耳の中に侵入だ
『進、今日は学校休みなのか?』
「うん、なんとか記念日でね」
『そうか、面白い記念日だな』
「そうだね・・?」
『よし今日は耳の中を探検だ!』
「耳か・・OK」
ん?ママがひとりで何か食べてるぞ・・。饅頭だ!いつもひとりで食べてるのかな?
「あー美味しかった。もう一個食べちゃおうかなあ。でもそうしたら進の分が無くなっちゃうから・・やめとくか。太るしね!」
とかなんとか言って・・あっ眠ちゃったよ!
食べて眠る、こりゃ太っても仕方がないな。
『進、チャンスだぞ』
「よし」
僕たちはジャンプしてママの耳たぶに乗った。
『進ついてこいよー!』そう言ってルイは耳たぶのカーブを滑り降りて行った。
なかなか面白そうじゃん!ジェットスライダーだね。
僕も行くぞー「トリャー・・」
ボクのからだはどんどん加速して、カーブを曲がっていく。
「あっ!ルイどいてー・・」
『うわー・・』
「あれ・・」ルイが吹っ飛んじゃった。
『こら!進、何をするんだよ』
「ルイが、どいてって言ってもどかなかったからさ・・」
いよいよ、ヘッドライトをつけて耳の中に侵入だ。
「ちぇ、またジャングルかよ・・」
『今度のジャングルは意外とフワフワだぞ!』
進は手で弾力を確めた。「本当だね」
『だろう、進にも同じところがあって、そこでボクはいつも昼寝をしてるんだ』
「ふーん」
なんだ、ゴツゴツした岩がここにもいっぱいだ!これはもしかして・・。
「ルイ、一応聞くけど、このゴツゴツした岩は?」
『耳垢!』
・・だよね!
「あれ?行き止まりじゃん」
『これは鼓膜だよ!』
「鼓膜かあ・・そうだ、今日は耳の中の探検て聞いてさ、いいものを持ってきたんだ!」
『なんだよいいものって?』
「いいからいいから、見ててよ!」
進は笛を口にくわえ、おもいきり・・。
『やめろー!進!!』
ピーーー!!
「ギャー!」物凄い爆発音にママは飛び起きた。
「何なの今の爆発は?機関銃、ダイナマイト・・」
『進、ためだよここで笛なんて吹いたら!』
「何で?」
『耳の中のまして鼓膜の隣で、あんな大きな音を出したら、ママには物凄い音で伝わるから!』
あちゃー、本当だ、ママが飛び起きた!
ちょっとやり過ぎたね。ごめんママ。
「ルイ、ここから先はもう行けないの?」
『これで鼓膜に穴を開ける』
ルイはのこぎりのような腕を高々と突き上げた!
うわ、怖っ・・。
「鼓膜に穴なんか開けて大丈夫なの?」
『ほんのちっちゃな穴だ。すぐ治るさ』
「そう、なら安心だ」
そしてルイは、穴あけの作業に取り掛かった!
「あれ、なんか耳鳴りがひどいわ!それに痒い。耳かきはどこだったかなあー・・」
ごそごそ、ごそごそ。
『あっヤバイ、耳かきの音だ!』
「耳かきの音?」
『進、鼓膜になるべくくっつくんだ。下手に動いたらあの耳かきにすくわれてしまうぞ!」
「えー!進は鼓膜にペタリとくっつき、じーとしていた」
『ふうー・・進もういいよ』
「あービックリした」
ママは耳が痒かったのか。よし手伝ってやるか!
進は耳の壁をゴリゴリとかいてあげた。これで少しはいいかな・・。
「あら、また耳鳴りだわ!こりゃあ耳鼻科に行かないと駄目だわ」
『よし、進穴が開いたぞ!』
「わかった」