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通報屋・四

一応ストックはここまで。後は、でき次第です。

前回のあらすじ・リーダー(笑)


 さて。どうしたもんか。


 今の状況を簡潔にまとめると、


 ・残念リーダー達が執行人。悪人の情報欲しい。お前やれ。出来なければ死ね。


 といってる状況だ。


 うん。


 迷惑すぎるから、リーダー(笑)の(笑)をとってやった。ざまあ。


 っていうのは置いといて。


「ちょっと待ってや。色々ぶっ飛び過ぎて、何が何だか…」


 情報が、圧倒的に足りない。説明を要求する。


 このまま流されると、俺の命が危ないからな。雇用条件、仕事内容、保険各種、ちゃんと調べておくのは就活では基本だし。


「あー。そうだな。一応説明はいるか。まあ、簡潔に言うと、こういう事だ」


 残念リーダーの説明をまとめるとこうだった。


 ・執行人は確かに江戸時代から存在したが、自分たちはそれとは別物。それぞれの殺しのテクを使い、殺しの依頼を受けて悪人を殺す事を生業にしている。


 ・で、今話題の連続猟奇殺人事件。あのほとんどがこいつらのやった事。まあ、確かに殺されたのは悪い噂の絶えない奴らだったしな。確かに、方針にはあってる。実力もありそうだし。


 ・けれども、順調に言っていた悪人殺しだが、ここに着て難しくなった。なんでも、受けた依頼のターゲットが極道関係者で、暗殺する前に他の組に勝ちこみかけられて撃たれたらしい。


「まあ、幸か不幸か命は助かったらしいが、それを理由にターゲットが行方をくらませちまったのさ。信頼できる部下達と、いざって時の武器や金を持ってな。これが全然見つからん。執行の期限はもう少ししかない。これをできないと、俺達の評判に関わるし、依頼主とも事を構える事になる。だからこそ、調べろ。ちなみに拒否権はないからな」


 そう言ってリーダーはいう訳だが…拳銃突きつけられてじゃしてくれも何もねーだろ。


 断れねージャン。


 脅しジャン。これ。


「いやさ、アンタらの事情はまあ分かっただけどよ。それだと何で俺に聞くのよ?もっといい情報屋くらいいるでしょうが。俺、情報屋じゃねーし」


 まあ一応聞いてみるか。なんで俺なのか、そこが気になるし。


「いやいやいやいや。何言ってんの。飛籠さん以上の通報屋…もとい。情報通は中々いねーよ?実際、この一か月に見ただけで、その凄さがよ~~くわかったしな」


 すごさ?


 はて?そんなすごい事、何かやったか?


「まさか、心当たりないんですか?言っときますけど、一日に平均約10回通報。不法滞在者に不法就労者、犯罪者の逮捕者数が最低でも100人超えてる人なんてまずいませんよ」


 え?そうなの?


「いやァ、そりゃそうでしょォ。普通そこまで通報しないしィ。それにあんたの通報じゃァ、結構大人数が一気に捕まるからなァ…最近じゃァ、大きな規模の犯罪者グループは軒並みィ、あんたに通報されて潰されてるっすよォ」


 マジで?え、マジで?


 皆、こんなに通報しないの?


 マジで?


「まあ、うん。そうだろうな。というか、まずあんたに話を持っていく前に、ちゃんとした情報屋にハンシを通した見たんだ。あんたは通報屋と言ってるように情報屋ではないからな。彼らを通しておいた方が良いと思ったんだ。で、話をしたら『無理』と断られたよ。それどころか、『通報屋に聞いた方が良いよ。あの通報キ〇ガ〇なら、何でも知ってるからさ』と言われてな。それで話を聞こうと思った」


