バキバキバキ!
『しかしよく眠るやつだな!』
「うん」
「おそらくああやって傷の回復を待っているんだろう」とシンジ。
「今のうちに、またお腹のなかに入ってやっつけちゃおうよ!」とロック。
「体のサイズが小さくなると、それだけ魔法の威力も小さくなってしまうんだ!致命傷は与えられない」
『あっ!巨大アントが目をさましそうだ』
「えっ!」
「まずいぞ!」
「グレン、デビルアントが目をさましそうよ」
「とりあえずステルス機で上空に避難だ!」
「あっ!あの人たちまた飛行機に乗っちゃった」と進。
「空に避難するつもりだな」とボス。
「よし、離陸だ!」
「わかりました」
「さすがのデビルアントも、空までは追いかけてこれないわ!」とリンサ。
「離陸します・・あれ?」
「どうした?ミラー」
「動かない!」
「ん?」
「うっ!・・あれ見て」リンサの表情が一瞬で凍りついた。
『ああ、噛みついてるよ!』
なんと巨大アントは、ステルス機の翼にがぶりとかみついている。
「あれじゃあ飛び立てまい」と平吉。
「自業自得だね!」とボス。
「でも、ちょっとかわいそうね」とシンシア。
「そうですね」とジョン。
バキバキバキ!
ものすごい音をたて、ステルス機の左の翼はもぎ取られてしまった。
「キャー!」リンサは叫んだ。
「助けてやらないのか!?」と平吉。
「パパ!」進はシンジの顔を見た。
「うん」
「さすが正義の味方!」とジョン。
「私がおとりになる。進、ジャン、ロック、あのステルス機を持ち上げられるか!?」とシンジ。
「出来るとも!」
「あー、もうダメだー!」
「誰か助けてー!」
普通サイズに戻ったシンジは、巨大アントの背後に回り、強力なエネルギー波をお見舞いした。
「おい化け物!こっちこっち・・」
すると巨大アントの目がギョロりとシンジを捉えた。
そして、ステルス機に噛みつくのをやめ、シンジの方に向かってきた。
「いまだー!進」シンジは叫んだ。
「いくよ!プリプリ・パラパラ・えい!」
すると、壊れたステルス機は地上を離れ、どんどん上昇していった。
ものすごい勢いで向かってくる巨大アントを、シンジは軽やかにかわし空に飛んだ!
「ルイ!」
『わかってるよ!ジャック星人を小さくするんだろう』
「出来るか?」
『楽勝さ!』
「ジャン!飛行機をここまで頼む」とラルフ。
「OK !」
ステルス機から脱出した4人は、恐怖と安堵の入りまじった表情だ。そしてルイは魔法をかけた。
『ようこそ、小人の世界へ・・』
訳がわからず、キョトンとする4人。
そこにシンジが帰ってきた。
「ギャー!大男だあ」とマック。
「ここは巨人の村か!」とミラー。
「驚くのはまだ早いぞ!私の後を見てみろ」とシンジ。
「化け物だあー!」
4人はガタガタ震え抱き合っている。
そこにいたのは、巨大な巨大なアリの化け物だった!
「こっ、これはいったい・・」グレンにやっと声が戻った。
『だから言ったろう!小人の世界へようこそって。これは、周りがデカいんじゃなくて、ボクらが小さいの』
「ボクらって、私たちもってことか?」
『うん、見ててよ!・・えい!』
ルイの魔法でシンジはまた小人に変身した。
「あっ!」
『ねっ!』
「こうして小さくなっていれば、しばらくは安全だ」とラルフ。
「あなたは確かラルフ・・」とリンサも声を出した。
「私を知っているのか?」
「まあ」
「ところであの化け物、なんとか始末できないのか?」とボス。
「ああ。本来なら6時間だけの命だったんだが、己の力でそれを回避してしまったらしい」とグレン。
「自分の死を回避だと!?」
「そんな特殊な能力を、いつのまにか身に付けてしまったんだ!」
「ではもう我々の手でやっつけるしかないのか」
「そうだ!」
「しかし、魔法も効かないんだぞ!」
「私にも手段はない・・」
平吉は耐えきれずにタバコに火をつけた。
「平じい、タバコなんか吸ったら居場所がばれちゃうだろう!」とジョン。
「もう我慢できん!」
「ほら、化け物がにらんでるぞ!」
「ん?!」
「ジャック星の噂は聞いている。ブラックフォールに急接近しているそうだな」とラルフ。
「ああ、あと数日で重力圏内に入ってしまう」
「あと数日か・・」