英雄グレン
グラグラグラ~・・。
「あっ!地震だ」と進。
「リンサ、この星も地震なんてあるの?」とシンシア。
「この星に地震なんて概念はないわ!」
「じゃあいまの揺れは何?」
「おそらくキングブラックフォールの影響だわ」
「タイムリミットは?」
「あと5時間!」
「大気まで震動してる」とラルフ。
「残念だがこの星の滅亡までのカウントダウンが始まってしまった!」とシンジ。
「ええ・・」
デビルアントはまだ背中を地面にこすり付けている。
「グレン、準備はいいか?」
「じいさん、何の準備だい?」
「私たちが一生懸命に穴を掘っていたのを知ってるだろう?」
「ああ」
「その目的は知っておるか?」
「デビルアントをその穴に落とすってことだな!」
「そうじゃ!・・ただその時をじっと待っているわけにはいかん」
「そうだな!時間も限られてる」
「そこまで理解しているなら話は早い!グレン、おとりになってくれ」
「ん?何の・・」
「あの化け物のだ!」
「意味がわからないが・・」
「私がなぜこんなところで運動会の話などしたと思う?おまけに順位まで気にして・・」
「さあ?」
「競争するんじゃよ!グレン。デビルアントと」
「・・・」
「あの時私は微妙と言った。でも安心しろ!今はデビルアントにハンディがある・・鉛の羽根のな」
「・・・」
「やってくれるな!?」
「・・ハンディが・・」
「そうじゃ、今はグレンの圧倒的有利だ!」
「俺が勝てるんだな!」
「それはときの運!」
「えっ?!」
「いや、絶対に勝てる!!」
ふうっ・・。
「グレン、いつも悪いな嫌な役ばかりさせてしまって」とラルフ。
「いや、いいんだ!しかし不思議なことがひとつある」
「何だ?」
「こういう時こそ魔法を使った方がいいんじゃないか!?」
「そんな無意味なことは考えず、いまはただ勝利だけを考えるんだ!」
「・・そうだな」
「英雄グレン、そろそろスタート位置に頼む」
「グレン、ファイト!」とリンサ。
「グレン、あとのことは心配要らないから!」とミラー。
「グレンの意志は僕たちが引き継ぐ!」とマック。
「お前たち、それってなにかおかしくないか・・?」
「おかしくないよ!正直な気持ちさ」
「・・・」
『グレン、元の大きさに戻すよ!』
「ああ、頼む」
『・・えい!』
グレンが元の大きさに戻ると、デビルアントの目がジロリとその姿をとらえた!
『グレン走れ!』
グレンは砂地に向かって全速で走り出した。1000メートル走の始まりだ!
「意外といい脚力じゃの!」
「デビルアントもいくぞ!」とグレン。
『グレンのやつ、どこに落とし穴があるのかわかってるのか?』
「しまった!肝心なことを教えてなかった」
「平じい・・」
「穴に自分で落ちたりしないよね?!」心配するロック。
「ジャン、ロック、空から追跡しよう!」と進。
「わかった!」
「わー、どこに穴を掘ったか全然わからないよ」
「なにか目印を置いておけばよかったね」
「なんか嫌な予感がするなあ・・」
「ミラー、マック、グレンの姿は確認できる?」
「いや、全然見えないや!」
「やっぱり無茶だよ!化け物と競争なんてさ」
「かわいそうなグレン・・」リンサの目には涙がたまっていた。
「あとラスト100メートルだ!」
「頑張ってーグレン!」
『それにしてもいい勝負だな!』
「・・もうそろそろだと思うんだけど」
『そうだな』
「あっ!」
『あっ!』
「あっ!」