「…その前に、どれだけの実力があるか、一か月ほど観察していたという訳だ。貴重な時間を使ったが、少なくとも無意味では無かったようだな」


 おーう。


 マジか。マジなのか。


 後その情報屋、手前は見つけ次第フルボッコ決定だ。慈悲はない。だれが通報〇チ〇イだ。


「だからこそだ。ターゲットを見つけろ。協力してくれたなら謝礼も弾む。俺達には時間がないんだ。無理とか、断るとかなら…分かるな?」


 ガチリっと俺の後ろで音がした。


 安全装置を外したっぽいな。


 おいおいおいおい。執行人がそんな脅ししていいのかよ。悪人には苛烈だけど、それ以外には真摯に接するもんだろ?少なくとも俺の死ってる奴はそうだったぞ!!テレビの話だけど。


「さて、どうする?協力か、死か、好きな方を選んでくれ」


 だから選択しねーじゃん!!


 強制一択の糞ゲーじゃねーか!!


「へいへい分かったよ。とんまなお前らの代わりに俺がターゲット見つけてやりますよコンチクショウが」


 精一杯の反撃。ただし口だけである。


「は!よく言うな。じゃあ、そうだな…」


 そう言って、リーダーは俺に何か差し出した。


「あん?」


 ある人物ってかおっさんの写真だ。名前は破落戸ごろつき 乱棒らんぼう。目つきの悪さ、顔の傷。名前。どこから見てもその筋の人です。本当にありがとうございました。そして、それ以外には、このおっさんに関するデータが乗った書類のようだ。


「ターゲットの情報だ。そうだな…よし、1日だ。日付が変わったからな。今日の深夜までに居場所を突き止めろ。でないとお前を殺す」


「ふぁ!?」


 思わず叫んじまったよ!!ちょ、おい!!さっきは調べるならOKみたいな話だったじゃん!!急に条件つけんなよ!!プロの情報屋が無理っつたもんを一日で解決しろとか!!ふざけてんのか!!


「二度は言わん。一日で調べろ。こちらにも時間がないんだ。その間は、俺達がお前をずっと監視する。何、今までと変わらんさ。できねば死ぬだけだ。ああ、そうだ。実はお前の家だけはどうしても分からなかったからな。案内してもらおうか?うん?断らないよな?マイフレンド」




 変わるわアホォォォォォォォォ!!断るわボケェェェェェェ!!!!



 このボケ糞外道野郎がァ!!一日中監視だと!?ンなことされたらァ!!




 自家発電!!できねーじゃねーかァァァァァァァァァ!!!!




 家での自家発電はなァ!!男の生活の一部なんだよ!!そこに他人がいると満足にくつろげねェだろうが!!!!



 認めん!!そんな事!!絶対に認めんぞおおおおおおお!!!!



「おい」


「ん?何だ?断るというのなら「ちげーよハゲ」…!?ハゲ!?」


 んだよコラ。ハゲをハゲッつって何がわりーんだコラ。文句あんのか。オイ。


「一日なんか、かかるか。今ここで調べてやるよ。だから…おい!そこのチャラ男!」


「ちゃ、チャラ男ォ!?お、俺か「手前以外にいるか!!腐ったバナナ頭!!ケータイ貸せ!!」ァってオイイイイイ!!失礼すぎるぞォォォォ!!!」


 やかましい!!こちとら快適発電ライフ掛かってんだ!!さっさとしろや!!


「何をする気だ?」


 クソリーダーが聞いてきて、周りの奴らもピリピリしてるが関係ねェ!!全くもって関係ねェ!!


