何かを羽根にくっつけて
「グレン、ジャック星にも運動会なんてあるのかい?」と平吉。
「あるとも!ガキの頃はよく参加してたよ」
「で、運動会ではいつも何番だったかね?」
「なんでそんなことを聞くんだ?じいさん」
「参考までにだ!」
「ん?・・いつも一等賞と言いたいところだが、後ろから数えた方が早かったかな」
「・・微妙だなあ」
「じいさん、何が微妙なんだあ?」
「微妙だ!」
「だから何がだよ・・」
「来るぞ!」ラルフは低い声で言った。
「とりあえず空に避難だ!」とシンジ。
「平じい、空に飛び上がるよ!ルイ、みんなを小人にして」
『わかった』
「その前に進、あのアリ地獄に魔法で蓋はできるかい?落とし穴みたいな・・」
「そんなの簡単だよ!・・プリプリ・パラパラ・えい!」
「おっ!きれいに穴が隠れたな」
「でしょう」
「みんな僕たちの中に入って!」とロック。
ガシャー!バリバリバリ~。
巨大デビルアントは覚醒し、囲っていたカプセルをあっという間に破壊してしまった。
「羽根の成長具合はどうだラルフ?」とシンジ。
「まだまだ飛ぶには小さいようだ!」
「今のうちにあの羽根をなんとかしないと、やつをこのジャック星にとどめておくことはできないぞ!」
「聞こえたかい平じい、デビルアントに羽根が生えたら空の上まで追いかけてくるよ!」と進。
「あの羽根が破壊できればいいけど」とジョン。
「無理よ!だって魔法でも歯が立たないんでしょう」とシンシア。
「じいさん、得意のトンチ浮かばないか?!」とボス。
「グレン、デビルアントに今度は羽根が生えてきたの!?」とリンサ。
「どうもそうらしいな」
「どこまで進化を続けるつもりなんだ」とマック。
「まさに驚異だな」とミラー。
「ところで、お前たちは運動会の経験はあるか?」とグレン。
「なんでそんなことを聞くの?」
「いや、さっき私も平じいに聞かれてね・・」
「この状況と運動会なんて、ちっとも結び付かないよ!」
「何考えてるんだ?あのじいさん・・」
「羽根を無くしてしまうことは出来ない!」
『ん?平じい、それはみんなが知ってるぞ』
「ボス、虫は羽根があるとなぜ空が飛べるんだ?」
「あの理想的な形と大きさで、うまく空気の流れをとらえて揚力を得るからだろう!」
「そう、理想的な形と大きさの羽根だから空が飛べる!」
「平じい、何が言いたいんだ?」とジョン。
『・・その理想的な形と大きさの羽根を、理想的じゃないものにすればいいのか!』
「おっ!今回はルイが正解じゃ」
「じいさん、あの化け物の羽根はとても頑丈で、魔法でさえ歯が立たない。傷つけることも、取ってしまうことも出来ないんだぞ!」とボス。
「相変わらず頭が固いのう!」
「なに・・」
「取れなければ、何かを羽根にくっつけて、形や大きさを変えてしまうんだよ!」
「なろほど!やっとわかったわ!」
ジャンは平吉の秘策をラルフとシンジに伝えた。
「相変わらず冴えてるな!平じい」
「まったくだ!」
デビルアントの背中の羽根はものすごいスピードで成長を続け、既に飛行の練習を始めていた。
「進、ジャン、ロック、やつの羽根に鉛の塊をプレゼントだ!」とシンジ。
「よーし、プリプリ・パラパラ・えい!」
羽根に異変を感じたデビルアントは、なんとかそれをはずそうとするが、魔法でガッチリと付けられた鉛は、飛び跳ねても、背中を地面に押し付けてもちっとも外れない。それに、背中までは手も足も届かないのだ!
『平じい、大成功だな!』
「次はグレンの出番だ!」
「ハクショ~ン」
アレルギーだ・・。