


「いやさぁ…いつツッコんでくれるかなぁと思ってやってみたんだけど、お前ら中々ツッコまないで話聞いてるからさぁ。話続けるの意外にも大変だったんだぞ?」

「知らないんですけどそんなこと…」

「暇だねご主人。頭の中も暇になっちゃったの~?」


 ムッ!


「そうだよっ! でも偶の休日だけどおまえらとしか一緒に出掛ける奴がいなくて若干ナイーブな気持ちになってたんだよ。しかも普段から一緒にいるから話の内容ももうネタを尽きてるし! てかないし! それで沈黙に耐えられなかったから一人でいきなり自分を語ってはツッコミを入れて話を作るってことをやろうと思ったのにお前らと来たら中々ツッコんでくれないし!」

「ええぇぇ…」


 俺の心の叫びが、漏れた。


「話のネタがない…ですか。…でしたら、神様の来訪ってそろそろなんじゃないですか?」

「あ、言われてみればそうかも。あれからそろそろ1ヵ月経つな…」

「なんだ、ネタあるじゃん」


 気づかなくて悪ぅござんしたー。はいはいスンマセンねぇナナさんや。


 ナナに対して内心適当に謝る。


「色々話したいことあるんだよな。特n「あ、先生」


 ネタが見つかっていざその話をしようとした時、聞きなれた声が聞こえてきたので中断してそちらを見る。

 すると…


「ん? アンリさん…」

「こんな所で何やってるんですか?」


 そこには、キョトンした顔をしたアンリさんがいた。


 相変わらず神ですね。今日も100点満点です。


 アンリさんが俺達の状態を見ては、そう聞いてくる。


「いや…今日は休みなんだ俺。だからぶらぶら散策してたんだけど、丁度いいところにベンチがあったから、座ってボーっとしてたんだ」

「そ、そうなんですか…」


 というのも、俺達は今ベンチに座って暇を潰しているだけだったりする。

 若者がベンチに座って暇を潰すという光景はあまり見ないだろうし、何をやっているか疑問に思われても仕方がないかもしれない。


「アンリの方は何やってんのー? お昼でも食べるの?」


 今の時刻は昼くらい。

 ナナがそう聞くのも不思議ではない。


 …てか、そんな時間からベンチに座って暇を潰している俺は何なんだろうね。

 まぁ知るかって話ですけども。


「ううん。さっき食べたから違うよ。ちょっと武器屋さんに行こうと思って…」

「武器ですか?」

「お金少し溜まって来たから、新しいのを見てみようかなって…」

「ふ~ん。そうだったんだ」


 やはりというか、王都の学院の出だからアンリさんは優秀だ。

 元々常識は持っているから人との関わり合いでも面倒事なんてないみたいだし、依頼も抜かりなく達成しているとマッチさんから聞いている。

 実力だって決して低くなく、むしろ高い。学院の時の時点でDランクくらいの実力はあった。


 無駄遣いしてる様子もなさそうなので、お金が少しずつ溜まってきているらしい。


「あの…先生。ちょっとこれから私武器屋に行く予定なんですけど…よかったら来てもらえないですか? その…色々とアドバイス欲しくって…」


 アンリさんからお願いされる。


 武器を新調するのか…。まぁ暇だしいいですよー。俺にできる範囲なら。


 見れば、アンリさんの腰に下がっているレイピアは…随分と使い古されているのがよく分かるほどだった。

 柄やグリップの部分はメッキが剥がれているし、鍔…ガードの部分は手入れではどうにもならない損傷が見られる。

 レイピアはほのかに赤い装飾がされているが、かつてはもっと輝きを放っていたであろうその姿は、もう見られない。だがそれ以外は手入れを丁寧にしているのか、それほど劣化は見られなかったので、恐らく大事に扱ってきたことは明白だった。


「あ、そうなんだ。いいよ? 今日は暇だし」


 チラッとレイピアを確認した後、すぐに了承する。

 すると…


「じゃあ私たちはお邪魔そうですので失礼します」

「ごゆっくり~」


 ポポとナナが俺の肩から離れ、パタパタと飛び始める。


「え? 何でだ? 別に邪魔じゃないだろ」


 …もしかして空気を読んでくれたんだろうか? 

 でも別にそんな感じの流れじゃない気がするんだが…。


 ポポとナナの行動に心当たりを感じるが、今は特に必要ないと思わないでもない。


「…いや、そろそろ念仏を唱える時間だから…」

「初めて聞いたんだが…」

「今日決めたの。たった今」


 なんて都合のいい奴なんだ。


「何唱えるか分かってる?」

「……ピーピュロロロ~?」

「鳥みたいな鳴き声で誤魔化すんじゃない。やっぱ分かんねーんじゃねーか」


 やはりというか、念仏なんてものをナナは知らないようだ。

 どうやら適当なことを言っていたらしい。


「…あの、ナナは鳥ですよ?」

「あ…そうか。お前鳥だったな…」

「酷くない!? こんなぷりちーなのに!? ご主人頭おかしいんじゃないの!?」

「うん。そんな生意気な口の利き方してる鳥、普通いないから」


 アンリさんのツッコミに対し、ナナが鳥であることを思い出す。


 …いや、思い出すというか認識を変えた感じか?

 普段から鳥っぽくないし…。


「むーっ! いいもん! ポポ! 行こ」

「はいはい。それでは…」


 俺の言葉が心外だったのか、ナナはポポを連れてどこかへと行ってしまった。


 あちゃー、機嫌損ねたかなぁ? ま、すぐに忘れるだろ。てか逃げられた。


「取りあえず…行こっか?」

「あ、はい」


 残って欲しかったけど、ならしゃーないか…。




 残された俺とアンリさんは、武器屋に向かって並んで歩き始めた。

今日はあと1話投稿します。

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