「ああん?手前本気で頭悪いな?さっき調べるっつったろうが。そこの腐れバナナが「また言ったァ!!また言いやがったァ!!」うっせえ!!とりあえず、ケータイ貸せば直ぐに調べられるつってんだよ!!わざわざ自分の使わなねーのは、手間の削除だ。俺の使おうとしたら反対すんだろ?良いから貸せよ!手前らボケどもが一向にわからねェもんをわざわざ一瞬で調べてやるっつってんだぞ?ああ!?泣いて感謝してむせび泣いて死ねやコラ!!」


「…この…!!」


「あ~れ~いいんでしゅか~?俺に何かあったら、調べられる奴いないぞ~。期日ヤバいって言ってなかったっけか?何か月もかかって何もできないてめーらでどうにかなるんですかァ~。あ、痛めつけても、無駄無駄。お前らは、情報がないと色々ヤバイ。けど、俺的にはどうでも良い事何で。死んでも痛みつけられても、特に問題ないんで!自分、基本ニートっすから!失うもん何もないっすわ!!困るのはてめえらだけェ!!ぷぎゃ~」


 ぶははははは!! 


 怒りに震えてやがる!でも、事実そうだから言い返せねって感じっすね~。あれ~どうしたんすかァ?さっきまで威勢よく『出来なければ死ね(キリッ)』ってつってたじゃねーすかァ!!微塵もないっすよ?面影!!あっはっははははは!!! 


「こ、コノ野郎ゥ!!」


 って、挑発しすぎたかな?チャラ男がなんかダーツっぽいもんを懐から出したぞ。


「黙っていれば調子に乗りやがってェ!!死ねェ!!」


 そう言って、チャラ男は思いっきりダーツを俺に向かって投げ「頭冷やせ!!バカ野郎!!」…。



 る事はなかった。



「ぐはあ!?」



 投げようとした瞬間、幽霊男がチャラ男を思いっきり蹴ったからだ。


「殺してどうする!!確かにムカついたが、奴の言った通り殺しても何にもならん!!むしろ困るのは俺達だ!!」


 おーう。ちゃんと分かってるな。幽霊。


 気に入った。お前は最後に殺してやる。


「…でも!!「珍田。ケータイを貸してやれ」…!?リーダー!?」


 チャラ男が驚いたように、糞リーダーの方へ顔を向けた。


 ってか珍田っていうのかコイツ。珍しい名字だな。


「聞こえなかったか?こいつにケータイを貸してやれ」


「…クソ!!」


 悪態を付ながらも、腐れバナナ改め珍田はケータイを差し出した。


「どーも。俺のケータイと比べるとモノすげえ時代遅れだけど気にスンナ。これでも調べられっから」


「!!なん「珍田」がァァァァァ!!」


 さて、軽く挑発したわけだがこれで条件はそろったかな。むろん、勝つための条件が。


 じゃあ調べ「おい」ってなんだよ。ハゲ。


「一つ言っておく、助けを呼ぼうとしても無駄だ。我々には把握できる術も阻止するすべもある。また、もし万が一、調べられることが無かった場合や、10分を超えても調べられなかったらs「10分もいらねーよ。しゃべりかけんな。ってーか一つじゃなくて二つ言ってんぞ?耄碌したか?ハゲ」!!絶対にぶち殺すからな!!分かったかああああああ!!」


 だからじゃべんな。うざい。



 じゃあ、気を取り直してやりますか。


 

* * *


「良いんですかァ!?リーダーァ!!あいつの言うとおりにさせてェ!!」


 新人が調べている間、それを監視しながら、執行人たちは話し合いをしていた。


 内容は、もちろん新人の事である。


 「仕方あるまい。殺してしまいたいのは事実だが、今はダメだ。奴の情報収集能力は本物だからな。これ以外に手はない」


「しかし…!!いえ、何でもないです」


苦々しい顔で話すリーダー…本名不明…を見て、珍田は荒に何か言おうとしたが、結局は何も言えなかった。

 

 珍田にもわかってはいたのだ。こうする以外に手はないこと位は。しかし。


(それでもォ、俺はあいつを許さねェ!!)


