爆発音
△△耳鼻咽喉科 医院
「診察券はと・・はいお願いします」
症状・・耳鳴り、痒み、爆発音
「相川さーん」
「はーい」
「えーと症状は、耳鳴りと痒みと・・爆発音?ですか」
「はい」
「で、この爆発音というのは?」
「饅頭を食べたあと、ちょっとうとうとしていたら、急にガンガン、どカーンって、まるで機関銃かダイナマイトが爆発したようなすごい音がしたんです」
「ほお、饅頭ですか!夢ってことはないですね?」
「いえ夢ではありません。そのあとも耳鳴りが続いてますし」
「わかりました。じゃあ耳の中を 拝見しましょう!」
「お願いします」
『進、奥に入るぞ』
「うん」
進とルイは鼓膜にできた穴をくぐり抜けた。
「うえ、なんかぬるぬるしてるね」
『これは粘膜。このぬるぬるのおかげで、音がよく聞こえるんだ』
「うっ・・」
『進どうしたんだ?ムズムズして』
「オシッコ!」
『オシッコ、我慢しろよ』
「無理!・・ああー・・』
『しょうがないな。じゃあその鼓膜の外でしてきな』
「うん」
進はオシッコをなんとか我慢して、鼓膜の穴を逆戻りした。でもこんなところでオシッコしていいのかな?!うわ、そんなこと考えてる暇はない。ここでいいや。
進はズボンを下ろして、ちんちんをつまんだ。
「どれどれ・・ん?」
先生は目をぱちくりさせ、顔を何回も左右に振った。
「先生、どうかしましたか?」
「いや・・」
こりゃ相当目が疲れてるな。今度、眼科に行かないと!
「どれどれ、もう一度・・」虫?小人?ちんちん?
「なんだ?誰かに見られているような・・」
進は前をじっと見つめた。
うわ!でかい目んたまがこっちを見てる。そして目が合った!
進はオシッコを早めに切り上げ、鼓膜の穴を戻った。
「げっ!」小人がオシッコしちゃってる・・。そんな馬鹿な。この事はなかったことにしよう!先生はそう心に誓った。
「ルイお待たせ」
『進、なんか病院の臭いがするけど、外は何も変わりなかったか?』
「あっそうそう、外からでっかい目んたまがのぞいてた!」
『そうか、やっぱりママは病院に来てたんだ』
「病院?ママは病気なの」
『ただの耳鳴りだよ。ほらボクたちのせいで・・』
「笛吹いちゃったもんな!」
「このかたいでかいのは何なんだ?すごく邪魔なんだけど」
「それは耳小骨。鼓膜の振動をもっと奥に伝えるんだ。進、それにちょっと耳をあててごらん。外の声が聞こえるぞ』
「うん」
進は耳小骨に耳をあててみた。
「相川さん、綺麗ですね!本当に綺麗だ」
「そうですか・・」
『進、どうだ?』
「ママが・・プロポーズされてる!」
『進のママモテるんだな』
「よし、終わりましたよ。相川さん、キレイですね。
本当にキレイだ」
「そうですか」
「一応痒み止めの薬を塗っておきましたから」
「あっはい」
「聴力の検査しておきますか?」
「そうですね」
夏子はヘッドホンをはめた。
「始めますよ」
ムンムンムンムン・・。
ピピピピピピ・・。
「なんだ?ルイなんか変な音が聞こえるぞ」
『えっ?』
ムンムンムンムン・・。
ピピピピピピ・・。
『わかった!進のママは、宇宙人と交信してるんだよ』
「宇宙人と!」
『この音は間違いないよ』
「へー、ママは宇宙人の友達がいるんだね!」
『うん』
『よし奥に進もう!』
「了解!」