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踊ってます

「絶体絶命?」

『進、絶体絶命知らないのか?』

「ジャン知ってる?」

「うんん」

「ロックは?」

「知らない」

「ルイ、絶体絶命ってなにさ?」

『もうここから逃れるすべがないってこと!』

「すべ?」

『・・進、この話はまたあとにしないか?!』

「そうだね」


「天井が破られるのも時間の問題だぞ!」

「いったいどうしたらいいんだ・・」

「じいさん、あんた100年も生きてるんだろう!何かいい知恵は浮かばないのかい」とボス。

「進たちが力を合わせた魔法でさえ歯がたたなかったんだ。私の力では到底無理だ」

「そんなことわかってる!知恵だよ知恵」

「そうか・・あの化け物が襲ってきたとき、一番安全な場所はどこだ?」と平吉。

「安全な場所ですって?」

「平じい、僕たちはここに閉じ込められてるんだよ。他に行き場所はないんだ!」とジョン。

「本当にそうかな!?」

「平じい、何か名案でもあるのか?」とシンジ。

「私たちは小人になれるんだ!ルイの魔法でな・・」

『・・そっか!あいつの体のなかに入ってしまえばいいんだ』

「ルイ、よくわかったな!一番安全な場所、それは巨大アントの体のなかじゃ」

「なるほど!いくら相手が強敵でも、自分の体は痛めつけないだろうからね」とジョン。

「うん、それはいい考えだ!私たちの魔法も内側からなら効き目があるかもしれない」とシンジ。

「さすが平じいだ」とラルフ。

「平じい、ナイスアイディアね!」とシンシア。

「いやいやいや・・」

「だてに100年も生きてた訳じゃなかったらしいな」とボス。

「正確には101年じゃ・・」

「よし、ルイ早速頼む!」

『わかった!』


進たちと住民が小人になるのとほぼ同時に、巨大アントは天井を突き破った!

しかし、そこにいるはずの獲物が見当たらない・・。目をキョロコョロさせて獲物を探しまわる巨大アント。


「しかし、どこから体のなかに入ればいいんだ?」とシンジ。

「口からは危険すぎるな!」とラルフ。

「だとしたらあそこしかないだろう!」とボス。

「あそこ?」

「あそこってまさか・・」

「入口があれば必ず出口がある。人間も虫も一緒だ!」

「さすが科学者だな」と平吉。

「入口が危険でダメなら出口を選ぶしかない!」

「えっ!」シンシアの顔が急に不機嫌になった。

『お尻の穴か!』

「そし、住民たちを残して私たちだけで潜り込もう!」とラルフ。

「内側から攻撃すれば、たまらず表に這い上がるに違いない」とシンジ。

「あのー・・私ちょっとお尻の穴は遠慮したいんですけど・・」とシンシア。

「ダメだ!一緒にこい」とあっさりボスは言った。

「やっぱり・・」


巨大アントは要塞の中に降りて、必死に獲物を探している。人々はひとつの角に集まり息をひそめていた。

「肛門はあのお尻のでっぱりの下だ!」とボス。

「タイミングをはかって跳び移るぞ!遅れるな」

そして巨大アントがこちらに尻を向け、一瞬動きを止めた。

「今だ!」

ラルフたちは軽やかに巨大アントのお尻に着地した。

「ここだ!ここが肛門だ」

「でも、ガッチリと閉じてますね」とジョン。

「拡げるしかないな!進、出来るか?」

「えっ!僕が・・」

お尻の穴を拡げる魔法なんてあるのか・・?

『進、当たって砕けろだ!』

「うん」

そして進は呪文を唱えた。

「プリプリ・パラパラ・えい!」

・・『やった!成功だ』

「進の魔法は世界一じゃな!」

「どうも・・」


進のおかげで、なんとか体のなかに潜り込んだミクロの戦士たち。

「どこでも構わん!攻撃だ」

「よーし!」

シンジの合図で魔法の一斉攻撃が開始された!


巨大アントは急に腹部に違和感を感じ始め、思わず表に這い上がっていった。お腹がチクチク痛い。時には激痛さえ走る。巨大アントは痛さをこらえるため、体をくねくねさせたりジャンプしたり、小躍りをしてみたりと色々試していた。


「グレン、巨大化したデビルアントが戻ってきました!」とリンサ。

「やったか!」

「ん?でもなんだか様子が変ですね」とマック。

「踊ってます!」とミラー。

「何してるの?勝利の踊りかしら・・」

「私にもわからん」


「進、ジャン、ロック、手を緩めるなよ!」

「敵は相当ダメージを受けてるぞ!その証拠に暴れまわってる」

『頑張れ!みんな』

やがて巨大アントの動きは止まった。


「あっ!踊りを止めたみたいだ」とマック

「死んじゃったのかしら?」とリンサ。

「よし、着陸してみよう」とグレン。

そしてステルス機が姿を現した。


「動きが止まったな!」とボス。

「死んだんですか?」とジョン。

「いや、この程度の攻撃で死ぬとは思えない」とボス。

「詳しいなあんた」と平吉。

「これでも科学者ですから」

「そうだったな」

『外に出てみるか?』

「うん、尊重にな・・」






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