 自身のチャームポインツと信じて疑わなかった腐れバナナ…もという○こ系茶髪を馬鹿にされたことが、珍田には悔しくて悔しくてたまらなかったのだ。


「…それで、こっからどうするんだ?」


 幽霊男…この先、おそらく本名は出ないであろう…から振られた話題に、リーダーは『うむ』と頷いた。


「そうだな。用済みになりしだい、消したいところではあるが…」


 その言葉を聞いて、珍田が飛び切りの笑顔で答える。


「殺らせてくださいイ!!俺にィ!是非ィ!!」


 いつになく殺る気満々な珍田。しかし、


「やはりできないな。アイツの情報収集能力はおしい。性格に難はあるが、あそこまで言うという事は、かなりの自信だろう。失うのは痛手だ」


 リーダーの言葉に、珍田、撃沈!!繰り返す!!珍田撃沈!!


「やはりそうなりますか。ですが、もし10分を過ぎても何も得られない時には、私が撃ち殺しますよ。口約束とも言えど約束ですから」


「ああ。ぜひそうしてくれ。全力でやってくれ。弾なら気にするな。金はある」


 ちゃっかりと新人を殺す約束を取り付ける射撃男・デニス。


(良く言いますね。その金もどうせ執行料金から棒引きするつもりでしょうが。弾丸は高いからって自言っていつもそうしているじゃないですか。この糞リーダー)


 いや、やっぱかなり揉めてるらしい。金銭問題は後々怖いぞー。ちゃんとしとけよ。本当に。


「ですが、本当に調べられたらどうするんですか?奴の性格を考えると、生かして使い続けるにしても、今回の様に反抗が繰り返されると思いますが」


「…そこなんだよな。問題は」


 新人の性格から、今後こき使う際、必ず問題が起きるだろう。そのたびに問答していたのでは駄目だ。最悪、交渉権を奪われることもありえる。何としても、自分たち執行人が新人の上に立つ必要があった。


 しかし。


「本気で弱みがないからな。アイツ…」


 彼らの1か月に及ぶ監視でも、新人の弱点や弱みは見つけられなかったのだ。本当は、すごくしょうもない事が弱みであるのだが(エ〇ゲー関係等)、彼らには知る由もない。


「…リーダー少しいいですか?」


「ん?なんだ?クライド」


 クライドと呼ばれたのは、ナイフ使いであり嫁からの暴力によって家庭を追われた(新人設定)おっさんであった。


「いや、それなんですが奴の家を調べてみませんか?あれほど逆上というか、我々に強く出てきたのは一日中監視、後家に案内すると言った直後なので…何か家にあるのかもしれません」


 おお!このおっさんすげェ!!


 ニアミスだが、新人の弱みを見抜いた!!他の奴らは誰も考えて無かったのに!!


「!そうか!家か!その可能性は考えてなかった!!」


「なるほど。それは盲点でした」


「…ふん…」


「いやァー!流石っすねェ!やっぱクライドさんは目の付け所が違うゥ!!亀の甲より年の功ゥ!!伊達にィ、昔ィ、作戦で敵の女工作員を奥さんの実家に連れ込んだのがバレテェ、奥さんに半殺しにされて家を追い出された人は違うっすねェ!!」


「はっはっは。良くしゃべるな。この腐ったバナナ」


 さて、後ろでは腐ったバナナと浮気ばれで追い出されたダメ夫が軽く殺しあいをしているが、彼らは気にせず話を進める。


「まず、どうやって行くかだな」


「理由としては、調べた場所が当たってるかどうか調べる為に、その間家で拘束するでいいんじゃないですか?あまり無理はないと思いますし。嫌がらせにもなりますしね」


 黒い発言をするデニス。どうやら相当新人の事が嫌いらしい。


「それでいいと思う。後は、誰が行くか」


「ふーむ。そうだな…」


 リーダーは少し考えた。


 ・腐ったバナナもとい腐った珍田。敵意強すぎ。家に行っても問題しか起こしなさそう。不向き。


 ・幽霊男。敵意は高いが冷静。けれども何か見つけられるかと言えば微妙。保留。


 ・デニス。敵意高し。ぶっ放すことはないかもしれんが、問題起こしそう。


 ・クライド。敵意は並。何事にも冷静に対処できる。新人相手にも何とかなりそう。でも浮気で離婚歴あり。〇口。


 ・リーダー。何事も完璧にこなせる。失敗しない(キリッ)。完璧にして唯一の男。



「ふむ。よし。俺が行こう」


 よし、じゃねーよ。なんだ。そのお花畑も真っ青な思考回路。だから糞リーダーって言われるんだよ。おい。


「リーダーですか…まあいいですかね(失敗しても、コイツの責任ですし)」


「…いいだろう…(失脚すれば、リーダーの席が空くしな…ククク)」


「よし決まりだな!それで行こう!!」


 うわー。こいつらーグダグダすぎんよー。


 みんな自分の事しか考えてねー。不安分子しかいねーよー。


 本当、なんでチームとして成り立ってんの?逆に聞きたいわ。


「さて、まだ時間があるが、奴の経過を見てみるか…」


 やめとけって。また、うざがられるから。座っとけ。お呼びじゃない。


 と、リーダーが愛も変わらずいらんことしようとした…。


 その時!!




「いよっしゃああああああ!!見つけたァァァァァァ!!!!」



「…は?」


「え」


「…ん?」


「なんだァ?」


「何?」


 …え?マジで?


 マジで見つけたん?早くね?まだ10っ分経ってないけど…。


 マジで?



* * *


 いよっしゃああああ!!見つけた見つけた!!


 見つけたァァァァァァァぞっと!!


 はーははははははは!!どんなもんでェ!!俺に掛かりゃあこれくらい造作も「見つかったのか!!」ないってうわ!!ちけえ!!


「ちけェよ!!ハゲ!!離れ「良いから教えろ!!どこだ!!どこにいる!!言え!!時間がないんだ!!」だあああああ!!うっせえええええ!!離れろおおおお!!!!」


 くらえ!!禁じ手が一つ!人中への一撃!!この距離なら防げねぇだろうがぁぁぁぁぁ!!


『ガツン!!』


「がハッ!?」


 クリ~~~ンヒット!!リーダーは死んだ(死んでません)。


 はァはァ。くっそ。余計な体力使わせやがって。


「すいませんね。このアホの事は置いといて、見つかったのは本当ですか?」


 謝罪の心が全く感じられねーな。おい。まあ、どうでも良いけどよ。


「ああ。ほらよ、正確な位置はこの神にある。それと…腐れバナナとおっさん、なんであそこでのびてんだ?「気にしなくて良いです。いつもの事ですから」そうか。ま、ケータイ返しといてくれ」


「分かりました。では、拝見…」


 いやー、終わった終わった。これで帰れるわ。


 あーもう結構遅いな。早く帰って、ささっと風呂入って早く寝んと。


 …そういや、警察署にも行かないといけないんだよな。強盗の件で。あーめんど「ちょっといいですか?」くせってなんだ?


「どうかしたか?場所はあってるはずだけど?」


 ?何だ?なんか、すげえいやらしい顔してるが。


「いえ、それがですね。この住所に、建物があるのはこちらの調べでも確認してるんですが、なんでここなんですか?」


「あ?なんで?」


 ?何言ってんだ?こいつ?


「いや、だって…ここ、都内から車で数十分で行ける所ですよ?こんな見つかりやすい所にわざわざ隠れないでしょ普通。真っ先に見つかる危険が高いじゃないですか。それに一回調べてるんですよ。ここ。数週間前にすでにね。その時には誰もいなかったので帰りましたが。もう既に調べている所にいると言われてもねェ…ははは」


「あれだけ自信満々に言ってこの程度ですか。まあ、白黒はっきりさせるためにもまた調べてみますがね。あ、柳さんお願いします」


「ああ」


 へェ、あの幽霊男は柳か。似合ってんな。枯れ尾花的に。


 どこかに連絡してるみたいだが、やっぱ他にも仲間がいんのかね。まあ、こんなボケどもだけじゃ組織として回らんだろうから居てもおかしくないが。


「ですが、結果は見えてますからねぇ。できるだけ苦しまないように殺して差し上げますよ。まずは、両足、両手、腹、胸、そして顔と行きましょうか。ふふふ。楽しみですねー。ああ、お祈りは自分で済ませといてくださいね。神父の変装はしたことありましたが、貴方の為には祈りたくないので」


 本当に厭味ったらしく言ってくるなコノ射〇男。あ、伏字にしたらなんかもっといやらしく見えた。パロAVとかでありそうだな。いやらしッ!!


 って事は置いといて…。


 …うん。


 「お前ら、本当にバカだな」


 「なッ!?何を「見つかりやすいから隠れない!!そういう心理的死角に隠れるのは世の常だろうが!!それに、一度いなかったからって二度と人がいないわけじゃねーだろ!!あーもういやだ!!こいつら!!」そ、そこまでいいますか!?なら、何でここにいるか説明しなさい!!!さもないと、痛い目にあいますよ!?」


 だーうっせえ奴だなあ!!脅しもちんけになってきてるしよォ!!


 はいはい。上手く説明してやりますよ!このボンクラども!!


「まずは、調べた方法だ。使ったのは腐れバナナのケータイ。そして、ターゲットのデータというお前らにもらったものしか使ってない。ってか、他に情報ないしな。ここらは良いだろう」


「はぁ!?いやいや嘘は良くありませんよ!!他の情報屋にも聞きましたがこれだけでは圧倒的に足りないと言われたんですよ!!それなのに、プロではないあなたが調べられるハズがn「黙って聞け!!手前は人の話を聞いてから反論しましょうとか教わら無かったんですかぁ?しかも、オイこら。プロでもだめっだたもんを素人に任そうとすんな!!本気で馬鹿か!!」…ぐゥ」


 全く…ええい、割り切れ。コレが終わったら帰るんだ。さっさと説明しよう。猿でもわかるかどうかは知らんが、コレが俺の調査方法だ!!


「まず、腐れバナナのケータイを使うが、使う内容は簡単。こうする」


 そう言って、俺は再度受け取った腐れバナナのケータイをデニスに見せた。


「!?こ、これは!?」


 驚愕するデニス。そこにあったのは…。


「いいだろう?このオッパーイ」


「ほうほう、中々…」


「…楽園…」


 そう。大人の男が楽しめる、


 『おかず』動画さ!!


 ちなみに、素人投稿専門だ!!ドエ〇いぞ!!


「って、なにしてんですかぁ!!あなたはぁ!!調べてたんじゃないんですかぁ!!」


 は?何言ってんだ?こいつ。今まさに調べる話解説してんだからも少し黙って聞けよ。学習能力無いな。


「調べてたに決まってんだろ?俺の信条は無駄をなくして簡潔になんだからよ。大体人の情報収集手段を教えてもらってるのになんなん?これで飯食ってる俺は下手すりゃ廃業もあり得るんだぜ?そんだけ貴重な情報なのに…ないわー。本気でないわー」


「こ、この…!!」


 はいはい。震えてる〇ニスは置いといて、さっさと続けるか。そしてやっぱり伏字にするといやらしさが倍増する男。デニス。いやらしさの塊みたいなやつだな。マジで。


「まあ、ちゃっちゃか続けるか。で、このエロサイト。ごらんのとおり素人投稿で顔は見えるし、背景も見えるんだが…ちょっとコイツを見てほしい。コイツをどう思う?」


 俺が見せたのは、ある画像の右隅に映っているものだ。そこには、道路に良くある安全ミラーって、左右の見渡が聞かない時に使う、デッカイミラーがあってそこに何かが映っている。


 画像の内容?なにそれ?おいしいの?


「これは…数字ですか?」


 ンなもん分かってるよ!!これが何の数字か聞いてんだ!!バカ!!


「…車のナンバーか…?」


 おお!やはり違いの分かる男だな!幽霊!よし、お前の事は最後に殺してやる。(二度目)

 

「ああ、その通り。コイツは車のナンバープレートの数字が、道路の安全ミラーに映ってんだよ。偶然だけどな。そして…」



「このナンバープレートが、ターゲットの愛車のうちの一つが、ナンバーと完全に一致するんだな。しかも、日付と時刻を見てみろ。データと参照すると良く分かるが、これは襲撃があった後で、尚且つ、病院から姿を消した後の時間に撮影されている。つまり…」



「これは、たった今から雲隠れするターゲットを映した、決定的な瞬間なんだよ!!」



「な!?」


「…ほう」


 ふふん!驚いたかぁ!!まあ、ここでは偶然とは言ったが、実はこの手の事はかなりあり得る偶然なんだけどな。


 なぜなら、地方ではともかく、都会じゃあ変態がわんさかいやがるからな。日々、己の変態道に勤しみ、画像や動画をうpする奴らが後を絶たない。そして、そういうやつらは行動的だから数も多く、また、捕まりたくはないので、必然的に暗がりや人の少ない所での事が多い。まあ、例外もいるがな。


 そして、これは別の面から言えば、そういう裏道や人に会いたくないとかいう後ろ暗い奴ら、裏に通じる奴らの情報が一気に揃うという事でもある。


 なんせ、投稿者たちがエロの人物だからな。そりゃ(裏の情報も)、そうよ(増えるわ)。


 だから結構、重宝するんだぜ?エロスも馬鹿に出来んわホンマ。


「さて。後は、この車が何処に行くかをついせきすりゃいいだけだ。そうと分かれば…」


 まさか、これを人前にさらすことになるとは…ふ、まあいいか。


 よーく見ておけ!!そして焼き付けろ!!俺流調査術!奥義が一つ!!


「必殺(殺さない)!!」



「エロ画像・動画!千本コマ流れ!!!」


 いわゆる、超速早送り!!画像の場合は、スクロールを一瞬で上から下に下げる!!


 その刹那的速さの中で!!全ての情報を見抜く!!これぞ我が奥義!!コレがあるから多くの情報を即座に精査でき、迅速で正確な通報が可能となるのだ!!

 

 ちなみに、この技は、千本以上のエロを見るためには、かなり膨大な時間がかかる。それを最速で見て!最速で逝くために編み出されたからだったりする!!


「な!?こ、こんな速さで見えるんですか!?私には、何も見えないのに!?」


「…すさまじい…動体視力だな」


 ふふふ。まあ、この技を習得するのには2年ほど掛かったがな。まあ、身に着けておいても損はない技だ。


「そして、約2000本の動画と、6000枚の画像を見て、それらの重要な所を繋いでいくと…」


「こうなったわけだ!」


 そこで示したのは、腐れバナナのケータイに作った編集動画。ターゲットの車が移動しているものが移ったものを、時系列的にまとめたモノである。


「まず最初に、都内から△△県に移動。その時、車を変えているのが露出狂からの投稿で見て取れる。次に、北へ進み、ここで情報が途切れるが、車を変える時に運転手の男の顔が分かっているんで、探してみたら他の露出狂が撮った映像にいるのを発見。地図で確認した所、隣の〇×県という事が判明した」


 この他に、〇逝ったーや顔ボンッ!!を使っての情報収集もして、呟きや投稿写真から攻めるといった方法も有効だ。現に、動画や画像にない時にはそれらを使って大まかな位置を推察し、そこから逝きそうなところを計算して、その地域の動画や画像を見てみると結構入っていたりする。本当にいい時代になったな。うん。


「ここで、一週間ほどホテルに泊まるが、また移動。今度は車の車種は分からずドライバーも変えていていたが、盗撮専門動画(盗撮は犯罪です)で、ターゲットが、一部の写真や動画に映っているのを発見。そこから考えて、□×△県に言った可能性があると調べると、集団『禁則事項』の作成動画(やるだけでなく、その前後の過程も記録する動画)のワンシーンでターゲットを見つけた。そこからは、また、違う県に行って何泊かして移動、というのを繰り返す。そして…」


「問題の、お前が言った例の場所!そこに一度行って泊まっている事が山で裸族パーティーしてる奴らからの画像で分かりましたー!!しかも!日付的にお前らが調べた後に行ってますー!!ぷぎゃーー!!そしてそして!そこからまた移動するわけだが…なんとー!!つい先日!!まーたこの場所に帰ってきましたー!!よほど気に入ったらしいねー。ん?見つかりやすくて、一度調べた場所には人は来ない?」




「二度も来てますが、何か?プゲラwww!!」




「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!」


「落ち着け!!デニス!!銃を取り出そうとするな!!まだ確認してないんだから!!」


 おーおー。荒れてるねー。真っ赤になってまー。


 猿っすね。完璧。デニス、ブチ切れ、ふ〇こる。


 さんかせ〇る〇えない!!


 いや、しないけどさ。うん。


 さあ、もういい加減弄るのもあきたし、さっさ帰るか。


 と思っていたその時。


『ピリリリリリ!』


 電話だ。俺じゃなくて、幽霊男・柳にだけど。


「なんだ!?今忙しいから後に…何?」


 そりゃ忙しいよな。猿となったデニス先輩抑えないといけないもんな。お疲れっすWWW。


 が、なーんか沈痛な面持ちで話を聞いているみたいだ。何かあったか?


「…デニス」


「何だ!止めるんじゃない!!今すぐこいつを打ち殺すんだ!!無残に!!むごたらしく!!」


 おい。敬語。敬語。


 言葉荒くすんなよ。誰だかわからなくなるじゃねーか。


 やっぱこいつ、無理して敬語使ってたんだな。


 が、それでも構わず、柳は話を続けた。メンタル強いな。


「…無理だ」


「ああ!?何を言って「…彼を殺すことは無理だ」!?ああ!!俺が負けるって言いたいn「そうじゃない!!」!?」


 コラ話聞けやデ猿。本当に人の話を聞かんな、お前は



「アイツの行った事は本当だった。言われた通りの場所に、ターゲットが確認できた。詳細を調べるのにはもう少しかかるが、これだけは確かだ」


 そう言って、Mr.柳は俺の目を見ていった。


 堂々と、ハッキリとした声で。



「奴は仕事を成功させた。なら、危害を加える事はできない。そういう決定だろうが」


 ヒュー。言い切ったね。荒れてるデ猿に言い切ったねぇ!!


 あいつもう、爆発せんばかりに顔真っ赤だぜ!!それこそ、いまこそ破裂しそう「くぁwせdrftgyふじこlp!!」あ。


 デニス。


 本日二度目の発狂。


 「デ、デニス!?」


 出来る男、柳の言葉も聞こえないかのような、烈火の怒り。熱き憤怒。


 それが頂点に達した今、デニスの体は燃えるように熱く、マグマの様にドロッドロな憎悪が渦巻いているように見えた。


 そして、次の瞬間!!



「がああああああああああああああああああ!!!!」



 盛大な雄たけびをあげて。


 デニスは!!



『バタン』



 その場に倒れ伏したのであった!!



 俗に言う、『血管プッツン現象』!!



 頭の血管が、キレたのである!!!




「デニスゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」



 悲痛な叫びをあげる柳。


 倒れ伏し、ピクリとも動かないデニス。


 そんな時でも気絶して役に立たないリーダー。


 相打ちで倒れ伏している腐ったバナナと浮気のおっさん。


 うん。




「…帰ろ」




 こうして俺は、家へと帰ったのであった。



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